狭山茶寮ぷれみあむ　さやま茶らんぐ／ラング・ド・シャ ミュージアム

狭山茶寮ぷれみあむ　さやま茶らんぐ　（小）
収集年：2024
購入場所：関越自動車道　三芳パーキングエリア下りショッピングコーナー
形：正方形型
内容量：12個
価格：1,172円（購入当時）
製造地：
販売者：ケヤキ堂＋M260B
特徴：日本三大銘茶のひとつである狭山茶を使用したラングドシャ。狭山茶は、狭山丘陵周辺で生産され、香り高く味わいが濃いことが特徴。生地およびチョコレートに狭山茶が混ぜ込まれ、茶葉の風味が広がるよう設計されている。2014年、iTQi（国際味覚審査機構）にて優秀味覚賞「★★」を受賞。フランス菓子と日本茶の要素を融合させた一品である。

短編小説「ほうじ茶色の陰謀」

第1章 蔵の秘密を紐解く

東京・銀座の一角に佇む老舗の茶問屋「芳翠園」。その重厚な扉を開けると、そこには何百年もの時を経た木造りの建物が広がっていた。芳翠園の跡取り娘である美鈴は、この古き良き茶問屋の伝統を守りながらも、新しい時代へと繋げたいと願っていた。

ある日、美鈴は、ひょんなことから蔵の奥深くに隠された書物を見つけた。それは、芳翠園の創業者から代々受け継がれてきたという、秘伝のほうじ茶の製法が記されたものだった。薄黄色の紙に墨で書かれた文字は、まるで時の流れを感じさせる。しかし、書物には所々、虫食いのような跡があり、重要な部分が欠けていた。

美鈴は、この欠けた部分を補完することで、芳翠園のほうじ茶をさらに発展させたいと考えた。蔵の中で、古ぼけた茶器や茶葉のサンプルを眺めながら、美鈴は深呼吸をした。ほうじ茶の香ばしい香りが、静かな蔵の中に広がる。

ちょうどその頃、顧客から贈られた「狭山茶寮ぷれみあむ　さやま茶らんぐ」を味わった美鈴は、現代の技術と伝統的な製法を融合させる可能性を感じた。滑らかな舌触りと、上品な香りに包まれながら、美鈴は、芳翠園のほうじ茶にも、このような革新的な変化を加えることができるのではないかと考えた。

美鈴は、書物に記された文字を一つ一つ丁寧に読み込んでいった。古文体の言葉は、現代の美鈴には少し難解だったが、そこには芳翠園の創業者たちの熱い思いが込められているように感じた。

「このほうじ茶は、単なる飲み物ではない。それは、私たちの魂を繋ぐものだ。」

書物の一節を読みながら、美鈴はそう確信した。そして、欠けた部分を補完するためには、芳翠園の歴史を深く掘り下げる必要があると悟った。

第2章 狭山茶の故郷へ

蔵で古文書と対峙した美鈴は、欠けた部分を補完するため、ほうじ茶のルーツを辿る旅に出る決意をする。そして、芳翠園の茶葉を長年栽培してきた老農家、宗介のもとを訪れた。

宗介の茶畑は、都心から離れた静かな丘陵地帯に広がっていた。深呼吸をすると、生暖かい風が頬を撫で、緑茶の爽やかな香りが鼻腔をくすぐる。宗介は、美鈴を温かく迎え入れ、古民家の縁側に腰掛けさせた。

「この茶畑は、私の祖父の代から続く。この土地の土壌と気候が、芳翠園のほうじ茶を特別なものにしてきた。」

宗介は、若き日の自分と重なるように、美鈴を見つめた。そして、ほうじ茶の製法について語り始めた。

「ほうじ茶は、ただ単に茶葉を炒るだけではない。火加減や時間、そして、茶葉の種類によって、全く違う味わいが生まれる。それは、まるで料理と同じだ。」

宗介の言葉に、美鈴はほうじ茶に対する理解を深めた。宗介は、美鈴に見せるように、丁寧にほうじ茶を点てた。深緑色の茶葉が、熱湯の中で踊るように広がり、部屋中に豊かな香りが満ち溢れる。

