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5月19日 シュークリームの日
はい、おみやげどうぞと言われ、受け取るのはいつもシュークリーム10個なのだった。
「ああ、シュークリーム食べたい」
今晩の夕飯のあと一品を買おうと子供3人をつれてコンビニに寄った。最近は簡単な副菜から一人一品のおかずまで、コンビニでちゃんと揃うのだから素晴らしい。メインは決まっていてもそれしか決まっていないなんてことは大いにあるのでとても助かる。今日も今日とてカットキャベツにポテトサラダでも買おうと品定め中である。
・・・・・・目の前はデザートコーナーであるが。
「お母さん、ユキもシュークリーム食べたい!」
「ミキも!」
4歳双子の保育園児がわぁわぁと私の独り言をしっかりキャッチする。はいはいとなだめながら買おうかなと悩んでいると、小学3年生になった涼成がいつの間にか隣に並んでいる。
「えー買うならチョコブラウニーかな」
私がシュークリームをかごに入れようとしたところで彼は言う。
「涼成はシュークリームじゃなくていいの?」
「うん、シュークリームはやっぱりばあちゃんが持ってきてくれるやつがいい」
そんなことを言うものだから、私はうっかり父と母に会いたくなったのだった。
母の買ってくれるシュークリームだって、ケーキ屋のそれではなくスーパーで買える美味しいシュークリームである。コンビニと変わらないだろう。それでも、母がくれるシュークリームを欲するのはやっぱり母であり、ばあちゃんに会いたいのだ。
「うん、そうだね。ばあちゃんが持ってきてくれるシュークリーム、食べたいね」
私も違うスイーツにしよう、そう言ってシュークリームに伸びた手の進路を変更し、ブラウニーにする。けれどそれに納得しない双子もいるのだった。
そうして、シュークリーム2つにブラウニーを3つ買って帰った。夫の分も忘れずに。
「あ、肝心のサラダ買うの忘れた」
こんなことは日常茶飯事である。もういいかと早々にあきらめ、副菜にはせめてもの厚焼き卵でも出そう。
私があきらめの夕飯を作っていると、電話がなった。出るとそれはばあちゃんから、つまり私の母からだった。
「おいしいお肉をもらったからお裾分けに明日行くわね」
「本当?嬉しい!」
近くにいたユキとミキにも小声で伝えると、やったー!と嬉しそうに声を出す。私は電話をスピーカーにした。
「明日の夕方ね、また連絡するから。何か他に欲しいものはある?」
母がそう言うと、どこからか涼成が現れて電話の近くでぽつりと言った。
「シュークリーム」
「あら!涼成じゃないの。シュークリームね!了解」
すでに思春期到来なのか、普段なかなか電話に出ない涼成の声に、母は驚きつつも嬉しそうだ。
そして私も、シュークリームが食べたい。
「あ、たくさん買わなくてもいいからね」
私はいつももらう10個のシュークリームを想像しながら母に言う。母はなぜかと私に聞いた。
「5人家族だから5個でいいのよ」
「何言ってるの、おいしいものをちょっとだけって言うのも素敵だけど、おいしいものをたくさんの方が幸せもたくさんよ」
それもそうかと妙に納得して礼を言い、電話を切った。
母の持ってくる『たくさんのシュークリーム』は『たくさんの幸せ』らしい。どうりで、私の胸が子供のようにわくわくしている。
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【今日の記念日】
5月19日 シュークリームの日
スーパー、コンビニなどで大人気の「牛乳と卵のシュークリーム」をはじめとしたさまざまなスイーツを製造している株式会社モンテールが制定。、シュークリームをより身近なおやつにするのが目的。日付はシュークリームの語感と似ていることから毎月19日に。
記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。