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あんじゅ
2021年11月27日 10:11
手が悴む季節になった。風の冷たさに身を震わせ、もう冬が来るのかと1年を振り返る。あの日もよく冷えた1日だった。去年の正月のこと、73歳の祖父とお別れした。その日は寒く、午後から雪が降り出していた。5人の孫の中で一番末子だった私は、幼い頃、兄や年上の従兄弟によく泣かされていた。祖父は泣き虫な私を一段と可愛がってくれていた。私のお気に入りは、祖父の手を握ることだった。家を作る大工だったその手は