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7月24日 ブルボン・プチの日

『たまに新しいことにチャレンジしてみましょう』

 別にいつもチェックしているわけでもない雑誌の占いなのに、妙に気になってしまうのはなぜだろう。

『ラッキーアイテムは【たらこ】!』

 食品をアイテムにするなんて、と思いつつも、お昼はたらこスパゲティにしようかなどと考えてしまう自分がいるのである。

 影響されやすい私。

 こんな私なのだから、新しいことにチャレンジするなんてこと、案外造作ないのではないかと思う。誰かの何かに影響されてつい新しいことにチャレンジしてしまえばいいのだから簡単だろう。

 そう思いつつ、手にしているのはいつも通りのブルボン・プチシリーズ『うす焼き』せんべいである。

 私はこのシリーズでいつも決まってこれを買うのだった。チャレンジもなにもない。

「佐藤さん?」

「あ、飯倉さん、お疲れさまです」

 声を掛けられたのは、職場の先輩だった。きれいで聡明で、明るくて誰からも好かれている彼女である。

 私も、彼女が憧れだったりする。

 今はなかなか会うことも少なくなったが、以前は隣の部署だったため、話す機会も割とあったのだ。後輩にも気さくに接してくれ、業務上の相談にもよく乗ってもらったことを思い出す。

「何だか久し振りだね、仕事はどう?順調?」

「おかげさまで何とか。飯倉さんが教えてくださった流れで順調に進んでいます」

 私が言うと、彼女は笑った。

「そっか、それは良かった。あ、でももう1年くらい経つよね、そのシステム作ったのも。ちょっと新しく変えてみてもいいかも」

「新しく、ですか」

 私が聞くと、彼女はうなずいた。

「順調にいっているのはとても良いことだけど、それに慣れてしまうと改善のチャンスがなくなってしまうかも」

 改善のチャンス?

 これまでうまくいっているものをわざわざ変える必要があるのだろうか。私はうーんと考えて見せた。

「同じままでいてもそれがずっと正しいとは限らないんだよ。劣化や退化することはあっても変わらなければ進化はないからね。たまには新しくチャレンジするといいかもね」

「あ」

 さっき読んだ占いでもそう言っていた。なんだろう、同じことが違う形で啓示されたようで、頭の中にしっかりインプットされた。プチシリーズのうす焼きを持っている手にわずかに力が入る。

「とか、偉そうに言っていても、お菓子は定番を選んでしまう私だけど」

 飯倉さんはそう言うと、プチシリーズの『たらこバター』を手に取った。意外な好物に驚きつつ気づく。

「あ」

 再び声が出てしまう。ラッキーアイテムの【たらこ】だ。

 
「飯倉さん、じゃあ、これも新しいことにチャレンジしましょうよ。私はいつも買う、うす焼きをやめてたらこバターにします。飯倉さんはうす焼きにしてみませんか?」

 彼女は少し驚きつつも、笑ってくれた。

「よし!乗った!」

 そう言って私のもつうす焼きを手に取り、彼女の持っていたたらこバターを私にくれた。

 これできっと何かしらの運が開けるのではないか。

 そんなことを軽く期待しつつ、私から飯倉さんに何かを提案したのはこれが初めてであることに気づく。

 新しいチャレンジって、意外と気楽にできるものかもしれない。

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【今日の記念日】

7月24日 ブルボン・プチの日

新潟県柏崎市に本社を置き、数多くの人気菓子を製造販売する株式会社ブルボンが制定。同社が1996年から販売する「プチシリーズ」は手軽に食べられる大きさのビスケットや米菓、スナック類など24種類。そのバラエティ豊かな品揃えと、色とりどりの細長いパッケージで人気の「プチシリーズ」をさらに多くの人に楽しんでもらうのが目的。日付は24種類にちなんで毎月24日に。同社は「ブルボン・プチの日」の愛称を「プチの日」としている。

記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。

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