1月1日オールインワンゲルの日
1月1日AM5時。
ふぅ、といつもと変わらない特別な朝に自分で入れたカフェラテを飲む。
思ったよりも忙しない年末となってしまった。
結局仕事は31日までばたばたと終わらなかったし、それまでの数日で家の中の大掃除なんかをやっていたけれど、隙間時間に行っていたせいか、大掃除の感じはしない。そもそも年の瀬を感じなかった。
夜は明けて、1月1日になりました。
窓を開けると、空気は澄んでいて冷たい。まるで昨日までが古い世界で、今日、今から新しい世界になったかのようだ。私は胸の中にどこかわくわくと何かを楽しみにする気持ちが沸いていた。今年は帰省もしないし、年末年始の旅行もしない。何を楽しみにしているのかも分からないけれど、そわそわと喜びが沸き上がる嬉しいむずがゆさ。
「おはよう」
リビングのドアを開く音とともに彼の声が聞こえた。私はそっと新しい世界の窓を閉じ、振り返る。
「おはよう。あけましておめでとう」
私が言うと、彼も柔らかく笑っておめでとうと言った。
「早起きだね。眠れなかった?」
彼はキッチンに向かいながら私に聞く。私は何となくぼーっとしながらソファに座る。座って、返事を考える。
「眠れなかったと言うより、起きてしまった、かな。なんかそわそわしてる」
「新年だからかな」
彼もその手にあたたかそうな湯気の立つマグカップを持ち、私の隣に座る。
「いくつになっても元旦はなんだか嬉しいよね」
「そうだね、ただの1日なのにね」
今年は出かけることのない分、本当にいつもの日常と変わらない。昨日と同じ朝。
「あ、化粧水」
思い出し、私は洗面所へ向かう。
いつもつけていた化粧水はもう無くなっているのだった。
無くなったのが3日ほど前だったので新しいものは新年から使おうと思って仕舞っていた。今朝は浮き足立っているせいか、付け忘れている。
洗面台の棚から新しい箱を開ける。中から丸いクリーム容器が現れた。私は少しだけやっぱりそわそわしているので、それを持って彼の元に戻る。
「どうしたの」
「新しい化粧水。化粧水と言うかゲルなんだけどね」
いつもは化粧水と乳液と保湿クリームをそれぞれつけていたのだが、やっぱりバタバタとせわしない毎日ではそれもおっくうになっていた。だから思い切って『オールインワンゲル』を買ってみた。
付属のヘラで取り、点々と肌にのせる。両手で頬を包むようにしてそれをゆーっくりと伸ばす。頬と手のひらのわずかな熱でとろけさせるように顔全体に広げた。
ああ、すべて包まれる。
昨日までの忙しない去年も、今日から始まった新しい1年への期待と不安もすべてをバランスよく混ぜ合わせて包み込んでくれている。沸き上がりすぎる何かへの喜びもちょうどよいボリュームに押さえてまるっと包まれるようだ。そのほの温かさはまるでちゃんと自分を愛でているようだ。
包み込み、愛されて新しい自分が生まれるような。
そんなどこかわくわくする気持ち。
「今年もよろしくね」
私は両手で顔を覆ったまま彼に言う。彼は笑った。
手のひらと頬がもっちり吸いつくようにして離れない。
ゆっくり手を外すと、そこには新しい1年がある。
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【今日の記念日】
1月1日 オールインワンゲルの日
「肌トラブルに悩む全ての人々を救う」を企業理念に掲げるメディカルコスメの株式会社ドクターシーラボが制定。化粧水、乳液、美容液などの機能がひとつで完了する「オールインワン(多機能)」のアイテムで、高い水分保持能力を持ち、肌にやさしい天然由来の保湿ゲル「オールインワンゲル」。そのパイオニアである同社の年始に肌を健やかに保つためにスキンケアを見直して肌の悩みのない1年を過ごしてもらいたいとの願いが込められている。日付は1年のスタートの日であり、1と1を「オール(0)イン(1)ワン(1)」と読む語呂合わせから。
記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
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