14歳、開店休業を聴く
昨日はこどもの日だった。
ラジオで特別番組「14歳のプレイリスト」を放送していた。
リスナーが14歳前後の頃聴いていた曲を募集しそれを紹介する番組で、興味深く聴いた。
そこで、私の14歳のプレイリストは何だったかなと思い出してみた。
1980年生まれの私は、ユニコーンの『開店休業』だ。
この頃、姉の影響でユニコーンを聴き始め、『ヒゲとボイン』というアルバムの中に入っていた曲。
東北の田舎に住んでいた中学2年の私は、陽キャばかりの同級生が居るクラスが嫌で嫌でしょうがなかった。
教室から逃げたくて、休み時間は部活に没頭した。
吹奏楽部でパーカッションを担当していたので、音楽室でドラムスティックを練習用のゴム板に打ち付ける基礎練をひたすらしていた。
当時は「明るくて、元気、積極的」な子が評価が高い傾向があり、真逆でひねくれていた自分はダメな気がして、劣等感でいっぱいだった。
その頃の少女漫画の主人公も、ドジだけどテンション高くて明るいみたいな子が多かったし、同級生はみんなミスチルを聴いていた。
ユニコーンを知ってる人はいなかった。
36人いるクラスの中で、私は孤独を感じていた。
でも、音楽を聴いている時や、部活でみんなと演奏している時は悩みを忘れられた。
「開店休業」は、間で入るドラムがすごくかっこよくて、部活の練習中にこっそりコピーした。
アルバムの真ん中にあるどちらかというと地味で、歌詞はヒモ目線のダメダメな曲だ。
しかし、全体に漂う気だるい雰囲気と、そこに載せられた歌詞、
大きな雲が流れていくよ
小さな声の虫も死んでいく
という箇所は情景がリアルに目に浮かび、シンプルなのに印象的で、何度聴いても、今聴いても色褪せない。
そしてこの曲のように、明るくて元気じゃなくても、人の胸を打ち、好かれるのかもしれない、と自分が救われた記憶がある。
こういうのもアリなんだな、と。
(余談ですが、後に発表されたフジファブリックのカバーも最高です)
14歳の私は、田舎の狭い世界で生きていたからこそ悩みも多かった。学校に行くのが毎日憂鬱だった。
しかし、歳を重ねていろんな人と関わるようになると、人にはグラデーションがあり、陽気なだけじゃなくて暗いところもあるし、逆もありえるということを知った。
自分だってそうだ。好きなものに対しては素直に向き合うし、その時は積極的で活き活きとしている。
ミスチルだって明るい曲ばかりじゃない。
のちに、私も中学の頃ユニコーン好きだったよ!という同級生に出会えてとても嬉しかった。
私の人生において、音楽は大きな影響をもたらしてくれた。人と仲良くなるきっかけだったり、辛いときに救われたり。音楽がなかったら、私は折れていたかもしれない。
いろんな事を思い出した。
みなさんの14歳のプレイリストは何ですか?