「この茶碗は、私の祖父から譲り受けたものだ。この茶碗で飲むほうじ茶は、格別な味わいなんだ。」

宗介は、そう言うと、美鈴に茶碗を手渡した。美鈴は、ゆっくりと茶碗を持ち上げ、一口飲む。口の中に広がるのは、香ばしい香りと、ほんのりとした甘み。それは、今まで味わったことのない、深みのある味だった。

「この味を、未来へと繋いでほしい。」

宗介の言葉に、美鈴は静かに頷いた。そして、古文書の事を打ち明ける。

「実は、蔵で見つけた古文書に、ほうじ茶の製法が書かれているのですが、一部が破損してしまっていて…」

宗介は、美鈴の話を真剣に聞き、古文書を見せてもらう。

「これは、貴重な記録だ。しかし、この暗号を解読するのは簡単ではないだろう。」

宗介は、美鈴に古い地図を見せた。それは、芳翠園の茶畑の周辺図だった。

「この地図には、何か秘密が隠されているかもしれない。」

宗介の言葉に、美鈴は再び希望を見出した。

第3章 古文書の謎を追う

狭山茶の故郷を訪れ、老農家の宗介から多くのことを学んだ美鈴は、再び芳翠園に戻った。蔵に保管されていた古文書を前に、彼女は決意を新たにする。欠けた部分の謎を解き明かし、芳翠園のほうじ茶に秘められた歴史を明らかにする。

宗介からもらった古地図を広げ、美鈴は目を凝らした。そこには、芳翠園の茶畑だけでなく、周辺の寺社や古民家などが詳細に描かれていた。地図の隅には、見慣れない記号がいくつか書き込まれていた。宗介は、この記号が古文書の暗号と何か関係があるのではないかと話していた。

美鈴は、大学で古文書学を専攻する友人、明美に相談することにした。明美は、古文書の画像データを詳しく分析し、記号の意味を解読しようと試みた。

「この記号は、昔の商人が使っていた暗号に似ているわ。でも、完全一致するものはないのよね。」

明美は、頭を悩ませながら、古文書の専門家にも意見を求めることにした。

一方、芳翠園のライバル会社「緑葉園」の若き社長、圭吾は、芳翠園の動きを注視していた。圭吾は、芳翠園の秘伝のほうじ茶を手に入れるためなら、どんな手段もいとわない。彼は、自分の部下に命じ、芳翠園にスパイを送り込んだ。

スパイは、美鈴の行動を密かに監視し、得た情報を圭吾に報告する。圭吾は、美鈴が古文書の解読を進めていることを知り、ますます焦りを募らせる。

美鈴は、古文書の暗号を解読するため、様々な文献を調べたり、専門家から話を聞いたりした。しかし、なかなか手がかりは見つからない。焦りを感じながらも、美鈴は諦めずに調査を続けた。

ある日、美鈴は偶然、古い寺を訪れる機会を得た。その寺の蔵には、貴重な古文書が数多く保管されていた。美鈴は、寺の住職に頼み込み、古文書を閲覧させてもらう。

古文書を捲りながら、美鈴はふと、ある一文に目が止まる。そこには、芳翠園の創業者に関する記述があり、そして、その記述の中に、古地図に描かれていた記号と酷似したものが記されていた。

第4章 隠された真実

古寺の蔵で見つけた古文書の一節は、美鈴にとって大きな突破口となった。その記述と古地図に記された記号は、驚くほど一致していた。美鈴は、この古文書が、芳翠園の創業者たちが、ほうじ茶に隠されたある秘密を後世に伝えるために残したものであると確信した。

明美の協力のもと、美鈴は古文書の暗号解読にさらに力を入れた。二人は、古文書の文字の組み合わせや、記号の配置パターンを徹底的に分析し、ようやくその意味を解き明かすことに成功する。

