「蒼い神様とピンクの神様」第4話神様がやってきた
じゅんちゃんのおうちに神様がやってくることになった。
じゅんちゃんは最初、神様に興味がなかった。ある日、じゅんちゃんの先生のおうちに、人形の形をした神様が出現した。みんなが神様を気に入って、次々に自分のおうちに連れて帰っていった。
「私はほかのお人形があるからいいわ。UFOだって持ってるし」って思ってた。
神様人形に出会った人たちは、神様に頬ずりしたり、カバンに入れてお出かけ先に連れて行ったりすると聞いて、「えっ?!」」って思った。でも、みな一様にうれしそうな顔をしていた。
「この神様たちには一体どんな秘密が隠されているの?」
好奇心旺盛なじゅんちゃんは、その秘密を知りたくなった。
ある日、おともだちのかずちゃんも神様をもっていた。かずちゃんも!
かずちゃんはとてもうれしそうだった。
かずちゃん、よかったね!私は幸せそうに神様を抱くかずちゃんを見てそう感じた。
理由はどうであれ、神様には持ち主を笑顔にする何かがあるようだ。
そのとき、私もほしいなー、ちょっと持ってみようかなとふと思った。
持ったらどうなるんだろう?何十万もするわけじゃない。お年玉をかきあつめれば1万円なら手が出せる額だわ。よし、試しに買ってみよう!
なんでも試してみないと気が済まないじゅんちゃん。
そのとき先生のおうちには、ピンクの神様と緑色の神様が、引き取り手が来るのを待っているところだった。
じゅんちゃんはピンクの子が気になった。
すごいかわいいー、って思ったわけでも、なんだかすっごい惹かれる、って思ったわけでもない。
どっちかというとピンクの子かな。私ピンク好きだし、ぐらいの気持ちだった。
でも、なんだかうちに来る気がした。
来る予定の受け取り手が来なかったら、うちに来てもらうことになった。仮予約。
数日後。
先生から連絡があり、来るはずの受け手がこなかったとのこと。キャンセルとなったのだ。
晴れてピンクの子がうちに来ることになった。
あ、うれしい!
それなのに、じゅんちゃんは神様を連れて帰った日の記憶があいまいだ。
先生が神様を白い椅子に座らせてくれ、写真にとったことは覚えている。
UFOに乗った時の記憶は消されるというが、それに似てるのかな?(笑)
神様がとうとうじゅんちゃんのおうちにきた。
おうちにちょうど二人掛けのミニチュアのベンチがあった。
かなり前からじゅんちゃんちにあったもので、使い道もなく転がっていた。
じゅんちゃんは神様をベンチに座らせた。
神様はなんだかびっくりした顔をしている。目を見開いて固まっているかのようだ。
じゅんちゃんは神様の顔をのぞきこむ。
誰かに似てるわ、このおめめ。
眼とまつげがぱっちりしてる神様。
そうだ、あの子に似てる!
じゅんちゃんと大の仲良しのあの子。とても目のきれいな子。
ふだん落ち着いている子だけど、じゅんちゃんがびっくりさせるようなことをしたとき、ぱっちりおめめが、さらにぱっちりになる。
あの子がびっくりしたときの顔に似てるわ。
あんまり会えないから、神様になって遊びにきたのかしら?うふふ。
「神様、よくきてくださいました」
じゅんちゃんはピンクの神様にはなしかけてみた。
「うん、ここに来たかったんだよね僕」
えー!神様がしゃべった?!
そして、僕?!女の子じゃなかったの?!ピンクだから女の子と思っていたけど、男の子なの?!
「じゅんちゃんのそばにいれてうれしいなあ。じゅんちゃんよろしくね」
よろしくおねがいします。神様。
こうしてピンクの神様はじゅんちゃんちに来たのでした。