妊娠期に新しいことを始めてみたら。
「自分の時間がなくなるよー」
「したいことできなくなるよー」
「今のうちに遊んでおきなよー」
妊娠おめでとう！のあとに続く
先輩ママたちからのこの助言。
自分の「したい」を貫こうと
わがままに生きてきた私は、
もうたくさん聞いたよ〜(苦笑)
と、ある時から作り笑いでかわすようにしていた。
そうはいっても、間違ってはいないはず。
自分のことをやり遂げるだけで
24時間があっという間に終わる私が、
こどもという自分以外のもう1人を
付きっきりで育て見守るというのは
想像しただけでも寝込みそうになる。
でも、自分の遺伝子を持った我が子との人生は
楽しみで楽しみで仕方がない。
産後の生活をドキドキソワソワして
待つことになるのだが、
あの耳にタコができそうになる助言は妊婦につきもの。
時間がなくなる？
じゃあ、早いとこやっておこう！
未来の私よ、今のうちに好きなことを
やっといてみるよー！
そんな感じで、
お産までにしたいことリストを作った。
その中のひとつが、着付。
京都に暮らして約8年。
幼い頃から着付けてくれた着装師の叔母や
毎日きもので仕事をする母、
和装で過ごすのが珍しくない京文化のおかげで、
必ず毎月１回は母に着せてもらったり
学生時代にはミスきもの京都にも挑戦して
準グランプリになれたり。
着物を纏える自分をいつも幸せに思ってきた。
そうだ！
自分でも綺麗に着られるようになろう！
よりにもよって妊婦になってから？とも過ったけれど「着物は臨月でも着られる
エシカルな日本の民族衣装です！」
と、知り合いのSNSで読んで即決。
時間のなくなるらしい妊婦の私よ、
今こそ新しいことを始めちゃえ！
その日のうちに、
以前から気になっていた教室や
着付け師さんに問い合わせまくった。
その結果、
「妊婦さんなんですね！来週からどうぞ」
と柔軟に歓迎してくれたお教室と巡り会えた。
大学生の時に行っていた着付教室では、
キチキチした年配女性の指導に
いつも硬直で汗びっしょり。
楽しくなくて続かなかった思い出があり、
今回の教室も少しビビっていたーー。
迎えた初日。
通う曜日を担当される先生は、
北海道ご出身で私の故郷九州にもご縁のある方。
「着物の着方に正解はないからね、
右前だけを間違えなければ大丈夫。
あなたが楽しんで着ることが大事です！」
ちょっと前の私はたぶん
やる気満々の熱々タイプでいようとしたけれど、
いまは出来るだけゆるく生きることを
求める生き物になったと思うのでとても心地よいお稽古だ。
そんなこんなで、年明けから始まった週1回のお稽古。
少しずつ大きくなるお腹とお着物セットを
よっこらせと抱えて毎週欠かさず通った。
あっ１回、大雨の日の出勤で体が冷えて
大事をとって休んだけれど。
お腹まるん！
毎回、手際が良くなる。
衣紋を上手に抜けるとらしくなるし、
すすっとシワを伸ばせると嬉しいし、
それを見逃さずに褒めてくれる先生。
私の伸ばし方をよくわかってくれている（笑）
次のお稽古までに1回は自分で着る日を作り
すっかり生活の一部になってきた。
自分で着付けた色無地は、正月に母と夫が選んでくれた宝物
お腹は毎週のように大きくなり
腰紐や帯の位置も変わって難しい…
来週は心身がきつくなってもう最後かな〜
なんて毎回思いながら、なんと、
5月の初級試験まで通うことができた!
そして、無事に筆記と実技の試験に合格。
ポーーーーーン！と飛び出たお腹で着る着物は
ちょっと面白いし愛おしい。
こどもの人が生まれたら
ともに試験を突破してくれたこの色無地で
是非ともお宮参りへ行きたい。
自分の着付で。
これもまた、楽しみだ。
顔もパンパン!
今回の挑戦で出合えた考えかた。
妊婦じゃなくなっても大事にしたい！
「達成しなければいけない！」
という義務感・自分との約束感で頑張る型
↓
「達成できたら、いいな！幸せかも！」
のこっそり楽しみを膨らませてやってみる型
新しいことに挑戦するときの心得にしたい。
お産は命懸けというように
妊娠期間はきっと、誰にとっても繊細だ。
だから、気分が落ちることも
自由が阻まれることに怯えることも
未来を恐れて不安になることも
きっと、当たり前なこと。
先輩ママからの助言を前向きに捉えようとした結果、
新しく何かを始めることにためらいが消えて
気持ちも体も健やかに過ごせるようになったと思う。
いくつになっても
「したい」を追求して生きてゆきたい。
先輩ママたちへ感謝を込めて。
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