暗号が解読されると、そこに現れたのは、芳翠園の茶畑の地下に隠された宝箱の存在を示唆する地図だった。その宝箱の中には、ほうじ茶の製法に関するさらなる秘密が隠されているのではないかと、美鈴は確信した。

一方、圭吾は、美鈴が古文書の謎を解き明かそうとしていることを察知し、焦りを募らせていた。彼は、部下に命じ、美鈴の動きをさらに厳重に監視させる。そして、美鈴が宝箱を見つける前に、その手を汚そうと企む。

ある夜、美鈴は、古地図を頼りに、芳翠園の茶畑へと向かった。懐中電灯の光を頼りに、地下へと続く隠し通路を探し始める。道中、崩れかけた壁や、蜘蛛の巣が張られた暗い空間を進む。

ようやく、宝箱が隠された場所へとたどり着いた美鈴。しかし、そこには圭吾の姿があった。圭吾は、美鈴を脅し、宝箱を開けようとする。

「この宝箱は、俺のものだ！」

圭吾は、そう叫びながら、宝箱の鍵を探し始めた。しかし、美鈴は諦めなかった。彼女は、圭吾の隙をついて、宝箱の鍵を手に入れる。そして、宝箱を開ける。

宝箱の中には、古い書物と、一粒の種が大切に保管されていた。書物には、ほうじ茶の製法だけでなく、芳翠園の創業者たちの想いが綴られていた。それは、平和な世界を築くために、ほうじ茶の力を利用したいという、壮大な夢だった。

一方、種は、芳翠園の創業者たちが大切に育ててきた、特別な品種の茶の木の種だった。この種を育てれば、より美味しく、そして人々の心を癒すようなほうじ茶を作ることができる。

美鈴は、宝箱の中身を見て、感動すると同時に、大きな責任を感じた。彼女は、芳翠園の伝統を守り、創業者たちの夢を実現させなければならない。

第5章 新しい章へ

宝箱から現れた種と、創業者たちの想いを記した書物を手に、美鈴は芳翠園の未来を託されたことを深く感じた。彼女は、この種を大切に育て、新しいほうじ茶を生み出す決意を固める。

まず、美鈴は、種を育てるための最適な環境を整えることから始めた。古文書に記された栽培方法を参考に、日当たりの良い場所に小さな温室を作り、種を蒔いた。毎日、丁寧に水をやり、成長を見守る。やがて、小さな芽が出始め、美鈴の心は希望で満たされていく。

一方、圭吾は、美鈴が宝箱を見つけたことを知り、激怒していた。彼は、部下に命じ、芳翠園に再び侵入し、種を奪おうとする。しかし、美鈴は、圭吾の企みを察知し、事前に対策を講じていた。

圭吾の部下が芳翠園に忍び込んだ時、美鈴は、温室に仕掛けた警報装置を作動させる。警報音が鳴り響き、圭吾の部下たちは、慌てて逃げ出した。

この事件を機に、美鈴は、芳翠園のセキュリティ強化を決意する。防犯カメラを設置し、警備会社とも契約を結んだ。

時が経ち、種は大きく成長し、立派な茶の木になった。美鈴は、この茶の木から収穫された茶葉を使い、新しいほうじ茶をブレンドする。それは、芳翠園の伝統を守りつつ、現代の人の好みに合わせた、全く新しい味わいのほうじ茶だった。

新しいほうじ茶は、芳翠園の名声をさらに高め、多くの人々に愛されるようになった。美鈴は、ほうじ茶を通じて、人々に癒しや安らぎを与えたいと願っていた。

ある日、美鈴は、街を歩いていて、偶然、圭吾と顔を合わせる。圭吾は、すっかりやつれており、かつての自信は影も形もなかった。美鈴は、圭吾に声をかけ、芳翠園の新しいほうじ茶を勧める。

