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恩送り。



なんだか地元に久しぶりに帰ってきたら色々と街の雰囲気が変わっていて。


知らない建物が立っていたり、なかったはずのフランチャイズのお店がたくさん出来ていたり。



長い月日が過ぎたことを実感せざるを得ないと言いますか。


音楽活動を始めた頃私はまだ10代で、先輩ミュージシャンの大人達にそんな歳でJazz歌ってんの?とか、まだまだ若いんだから、なんて言われていまして。


それはそれは色んなことをご指導頂いてきまして。


嫌な思いもしたけれど、中にはとても真っ当なことを教えてくれた有難い先輩達の教えもあって。


そんな先輩達の教えが今の人生に活きているなと思い返していまして。



そうして今30代半ばになり、いつの間にやら音楽をしている若者達が増えてしまっていて、どこかでその若者達と演奏する機会も出来たりして。



そんな時に、見て見ぬ振りをしていいのだろうか、口うるさく言ってしまっていいのだろうか、と葛藤することがありまして。



どうも地元での嫌な思い出として残っているのが、先輩ミュージシャン達の中に"歌の伴奏なんて適当でいい"くらいの気持ちであまり自分との演奏に真剣に取り合ってくれない人がいたのを思い出しまして。


その人との演奏がどうしても嫌で、避けるようになったのですが。


なんと言うか、私が作る楽曲だけではなく、どの曲も、自分本位な演奏をすると言いますか。



大抵の歌い手には歌いたい方向性みたいなものがあって。


同じ方向を向いてくれない演奏と言いますか。



そこを無視されるととっても歌い辛いし楽しくない演奏になってしまうんです。



でもそんな人に限って見てくれがいいからか人気者で、誰かに合わせなくても自分のやり方だけで生きていけますから!みたいなプライドが高い、人の言うことなんか聞かない!みたいな人だったりして。


それでそんな先輩の背中を見ている若いミュージシャンは、へぇ、それでいいんだぁ!ってマネしちゃうだろうなぁって。


地元に帰ってきてそんなことを思って。



たまにしか地元にいない私が偉そうなことは言いたくないけど、一緒に演奏する機会があるなら、なんかこう、誰かと演奏することって、同じ方向を向くことってとても大切だし、それが演奏をしていく中で楽しみにも変わるものなんだよって、若いミュージシャンに伝わったらいいのになって思って。


今まで私にそういう大切なことを教えてくれたたくさんの先輩達への恩を返すのは中々難しいのですが、恩送りだったら今からでも出来るのかなって。


恩を返すのではなく、恩を次の世代に送る。


自分が受けた恩を、若い世代の人達に送ることが出来たら、その大切なことはずっと引き継がれていくんじゃないかなと。


そんなことを思うようになった私は流石に歳を重ねてきたのだなぁと改めて。



いつまでも可愛い後輩でいたかったのですが。笑


若い才能のあるミュージシャンというのはどんどん生まれているのですね。


たくさんのかっこいい先輩達が教えてくれたことを胸に、今日も音楽を続けられていることに感謝しながら、そんな素敵な先輩達の言葉を、気持ちを、次の世代の方々にどうにかして伝えられたらいいなと思ったんでした。



今日はそんな、恩返しなんて宝くじでも当たらない限り中々難しいけど、恩送りなら今からでも出来るかも知れないお話でした。


気付けば土曜日!バタバタしてて汗


また来週!!




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