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6月24日 ブルボン・プチの日/プチクマの日

 僕には24人の友達がいるんだ!


 そう言ったのは我が家の息子、10歳である。

 幼い頃から内気な性格だった。自分から声を掛けられず、友人がなかなかできないでいる。それは小学生になっても同じである。

 2年前、彼が8歳の時、スーパーでおやつに買ったスナックのパッケージにかわいらしいクマが描かれていた。おそらくこれまでにも何度か目にしていたが、どう言うわけか気になったらしい。

 家でパソコンで調べるとそれはプチクマと言うキャラクターであった。ブルボンプチと言う種類豊富なお菓子シリーズのキャラクターらしい。その種類は24あり、それぞれにプチクマが存在するという。そしてそのクマは息子と同じ年に誕生したキャラクターだった。

「お父さん!このクマ達、僕と同じ年に生まれたんだって」

 彼はとても興奮して教えてくれた。そして満面の笑みで言う。

「僕、このプチクマと友達になる。だから僕には24人の友達がいるんだ!」

 あまりに嬉しそうに言うので、まあ、学校で寂しくしていないのなら、家での友達くらいは架空であっても、それもいいかなんて私も思って、実際これまでそうだった。

 ところが、だ。

 今日はたまたま私の仕事が早く終わり、いつもより早い16時頃に家に帰れた。

「あ、お父さんお帰り!」

 息子がリビングからひょこっと顔を出す。

「こんにちは、おじゃましています!」

 次いで、ひょこっひょこっと2つの顔が出た。

「い、いらっしゃい」

 思わず声がうわずってしまう。息子の顔をちらと見ると、恥ずかしそうに、けれど胸を張って、「友達です」と言った。

 3人はそのまま隣の部屋に引っ込んだ。

 2階で洗濯物を取り込んでいた妻に聞くと、妻もどこか誇らしげに「友達です」なんて言うから、それは分かっていると急いてしまった。

「あの子の好きなプチ、あるでしょ。最近人気アニメのキャラクターがパッケージにでていて、それで学校で話題になったみたいよ。その流れでおやつパーティーしようってうちに呼んだんだって」

 確かに、先日から販売しているプチシリーズが、あの鬼を滅する大人気アニメのパッケージであることは私も気になっていたし、息子も毎回どれにしようか悩んでいたのを知っている。 でも、まさかそれをきっかけにするなんて。

「壮平から声かけたの?」

「うん、本人曰くね」

 そう言って、うっすら鼻歌を交えて妻は台所に入って行った。

 私はたまらず彼らの部屋をノックした。

「ちなみに、何のプチを食べているの?」

 私が聞くと、3人とも嬉しそうな顔で答えてくれた。

「俺は炭次郎のチーズ!」

「僕は富岡さんの黒ココア!」

 友人2人が言い、壮平も慌ててパッケージを見せながら答える。

「僕は新しい種類の塩バニラクラッカー!」

 他の2人のようにアニメのキャラクターは言わないらしい。見せてくれたパッケージにはちょっと怖いキャラが映っていたけれど、それでいい。

「そっか、みんなおいしそうだね。あ、飲み物、持ってこようか」

 私はそう言って扉を閉めた。閉めきる前、うっかりにやけた顔が見えてしまわなかっただろうか。少し心配である。

 でもまあ、それもいい。

 だって息子に友人ができた。

 これで彼の友人は24匹のプチクマと2人となる。

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【今日の記念日】

6月24日 ブルボン・プチの日

新潟県柏崎市に本社を置き、数多くの人気菓子を製造販売する株式会社ブルボンが制定。同社が1996年から販売する「プチシリーズ」は手軽に食べられる大きさのビスケットや米菓、スナック類など24種類。そのバラエティ豊かな品揃えと、色とりどりの細長いパッケージで人気の「プチシリーズ」をさらに多くの人に楽しんでもらうのが目的。日付は24種類にちなんで毎月24日に。同社は「ブルボン・プチの日」の愛称を「プチの日」としている。

6月24日 プチクマの日

新潟県柏崎市に本社を置き、数多くの人気菓子を製造販売する株式会社ブルボンが制定。同社の販売する「プチシリーズ」は手軽に食べられる大きさのビスケットや米菓、スナック類など24種類。「プチシリーズ」の楽しさ、可愛さをあらわすキャラクターの「プチクマ」を通じて、さらに多くの人にその魅力を知ってもらうのが目的。日付は「プチクマ」が登場した2011年6月24日から。


記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。

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