即身仏
即身仏(そくしんぶつ)とは、生きたまま仏となる修行を経た僧侶の遺体を指します。
これは主に日本の山形県や秋田県など東北地方を中心に見られる文化で、密教の教えに基づいて行われました。
即身仏になるための修行は非常に厳しいもので、自身の身体を仏として後世に残すことを目指していたようです。
即身仏の背景と思想
即身仏は、仏教の「六道輪廻(ろくどうりんね)」や「菩薩行(ぼさつぎょう)」の思想と密接に結びついています。
六道輪廻は、生きとし生けるものが生死を繰り返すとされる仏教の教えであり、即身仏になることでこの輪廻を断ち切り、他者を救済する力を持つ仏になると考えられていたのです。
修行者たちは、地元の人々の平和や幸福を祈りながら、苦行を重ねました。
この行為は、自己犠牲的な精神を象徴しており、自分の命を捧げてでも人々を救いたいという強い願いが込められているのですね。
即身仏になる修行
修行は数年にわたり行われ、段階的に進みます。
以下が主な流れです。
断食と山中修行
粗食を取りながら、山中で厳しい修行を行います。これは体内の脂肪を減らし、ミイラ化しやすい状態を作るためですね。漆の摂取
最終段階では、毒性のある漆を少量ずつ摂取します。これにより体内の腐敗を防ぐとされました。瞑想による入定(にゅうじょう)
最後には地中の小さな石室などに入り、瞑想状態のまま命を終えます。自らを生きた仏として捧げる、この行為が即身仏への道なのです。
現代における即身仏
現在、即身仏は文化財として保護されており、観光地や信仰の対象として多くの人々に敬われています。
ただ、現代ではこうした修行は行われておらず、即身仏は過去の厳しい信仰の象徴として受け止められています。
即身仏を通じて、昔の人々の信仰心や自然と調和した生活観を知ることができるのは、とても興味深いことです。