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8月28日 キャラディネートの日

    店を出ると何ともすっきりとした心地よい気持ちであった。けれどその一方で、しまったなと思うところもあり、何だか私はふわふわとしていたのだった。


 仕事で疲れているのかもしれない。

 プライベートでも思うように時間がとれずにどこか気持ちがキュウっと縮こまったまま固まってしまっているようだ。

 やりたいことをやれていないから?

 そのくせ、ほんの少しの時間が出来るとぼーっとしてしまいネットサーフィンにかまけてしまう、そんな自分が情けないからかもしれない。


 私はキャラクターに救いを求めたのだった。


 昨日の仕事が何だかバタバタしたまま終わり、すっきりしないもののどうしようもないので週明けに回すことにした。なにをどう、どこから手をつけて進めるのか、そんなことばかり仕事終わりに考えて帰路につく。

 18時半、小学3年生の娘はすでに帰宅していた。段取りをつけておいた夕飯を仕上げ、2人で夕飯にする。夫の帰宅はまだ先である。

「このTシャツが欲しいんだよね」

「別にいいけど、キャラクターもの?もう小学校3年生なのに」

 私が言うと、娘はうーんと考えるようにしてから、そっかと言って箸を進めた。


 そして今日、買い物ついでに彼女の言うTシャツを見てみようと思ってお店をのぞいたのである。幼稚園や保育園ならいざ知らず、小学生でキャラクターの洋服をまだ着ているなんて。そんな風に思って言ってしまったけれど、あんな言い方しなくても良かったよなぁと反省をしながら店に入った。店内をぐるり見て回るとそこにあった。娘のリクエストのキャラクターではなさそうだけれど見てみる。

 あ、かわいい。

 少し離れたところから一目見てそう思い、近づいてみる。

 あ、かわいい。

 やっぱり可愛かった。そう思うと急にわくわくするようなどきどきするような気持ちになる。

 私が思っていたキャラクター服とは違う。細かな線でコミックスのヒトコマが切り取られて丁寧にTシャツに描かれたような、何とも大人カワイイ感じである。

 え、フリーサイズ!?

 ・・・・・・じゃあ、私も着られるんだ。

 私はちゃっかり1着手に取った。その後に再度店内を周り、娘の希望のキャラクターTシャツも併せて購入した。


 そうして、店を出て何だかすっきりしているのだが、複雑な面もあるのだった。娘に、この年でキャラクターなんてとか言っておいて、母親の私も買っているという事実、しかも私の方が先に手に取っていると言う。ひとまずと思い娘に電話をする。

「ありがとう!買ってくれたのね、嬉しい」

「うん。でね、実はさ、ママも買っちゃったんだよね、ムーミンTシャツ」

 私がそう告白すると、娘は電話の先で小さく笑ったようだった。

「だってさ、ムーミンの優しい世界観を着て身につけていられると思うと、なんか優しい気分になれそうで」

 私は妙な言い訳をする。

「着たければ着たらいいんだよ、大人も子供も」

 私はありがとうと言って電話を着る。

 その手には私の着たい服があり、その着たい服は私の気持ちを高めてくれる。


 大人だって、キャラクターに救われたい。


 今日は、ちょっとだけスキップして帰る。

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【今日の記念日】

8月28日 キャラディネートの日

「見て、着て、楽しく感じてもらえるファッション」を掲げるアパレルメーカーの株式会社グレイスが制定。同社が商標登録をしているファッションの中にキャラクターを上手にとりいれたコーディネートの「キャラディネート」をPRするのが目的。日付は8月28日を8(=ファッション)2(=TO)8(=ファッション)と読み、ファッションとファッションをつなぐ架け橋という意味から。また、2015年のこの日に発売されるファッション雑誌「NYLON JAPAN」で「キャラディネート」が特集され、広く知られることもその理由。


記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。



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