“自分たちが取り扱うものに偽りがない。わたしたち自身が気に入っているかは続けていったりする上で大事だなって思う”
11.溝渕由樹 / ヴィーガンベイクショップ 経営者
NYの街角にあるようなキュートなベイクショップ、ovgo B.A.K.E.R。
このお店の焼き菓子はすべてヴィーガンベイクだが、「バターや牛乳は入っていない」と言われなければ気づかないほど、甘く、美味しく、日々行列ができるほどの人気を博している。
そんなお店の代表を務める由樹さんは、食から未来と環境を良くするきっかけを作りたくて企業したという。
ご自身の「すき」「かわいい」と思うものから社会問題に切り込み、飛ぶ鳥を落とすほどの勢いで進出している、由樹さんと彼女が率いるチームの思想について伺いました。
■溝渕由樹(ミゾブチ ユキ)
ovgo B.A.K.E.R 代表。
総合商社で勤務後、DEAN & DELUCA に転職。自身の趣味だったお菓子作りに旅から着想を得たヴィーガンベイクへと昇華させ、小学校からの同級生とともに2019年秋から販売をするようになる。
その後、青山フリーケットなどのポップアップで人気を集め、2021年6月、東京の小伝馬町に1号店ovgo B.A.K.E.R Edo St. を構える。2021年9月には軽井沢に2号店が、2022年3月にはラフォーレ原宿に3号店をオープンした。
ovgo B.A.K.E.R
Instagram: @ovgo_official
オンラインストア: https://ovgo.thebase.in/
由樹さんInstagram: @xoyukiox
_今の仕事を始めたきっかけは?
もともと、誰かとか、何かが搾取されることのない社会作りをしたいと思って総合商社で働いてたんだけど、いろんな理由から転職して、そのタイミングで、2ヶ月くらいアメリカと南米辺りをひとりで旅してたのね。
その時にヴィーガンの人たちとたくさん出会って、初めて環境問題とヴィーガニズムの繋がりを知ったの。
それまでヴィーガンって動物愛護とか、健康のためにみんなしてるんだと思ってたんだけど、それ以上に環境守るためだったり、未来のために自分ができる良い行動だから実践してる人たちがたくさんいて、そのことにすっごい感動したのね。
それに加えて、NYで食べたヴィーガンのお菓子がほんっとに甘くて美味しくて。私がしたいのはこれだ!って思ったの。
動物性の入ったものと、植物性オンリーのもの、どっちもおんなじくらい美味しいんだったら環境にも未来にもベターな選択をできた方がいいじゃん?
いろんな人に日常で気軽に美味しくヴィーガン食品を取り入れてもらいたいと思って、始めたのがきっかけです!
_今の仕事を始めるのに不安はありましたか?また、それはいつ乗り越えましたか?
「これでやっていけるのかな」っていう不安は、やっぱり1回売ってみることでなくなったかな。
前々から趣味でお菓子は作ってたんだけど、会社員時代に「売ってみなよ」って友達に言われても「いやいや、あたしのお菓子なんて…」っていうテンションだったのね。
でもこのヴィーガンベイクは自分が本気で取り組みたいと思ったことだったから、旅から帰ってきてすぐ小学生の頃の同級生2人を誘って、小さなフリーマーケットで出店したの。そこで初めて300円のものが売れたときに、自分たちの作ったものが、ちゃんと社会で価値があるっていう証明になった気がして、すっごい嬉しくって。
それから別のイベントでお客さんいっぱい来てくれて、1日1000枚売れたりするようにもなったんだけど、あの時に初めて1枚売れた嬉しさとあんまり変わらない。それはたぶん、あの1枚が「自分たちはこれでやっていける」っていう確信になったからだと思う。
_発想やクリエイティビティの源泉は?
もともと私もメンバーの子もご飯とかお菓子が大好きで、飯友みたいな感じだったから、お菓子の味は、今まで食べてきたものが引き出しになってる感じかな。
あと、あたしはシンプルが好きだから複雑になってくると「シンプルに、シンプルに」って唱えてる(笑)
お店のインスピレーションはカフェとかを巡るのがずっと趣味だったからそこから結構きてるかな。
味もそうなんだけど、やっぱり自分たちが食べたり見たりしてきた経験値は大きいかもしれない。
_ 働く中で、あるいは生きてる中で大切にしているキーワードを教えてください
自分の直感とか心に従うこと!
でも単にやりたいことをやるだけじゃなくて、そこにはいろんなリスクとか、責任も出てくるじゃん?
それと付き合ってまでやっていこうって心が思えてるかどうかは、結構大事にしてるところかも。
_今日までに学ぶのに最も時間がかかったことや教訓を教えてください
プランって全然思う通りにいかないなっていうのを、ちゃんと自分の中で理解することが1番時間がかかったかな〜。
あたしは自分の性質上、プランを立てたり、ゴールを設定するのがすごい好きだったのね。学生時代はそれで上手くいってたんだけど、社会ってやっぱ人との繋がりだから、自分の思う通りには全然上手くいかない。
今は将来のことは読めなくて当たり前って思ってるから、ざっくりとしたプランを立てて、その時折で軌道修正していくのがベストだと思ってる。
_仕事をやり続ける原動力は?
自分たちが取り扱うものに偽りがない。
もちろんそれは、食材についてもなんだけど、やっぱりあたしたち自身が、自分たちの作るものを気に入ってて、かわいい!大好き!って思えているかは、続けてったり、広めてったりする上で大事だな〜って思う。
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