はじめましてから
小さい頃、自己紹介が苦手だった。
自分の名前とか誕生日とか家族構成とか、そういう答えが決まりきっているものに対しては、もちろんすんなりと答えられた。
しかし問題は、「好きな食べ物は?」「得意なことは?」「休日は何して過ごしてるの?」といった類いのもの。当時は、明確にコレ!と言えるような回答を持っていなかったように思う。
みんなどうして自分の好きなもの・ことがはっきりしているんだろう… 若いなりにいろいろ考え、悩んでいた。
そんな私も大学生になった頃、はじめてはっきりとした「好きなもの」を見つけた。
世界的に人気なイヌのキャラクターである。
いや、そんなの声を大きくして言えるのか、という声が聞こえてきそうである。が、当時の私にとって、自分の好きなものを見つけられた喜びの方がはるかに上回っていたから、全く気にしていなかった。
今では、友人たちにも「そのキャラクター=私」というイメージを持たれてしまうほどになっている。誕生日にもらったプレゼントが全てそのキャラクターのグッズだった時は、さすがに少し公言するのを控えようか…と考えたこともあったが。
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それが転機になったのか(どうなのかは定かではないが)、私は「好きなもの・こと」を少しずつ見つけていけるようになった。
なぜだろう?と考えを巡らせた時に思い当たったことは、
「関わる人が増えたからではないか」
ということである。
自己紹介をする場面というのは、たいてい新しい環境に身を置き始めた頃であろう。つまり、その度に新しい人にも出会うということだ。
何度も環境が変化し、何度も自己紹介をして、たくさんの人たちに出会った。その中で、様々な価値観、考え方に触れてきた。その経験が、私の「好きなこと・もの」を見つけるためのピースになっていたのではないか。
これからもたくさんの人に出会い、少しずつ「自分」を発見していけたらいい。「好きなこと・もの」がたくさんあることは大変結構なことである。しかし、粗探しするのは私の性に合わない。
noteを通して、私自身との会話を楽しんでいこうと思う。
そして、5年後、10年後に自己紹介が得意になっていたらいいな、と密かに意気込んでいるのである。