マスネ『ウェルテル』MET 2014
画像©MET
コロナの年、METの無料配信オペラを4月の半ばから観てきて一番感動したオペラの一つと言ってよい。
METで9/14月8:30amから23時間配信、マスネ『ウェルテル』仏語、1892年初演
https://www.metopera.org/season/on-demand/opera/?upc=811357017296
https://metoperafree.brightcove-services.com/?videoId=6188495464001
Massenet’s Werther
Starring Lisette Oropesa, Sophie Koch, Jonas Kaufmann, David Bižić, and Jonathan Summers, conducted by Alain Altinoglu. From March 15, 2014.
見所
"愛してはならない人を愛してしまった青年が、苦悩の果てに取った行動とは?
原作:ゲーテ「若きウェルテルの悩み」
カウフマンとシャルロット歌いとして世界を席巻するS・コッシュ”
https://www.shochiku.co.jp/met/program/s/2013-14/#program_07
今まで見たオペラで、一番感動したオペラの一つと言ってよい。
どうしてか
カウフマンがとにかく歌手の限界まで歌いきっている
その姿は人として畏敬の念を抱かせる
ウェルテルのシャルロットを思う気持ちに全く嘘がない
観ていて同化し、我を忘れて物語にグッと引き込まれていた
配役がどの人もピタッと合っている
カウフマンの熱情は、これを見てほしい
三幕の「オシアンの歌(どうして僕を目覚めさせるんだ春の吐息よ)」
https://www.youtube.com/watch?v=LsVhftNHALU
Twitterで同意するレビュー表現をひろってtogetterでまとめてみた
https://togetter.com/li/1595422
MET2014年カウフマン&コッシュ出演マスネ「ウェルテル」に感動しすぎて検索したら、同じ人が続々と❣️
以下、一部抜粋:
"猛烈な悲愴感が滲んできて唸らされた"
"ウェルテルと言えば長らくアルフレード・クラウスか音源だけならジェリー・ハドリーだったものをカウフマンは塗り替えるどころか私の唯一無二にしてしまいました"
"高貴な佇まいで当たり役でした。ゲーテを緻密に読み込んだ演技派かつ知的な歌唱と綺麗なフランス語"
"カウフマンすごかったなあ。好き嫌いの域をこえていかなる人も納得させる。オーラもすごい。"
"後半は命をかけた恋情の迫力に目が離せなくなってしまった。"
"カウフマンの表現力に脱帽。オペラへの良い一歩になりました。"
"原作よりずっと官能的、さすがマスネはフランス人。"
あらすじ
"18世紀末、ドイツの都市ヴェツラール。詩人のウェルテル(Kaufmann) は大法官の娘でいとこのシャルロット (Koch) に恋心を抱くが、彼女には親が決めたアルベール (Bižić)という婚約者がいた。打ちのめされるウェルテルだが、恋の炎を止めることができない。アルベールはウェルテルに、身を引くよう忠告する。クリスマス・イヴの夜、ウェルテルからの手紙を受け取ったシャルロットは心を動かされるが、熱い告白とともに抱きしめられ、思わず突き放してしまう。絶望したウェルテルは・・・。" ~ 松竹
キャスト&スタッフ
指揮:アラン・アルタノグル
演出:リチャード・エア
ウェルテル
ヨナス・カウフマン
シャルロット
ソフィー・コッシュ/Sophie Koch
仏b.1969
ソフィー
リゼット・オロペーサ
アルベール
デイヴィッド・ビズィッチ
大法官
ジョナサン・サマーズ
記事・インタビュー動画
演出:リチャード・エアへのインタビュー動画
https://www.youtube.com/watch?v=JY8a9cdz_L4
感動させないほうが不可能だと。二人の偉大な歌手、そして信じられないほどよく表現された、感情に訴えてくる、苦悩に満ちた音楽があるから。
チェンバーオペラなので、舞台を小さくするようにした。
現代人に訴えるところがあるかどうかが大切
🍃🌹🍃
ヨナス・カウフマンへのインタビュー記事
https://www.metopera.org/user-information/nightly-met-opera-streams/articles/perfect-match/
ウェルテルの役は難しい役だからやりがいがあると。
Werther、Don José(カルメン)、Don Carloの方がラテン系恋人役より惹かれる、などなど、読み応えある内容
曲紹介
本作は同じ演出家リチャード・エアにより2016-17年にも再演され、Vittorio Grigoloがタイトルロールを、 Isabel Leonardがヒロインを演じた。
2013-14年シーズン共にこのリンクで多くの動画がみられる。
https://www.youtube.com/c/metopera/search?query=Werther
一幕から、少しずつみていく
最初に登場する歌は、カウフマンはシリアスすぎる。
Vittorio Grigoloの表現が歌詞にあっていると。
Werther: "Ô nature!" (Jonas Kaufmann)
Werther: "Ô nature, pleine de grâce" - Vittorio Grigolo, Conductor: Edward Gardner. 2016-17 season.
