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シナトラ研究-8: HBO 4時間ドキュメンタリーAll of Nothing at All (2015) PART Two

Part One備忘録 からの続き

音楽を追いかけながら見たこのドキュメンタリー、字幕を付けて日本で配信したらニーズがあるはず。


パート2はこの映像で始まる

[Love Is] The Tender Trap

作曲:Jimmy Van Heusen
作詞:Sammy Cahn
For 1955 film The Tender Trap Debbie Reynoldsと共演

ところで、Pete Hamill 氏がWhy Sinatra Mattersの著書の最後に次のシナトラの映画を薦めている
1945 Anchors Aweigh・錨を上げて
1949 On the Town・踊る大紐育 (だいニューヨーク)
1953 From Here to Eternity・地上より永遠に
1954 Suddenly・三人の狙撃者
1955 Young at Heart
1955 The Man with the Golden Arm・黄金の腕
1956 High Society・上流社会
1957 The Joker Is Wild・抱擁
1957 Pal Joey・夜の豹
1958 Some Came Running・走り来る人々
1962 The Manchurian Candidate・影なき狙撃者
1968 The Detective・刑事
エヴァガードナーと結婚していた時期、1951年から1957年までの映画が多い。刺激を受けたところがあったのかもしれない。

"In 1949, シナトラは、 Romantic Ideal of the Young
50年代には、成熟した大人。Somebody who sings convincingly of suffering When he gets to Capital, it is a total picture of adulthood, or maturity. "
~Terry Teachout, critic
"50年代には、不死鳥が前の時代の灰から蘇った"
~Sinatra Jr

HBO All or Nothing at All

次に流れたのが↓

Just One Of Those Things

作詞・作曲:Cole Porter
For the 1935 musical Jubilee.
シナトラReleased on: 1954-01-01
編曲:Nelson Riddle

"Sinatra picked his own things. So when you hear a Frank Sinatra album, it's a product of Frank Sinatra's head" ~Riddle

HBO All or Nothing at All

次に流れたのが↓

I've Got You Under My Skin

ドキュメンタリーではこのシナトラ引退コンサート 1971の映像が使われている。ドキュメンタリーの方が画像がよい
観客からエネルギーをもらってノリノリで歌っている
作詞・作曲:Cole Porter
For 1936 musical film Born to Dance
編曲:Nelson Riddle
この曲を急に追加することになり、リドルは徹夜して書き(練習に行く途中の車の中でも書いていて)練習で披露したら、出来が良いので、皆がリドルに拍手を送った。

HBO Programのこの写真の数々はPete HamillのWhy Sinatra Mattersに付録で付いてくるものと同じなのでは?

次にこれ↓

Love and Marriage●1955

アメリカの経済成長期、核実験、ベトナム戦争の映像が次々に流れる。シナトラはベトナム戦争での慰問を申し出るが、コミュニストに勘違いされ、却下される。状況を説明するシナトラは洗練された大人ではない。まさにアウトロー。不良の香りがする

単語帳◉セクション
I ain't going to let them off the hook.
私は彼らを見逃すつもりはない
sumptuous room
豪華な部屋
Does anybody run a check on me?
誰か私の身辺調査をしているか

ここで流れたのが↓

How Could You Do a Thing Like That to Me●1955

Recorded 3/7/1955
Arranged & conducted by Nelson Riddle
Released as a single by Capitol Records 6/6/1955
Included as a bonus track on the CD release of the 1961 LP, Come Swing with Me!

シナトラは公民権運動が高まる前から人種差別に反対
Sammy Davis Jrをサポート
ガードナーが離婚する前に闘牛士と付き合った時に流れていた曲↓

I'm a Fool to Want You

これが入っている1957年に発売された Where Are You? というアルバムがすごくいい。編曲はGordon Jenkins。リドルの編曲ではないキャピトル初のアルバムで、初のステレオ録音だそう。ボーナストラック13-16はRiddle

単語帳◉セクション
She dressed to the nines. She looks smashing.
エヴァはとてもおしゃれに着飾っている。彼女は見事に決まっている。

このドキュメンタリーのこのあたりは、I'm A Fool To Want Youがずっとかかっていて心が痛む。エヴァを一緒にスペインに訪ねた友人の語りが情景をよく表していた 4時間のドキュメンタリーの2:19:00あたり

