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3月26日 サク山チョコ次郎の日

 幸せとは、一体どんな味だろう。

 サク山チョコ次郎は思うのだった。その手には今しがたチョコが成る木からとったチョコレートが山盛りである。1粒ずつではなく、2つ3つとくちのなかに口の中に入れては2、3回咀嚼する程度で飲み込んだ。

 そうして気づけば手の中にチョコレートが無くなっていた。チョコ次郎はまたチョコの成る木に向かい両手いっぱいにチョコを取り始めた。

「そんなに取ってしまっては無くなってしまうよ」

 赤いピチバードがそう言うと、チョコ次郎は答えた。

「では幸せが何味なのかを教えてくれたら、1粒をこの木に返そう」

 ピチバードが困った顔で答えられずにいると、チョコ次郎は両手を挙げて威嚇した。驚いたピチバードはピーピーと慌てて飛び去った。


 続けてチョコを取っていると、今度は緑のピチバードがやって来た。

「そんなに取ってしまっては無くなってしまうよ」

「では幸せが何色なのかを教えてくれたら、1粒をこの木に返そう」

 緑のピチバードは懸命にその色を想像するが、その色は様々であり1つの色だと答えることが出来なかった。

 するとまたチョコ次郎は両手を挙げて威嚇し、驚いたピチバードはピーピーと慌てて飛び去っていった。

 誰も幸せの味を知らないのかとチョコ次郎は肩を落としたが、またすぐにその肩を挙げ、チョコを取り始めた。そこに今度は青のピチバードがやって来た。

 やっぱりチョコをたくさんとってはならないと言うものだから彼は青いピチバードにも聞いてみた。

「では幸せとは一体何なのか、教えてくれたら1粒をこの木に返そう」

 そう言うと、チョコ次郎は青いピチバードが何かを答えるより早く両手を振り挙げた。

「わぁっ!」

 そこに人間の男の子がやって来た。人間など見たことのないチョコ次郎は驚き、手に持っていた山盛りのチョコレート落としてしまう。そしてその隙に青いピチバードは逃げていった。

 この妙な生き物のせいで。そう思ったチョコ次郎は男の子に襲いかかろうとした。

ドテッ!

 足元に落としたチョコの山に躓き、チョコ次郎は転んでしまった。それを見た男の子は急いで彼に駆け寄り、擦りむいた膝を目にすると、自分のリュックサックからティッシュと絆創膏を取り出した。

「大丈夫?」

 そう言って丁寧に手当てをした。

 人間も絆創膏も、ティッシュさえ初めて見たチョコ次郎。驚きつつも、男の子の優しさはちゃんと胸に感じていた。

「痛くて泣きそうなのかな?はい、このビスケットをあげるよ」

 男の子はそう言うと、リュックサックから取り出したビスケットを渡した。チョコ次郎はボーッとしたままの頭で立ち上がり、チョコの成る木からいくつかのチョコをとり、それを男の子に渡した。

「わぁ、すごいね。ありがとう」

 男の子は『せーのっ』と言ってチョコとビスケットを一緒に口に入れた。チョコ次郎も真似をして2つを一緒に口にした。

 その瞬間、薄くピンクのような柔らかい光が目の前を包み込む。

「一緒に食べると美味しいね」

 男の子が笑って言い、チョコ次郎は幸せの味と色を知る。今、この瞬間が幸せだった。

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【今日の記念日】

2月22日 サク山チョコ次郎の日

茨城県筑西市に本社・工場を置き、チョコレート、ビスケットなどの菓子の製造販売を手がける株式会社正栄デリシィが制定。「一緒ならもっと楽しい。もっとおいしい」をテーマに、サクサクビスケットとミルクチョコレート、ミルククリームを組み合わせた一口チョコビスケット「サク山チョコ次郎」。コミュニケーションチョコビスケットの「サク山チョコ次郎」の美味しさ、魅力を楽しんでもらうのが目的。日付は3と26で「サ(3)ク山チョコ次郎(26)」の語呂合わせから。


記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。



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