一幕の最後がすごく情熱的
舞踏会に二人で行った後、シャルロットの家の前でウェルテルが愛を告白するシーン。この3曲は珠玉
翻訳:オペラ対訳プロジェクトhttps://w.atwiki.jp/oper/pages/346.html
二幕
翻訳:オペラ対訳プロジェクトhttps://w.atwiki.jp/oper/pages/347.htmlから
https://www.youtube.com/watch?v=RprjQDl3f2g
2010年Opéra national de Paris でのウェルテル
🍃🌹🍃
https://www.youtube.com/watch?v=91mRfjNllDk
この歌、Oui! ce qu'elle m'ordonneがすごい
Why forget? Think of me, think of her peace of mind.
Be strong, be kind.
But never see you again. That is impossible.
I don't demand an endless exile. You may return in Christmas
このあたりのセリフが絶妙
最後がすごい!
She orders me to do this for her peace of mind. I will obey.
And if my strength fails me, it is I who will find everlasting peace.
Why do we tremble before our own death?
The curtain is raised and we pass to the other side.
That is what we call dying.
Do we offend heaven by ending our suffering?
When a child returns home from a journey before he is expected...
..far from holding it against him...
... the entire household is overjoyed, and his father gives him a long embrace.
O Lord, who created me, would You be less merciful?
No, You would not cast Your unfortunate son into darkness.
Having divined Your smile in the stars, he would come to You, already forgiven.
Father, whom I do not know, yet in whom I have faith...
...summon me!
三幕
シャルロットのこの手紙を読み上げるシーンもグッとくる
シャルロットのこの歌が悲しくて美しい
Let my tears flow
The tears we do not shed fall back into our souls
Theri steady drops hammer upon the sad, weary heart
Its resistance is exhausted at last
The heart is hollowed and weakens.
The emptiness is too great. Nothing can fill it.
at the heart becomes so fragile that everything breaks it.
そして「オシアンの歌(どうして僕を目覚めさせるんだ春の吐息よ)」↓
カウフマンの熱情がすごかった。
https://www.youtube.com/watch?v=7jaFkWVw64k
2010年Opéra national de Paris でのウェルテルから「オシアンの歌」
https://www.youtube.com/watch?v=fnOHhGnbZsg
こちらはもっと長いシーン
https://www.youtube.com/watch?v=n9f5L9dL2VQ
YouTubeで他の歌手も色々聞いたが、この人がうまい!
感情表現もフランス語のディクションも優れている。
Edgaras Montvidas、リトアニアb.1975
https://www.youtube.com/watch?v=OSZDb8QxomM
2019年3月にノルウェーBergen National Operaでウェルテルのタイトルロールを歌ったらしい。これがその時の予告
https://www.youtube.com/watch?v=0PuPxmGHauI
四幕
そして、最後のシーンが16分以上に渡ってそのままMetのYouTubeから公開されている!
Jonas Kaufmann stars in the title role, opposite Sophie Koch as Charlotte. Production: Richard Eyre. Conductor: Alain Altinoglu.
https://www.youtube.com/watch?v=9ms6y9A9qLw
2010年Opéra national de Paris でのウェルテル上演時
カウフマンへのインタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=XVKL3epThEE
"It could be an overwhelmingly emotional experience. "
~ Antonio Pappano
Joyce DiDonato, Vittorio Grigòl主演2016年Royal Opera House「ウェルテル」音楽監督
カウフマンの実力を知らされたオペラ、そしてゲーテの原作「若きウェルテルの悩み」という文学作品の香りが漂ってくるオペラだった。
追加:
同意するレビューサイト
http://spiritofbeauties.blog12.fc2.com/blog-entry-1092.html
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