エヴァガードナーはシナトラを初めて振った女性だった
エヴァと別れ音楽に深みが加わっていった

"It's got a note of stoicism in his music" "All right, Iv'e lost you. I got knocked on my ass. I am getting up now. " ~Pete Hamill

HBO All or Nothing at All

1957年ハンフリーボガードが亡くなった時に相当落ち込んだシナトラ
未亡人になったローレンバコールと付き合って1958年にプロポーズ
プレスに漏れてシナトラが逆上し、終わりになる。流れていた曲↓

Try A Little Tenderness

短気かと聞かれ、 そう、今までに何度謝ってきたことか。 ただ、爆発はあちこちでバルブが作動しているだけで、吐き出す必要はある、と。

The Lady is a tramp (Pal Joey, 1957)

For 1937 Rodgers & Hart musical Babes in Arms   

単語帳◉セクション
"(The music) has a particular kind of salaciousness."
特有のいやらしさがある。好色な、下品な、卑猥な
He wanted to be in the sack with everyone.
彼は誰とでも寝たがっていた。

Mo Ostin、President of Reprise Recordsが登場
Devil at 4 o'clockの撮影時に監督と言い争っていたシナトラを見たのが、最初の出会い
シナトラは、ロックンロールが好きではなかったが、Ostinに説得されてRepriseのアーティストとして招くことになる
1960年Elvisが兵役から戻る
1960年代 rat pack 時代到来

この後、J.F. Kennedy の父の要請でKennedyをシカゴのマフィアとつなげ、大統領選挙をサポートしたシナトラ(Tina Sinatraの証言)が1961年の就任パーティをオーガナイズした所で流れたのがこの曲↓

Fly me to the moon●1964

1954 by Bart Howard
アポロ月着陸1964年発売
arr. Count Basie
It Might as Well Be Swingアルバム収録

ケネディが宿泊したのはシナトラが用意したMini White Houseでなくクロスビー宅だった。ここで流れたのは↓

Don't worry about me●1966

1938 song composed by Rube Bloom, with lyrics written by Ted Koehler.

次に流れたのが↓

Summer Wind●1966

1965 song
原曲:"Der Sommerwind"
曲:Heinz Meier
独語 歌詞:Hans Bradtke
英語 歌詞:Johnny Mercer
1966 Strangers in the Night アルバム

シナトラは
"Incredibly charming,
incredibly wild
incredibly generous
incredibly dismissive (無視する) & tyrannical"
~John Lahr
New Yorkerのドラマcritic
Sinatra:: The Artist and the Man (December 8, 1997)

HBO All or Nothing at All

実業家としてのシナトラ 映画制作会社、レコード会社、音楽出版会社、タイタニウム製造会社、航空機チャーターサービス
"シナトラを定義するのは、休むことなく動いているということだ"
~John Lahr

ここで流れたのは

Come Fly with Me●1958

作曲:Jimmy Van Heusen
作詞:Sammy Cahn
編曲:Billy May
この曲は"Come Fly with Me" アルバムに収録されている
このアルバムもいい曲が多い

チャリティ活動、黒人の刑務所慰問
流れたのが↓


Ol' Man River

作曲:Jerome Kern
作詞:Oscar Hammerstein II
For 1927 musical Show Boat
Ol' Man Riverを最初にシナトラが歌ったのは 1946 MGM film "Till the Clouds Roll By"のクライマックスシーン。

1963年11月J.F. Kenney の暗殺
ここで流れたのは

I'll Never Smile Again●1940, 1959, 1965

Frank Sinatra included it on his 1959 No One Cares album. He also re-recorded the song in 1965 for the double album A Man and His Music, complete with faithful reproduction of the celeste and choral accompaniment which characterized the 1940 recording that was arranged by Fred Stulce

wikipedia

その後、Frank Jr. の誘拐
無事戻ってきて会見を開いた時の音楽↓

Ill Wind●1955

作曲:Harold Arlen
作詞:Ted Koehler.
For their last show at the Cotton Club in 1934
In the Wee Small Hours (1955)アルバムに収録