「このほうじ茶は、あなたにもきっと気に入ってもらえると思います。」

美鈴の言葉に、圭吾は複雑な表情を浮かべた。そして、ほうじ茶を一口飲む。

「これは…。」

圭吾は、その味に心を打たれた。彼は、美鈴の才能と情熱に感心し、自分の愚かさを悟る。

第6章 芳翠園の未来へ

新しいほうじ茶は大評判となり、芳翠園は再び活気を取り戻した。美鈴は、創業者たちの想いを継ぎ、ほうじ茶を通じて人々に幸せを届けるという夢に向かって、日々奮闘していた。

芳翠園の成功を妬む声も少なくなかった。特に、ライバル会社の緑葉園は、芳翠園の新しいほうじ茶に対抗するため、様々な策略を企てた。しかし、美鈴は、周囲の意見に振り回されることなく、自分の信じた道を突き進んでいく。

ある日、美鈴は、海外の茶専門誌から取材の依頼を受ける。雑誌の編集者は、芳翠園の新しいほうじ茶に興味を持ち、その製法や歴史について詳しく聞きたがっていた。美鈴は、この機会を逃すまいと、積極的に取材に応じる。

雑誌に掲載された記事は、世界中の茶愛好家の注目を集め、芳翠園のほうじ茶は、たちまち国際的な人気商品となった。海外からの注文が殺到し、芳翠園は、世界に向けてほうじ茶を発信する拠点へと成長していく。

美鈴は、海外の茶園を訪れ、現地の茶農家と交流したり、国際的な茶の品評会に出展したりするなど、積極的に海外展開を進めた。そして、芳翠園のほうじ茶を世界共通語にしたいという大きな夢を抱くようになる。

一方、美鈴は、地域貢献にも力を入れていた。地元の学校で、ほうじ茶の栽培体験教室を開催したり、地域のイベントに参加したりして、地域の人々との交流を深めていく。

ある日、美鈴は、地元の子供たちと一緒に、ほうじ茶を使った新しいスイーツを開発することにした。子供たちのアイデアを取り入れ、ユニークで楽しいスイーツが誕生。このスイーツは、地元の人々に大好評となり、地域の活性化に貢献した。

時が経ち、芳翠園は、世界中の人々に愛される茶問屋へと成長した。美鈴は、創業者たちの想いを胸に、これからも芳翠園を発展させていくことを誓う。

第7章 永遠の芳翠園

芳翠園は、美鈴の情熱と努力によって、世界的に有名な茶問屋へと成長した。ほうじ茶は、もはや単なる飲み物ではなく、人々の心を繋ぐ文化となり、世界各地で愛飲されるようになった。

ある日、美鈴は、かつてのライバルであった圭吾から一通の手紙を受け取る。手紙には、圭吾が世界各地を旅しながら、様々な茶葉を研究し、新しい茶の文化を築くために尽力していることが綴られていた。圭吾は、美鈴にこう書いた。「あなたの情熱に感銘を受け、私も茶の世界で貢献したいと思うようになりました。」

美鈴は、圭吾の言葉に心を打たれ、彼との再会を決意する。二人は、かつてのライバルから、互いを尊重し合う仲間へと変わっていた。そして、一緒に新しい茶の文化を築くことを誓い合う。

一方、芳翠園では、若き才能ある茶師たちが育ち始めていた。美鈴は、彼らに芳翠園の伝統と、ほうじ茶の素晴らしさを伝えていく。そして、彼らが自分たちの手で、芳翠園をさらに発展させていくことを願っていた。

時が流れ、美鈴は、老いを迎えた。彼女は、穏やかな笑顔で、生涯を芳翠園に捧げたことを満足していた。そして、ある日の夕暮れ時、静かに息を引き取った。

美鈴の葬儀には、世界中から茶関係者が集まり、彼女への感謝の気持ちを述べた。そして、芳翠園のほうじ茶は、これからも、人々の心を癒し、未来へと繋いでいくことを誓い合った。

それから数十年後も、芳翠園は、変わらず人々に愛される茶問屋として存在し続けていた。芳翠園のほうじ茶は、美鈴の想いを引き継ぎ、世界中にその香りを広げていく。そして、芳翠園の物語は、これからも永遠に語り継がれていくのであった。