ミアファローとの出会い 本人が電話インタビューを受けている

I Concentrate On You●1967

a song written by Cole Porter
for the 1940 film Broadway Melody of 1940
Frank Sinatra & Antônio Carlos Jobim アルバム

次にかかった曲↓

Ring-a-Ding-Ding!●1961

作曲:James Van Heusen
作詞:Sammy Cahn
編曲:Johnny Mandel
Ring-a-Ding-Ding!1961アルバム

単語帳◉
"In Las Vegas, they call women broads"
ミアファロー

"シナトラはレコードの録音やホテルのショーの前6週間、禁煙・禁酒する"
ミアファロー

I've Got a Crush on You ●1969

曲:George Gershwin
詞:Ira Gershwin
For ミュージカル Treasure Girl (1928) & Strike Up the Band (1930)
Nice 'n' Easy 1969アルバムに収録

次にノリの良いこの曲↓

Get Me To The Church On Time●1966

曲:Frederick Loewe
詞:Alan Jay Lerner
For 1956 musical My Fair Lady
Live At The Sands Hotel And Casino/1966 アルバム

ミアファローと結婚そして離婚
ミアファローと付きあい、結婚していた時期、1964年から1968年にもいい曲をたくさんリリースしている。

That's Life●1971 Retirement Concert

1963 popular song written by Dean Kay and Kelly Gordon
1966 That's Life アルバム
"Public demands this song."

父が他界

"Someone to Watch Over Me"

曲:George Gershwin
詞:Ira Gershwin
For the musical Oh, Kay! (1926)
1946 The Voice of Frank Sinatra アルバム
1954 for the film Young At Heart
Sinatra's popular recordings helped cement the standard slow style

シナトラは民主党だが、レーガンとニクソン(Spiro Agnew) を支持したというクリップの後 1969年8月にRepriseからRod McKuenがソングライターの
次のアルバムを発売したが、評判がよくなくて売れなかった

A Man Alone●1969


編曲・指揮:Don Costa

次に発売したこのアルバム は3万枚しか売れなかったので、引退を決意する

Watertown

ちょっとカントリーっぽい
 編曲・指揮:Joe Scott

次に

My Way ●1971 Retirement Concert, 56歳

1974年のカムバックコンサート
次に読まれたのがPete Hamill のWhy Sinatra Mattersの最後に書かれた言葉。このドキュメンタリーの監督が読んでいる。以下、AI 翻訳

シナトラがバーバラ夫人と結婚し、世界のドームでコンサートを開き、チャリティーを精力的に行い、そこで流れていたのが↓

Just The Way You Are

by ビリージョエル
1980 Trilogy: Past, Present & Future アルバム

プレス嫌いのシナトラ
激しい罵りの言葉

A Hundred Years From Today●1984

曲:Victor Young
詞:Ned Washington / Joe Young
For Blackbirds of 1934
"L.A. Is My Lady" is the 57th and final solo studio album by Frank Sinatra, released in 1984 and produced by Quincy Jones.

次にかかったのは

New York New York

そしてこの4時間のプログラム、最後に読まれたのが、Pete Hamill氏のこのWhy Sinatra Mattersの最後の一節。 ただ”His cruelties were unforgivable.”が原文から省かれている。AI翻訳

最後の最後の音楽はこれ テレビのシナトラショーでの最後はいつもこれだったらしい。上着を肩に引っ掛けて去っていくシーンがこのドキュメンタリーの最後。

Put Your Dreams Away


感想

シナトラという人について
人生は一度きり
すごい野心で「常に先を見据え」生き切った人だった
精力的な人
精神的にセンシティブでもあり、タフでもある人

The man is an incorrigible optimist.
その男はどうしようもない楽天家
~シナトラ

これに尽きる

音楽で言えば、常に自分の歌いたい歌を探すアンテナを張り
セルフプロデュースを最後の最後までし続けた
いい曲だと思ったら、誰が歌っていようが歌う
昔の曲からも発掘する
シナトラのおかげで日の目を見た、スタンダード化した膨大な数の曲がある

このドキュメンタリーは、シナトラのいろんな曲が彼の人生に合わせて、常にバックにかかっているのが魅力。シナトラの肉声(盛りも少しある?)や親しい人のインタビューや事実から作り上げている印象を受けた。

おすすめ!

シナトラ研究 資料



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