カナダで1年3ヶ月働いた会社をレイオフになった話
バンクーバー在住のUIデザイナー、Annaです。
前回、未経験から渡航してカナダのSaaS企業でUIデザイナーとしてオファーをもらった話(かなりの時差投稿)を書いたのですが、まさかのその直後にレイオフになりました!ポジティブに過ごしてますが、ビザやら仕事探しやらやる事がたくさんある状況です。
2023年7月に働き始めて、2024年3月に8ヶ月の有給インターンを終えて正社員のオファーを貰い、9月末頃にレイオフになりました。レイオフになりましたが、計1年3ヶ月とても良い環境で働けて良かったです。デザイナーとして海外就職できた会社だったので思入れもあります。
今回はレイオフまでの流れやその後やったこと、今後の事についてまとめていきたいと思います。
そもそもレイオフって何?
「解雇」はLayoffとFireの2種類があり、めちゃくちゃ簡単にいうと下記の通りです。
私の会社は会社の規模が徐々に大きくなってきた昨年の12月から、両パターンの解雇が増えていました。(入社時は50人くらい→最近は65、70人くらいの規模)。今回のも含めると約20人くらいLayoffまたFireになってると思います。
Layoffの場合、例えば経営方針が変わってプロジェクトチームを解体した時に、一部のプロジェクトメンバーが対象になりました。
Fireの場合、成果を残せていないセールスや、ステークホルダーに対し批判的な意見ばかりでチームの和を乱すような人が対象になっていました。平社員だけでなく、チームが成果を残せていないとマネージャー陣も普通に切られます。(彼らは給料も高いので)
日本だと雇用がかなり守られているので、よっぽどなことがない限り聞かないと思いますが北米のテック業界は結構あるあるだと思います。
私の会社はチームの雰囲気も良くてホワイトでしたが、唯一不安だったのは自分の雇用が守られていないことでした。
レイオフされるまでの流れ
CEOからの発表でレイオフされる覚悟を持つ
1、2ヶ月前くらいからプロダクトに結構大きめのTech issueが発生し、解決のために大規模な作業が必要で時間がかかっており、その影響でユーザー数がかなり減ってしまっている状況でした。
レイオフの1週間前に、毎週行われる全従業員参加のミーティングで、CEOから会社の財務状況の説明と、「極力レイオフを避けるために他のところでできる限りのコストカットを試みたが、レイオフをしなければならない状況」と伝えられました。そのミーティングがあった週の金曜日までに詳細が決まって、翌週に誰かしら(人数は発表されてなかった)がレイオフになることが分かりました。
その時からデザインチームから選ばれるなら私だろうと腹を括ってました。笑 デザインチームは5人いるのですが、私(UI&Visual Designer)以外の4人はProduct Designerなので、プロダクトから一番遠い且つ一番デザイナー歴が浅い自分が対象になるだろうと思いました。
レイオフ当日
朝9時にデザインチームのマネージャーから「10時に大切なミーティングがある」と連絡が来て、嫌な予感が的中しました。そのミーティングまで1時間ほど時間あったので全マネージャー陣のスケジュールをGoogleカレンダーでそれらしきミーティングがないか確認したところ、デザインチームから(私含め)2人・エンジニアチームから3人レイオフになることが分かりました。
ミーティングには、デザインチームのマネージャーとHRが1人いて、マネージャーから「先週伝えられた通りレイオフをすることになった。でもこれはAnnaのパフォーマンスが悪いからでは決してない。いつも期待以上のパフォーマンスでチームに貢献してくれてありがとう。」と伝えられました。レイオフに対しては冷静な気持ちだったのですが、好きだったマネージャーともう一緒に働けないのと、最後に寄り添った言葉をかけてくれて、感極まって「いつも支えてくれてありがとう」と目がうるっとなりながら伝えました🥲
そのあとはマネージャーが退席して、HRから退職金やいつまでベネフィットが使えるか、備品返却についてなどの説明、またこのミーティングの後にTermination Letter(退職通知書)が送られるので確認してサインして欲しいとの旨を伝えられました。
ミーティングの10分後には、GoogleやAsanaなどの会社のアカウントが使えなくなりました。
レイオフ後にやったこと
リアルに行った順に書きます。
1. 新しいMacBookを購入
会社のMacBookを返却しないといけない(そりゃそう)&プライベートPCが壊れて使えなくなっていたので、レイオフ当日に新しいMacbookを買いました💸 パソコンないと困るので、なる早で買いたかった。
2.ビザについて調べる
レイオフ自体はいいんですけど(全然良くはないけど)、ビザが一番厄介でした。と言うのも、レイオフされた翌月にワーホリビザが切れて、会社スポンサーのClosed work permit(その会社でしか働けないビザ)に切り替える予定だったからです。SWAPという団体を通してRO Young Professionalというプログラムを使ったので、彼らに「ビザ自体は承認されているが、アクティベートする前にレイオフになった場合どうなるのか」を質問して、下記の回答を得ました。
他のサイトなども見る限り、ビザのアクティベート自体は出来るのですが、他の会社で働くことができないので、ビジタービザのように滞在のみになるようです。※上記SWAPからの返信の通り、RO YPの対象となる雇用主からオファーを貰って、雇用主にIRCCのEmployer Portalにジョブオファーを登録して$230払ってもらったら働ける。ただ、この厳しいジョブマーケットの中で1年しか働けないビザ+多少の手続きの負担があるので、デザイン職のジョブオファーをもらえると思えないので現実的でない。
ということで下記の理由のため、とりあえずビジタービザ(最大6ヶ月)を申請しました。
・ROは2回しか使えないので、無闇に1回のチャンスを使いたくない(ビザをアクティベートしなければカウントされない)
・2025年度のROでOpen work permitを申請予定(早い者勝ちなので、確実に取れる保証はなし)
・最悪2025年度のROが取れない場合は、Closed work permitをアクティベート(2025年の8月までの期限)してビジタービザみたいに滞在する
しかも、10月でカナダでの就労が1年になり(Coopはカウントせず、ワーホリからのカウント)、やっとExpress Entryに登録できてPR(永住権)取得に近づくと思っていたのですが、レイオフによって11ヶ月の就労に止まり、自分でPRを取得するのは絶望的になりました。Closed work permitで+50ポイントも入って、STEM でギリギリ行けるかも!なポイントだった。
元々取れたらいいなあくらいでカナダのPRに固執はしてなかったので良いですが、PRのプールにも入れなくなってしまったのでカナダで働くためにはワークビザを考えないといけないのがネックでした。
3. Termination Letterにサイン
ミーティング中にHRから説明があった、ベネフィットや退職金などについて説明が記載されているTermination Letter(退職通知書)を確認して、レイオフ翌日にサインしました。サインしないと退職金が貰えないです。
ちなみに、私の場合のお金周りやベネフィットについては下記の通りでした。
※ベネフィットについて興味ない方はここ飛ばしてください
レイオフでのやり残した後悔は$1,800ほど残ってたMyHSAを1ドルも使わずに終わったことです🥲 Canada Life(私の会社のプランの場合、矯正50%カバー)とMy HSAを使って矯正費用に充てようと思っていて、レイオフの当日にちょうど予約をしていていたのですが、一括で払うことは不可で毎月の支払いになると言われ泣く泣く諦めました🥲 ちなみにMyHSAはHealth(医療関連)とWellness(健康促進関連)の2つに自分の全体の金額を割り当てられるのですが(例:計$2,000のうち、Healthに$800、Wellnessに$1,200)、個人的にはWellness多めに割り当てることをお勧めします。レーシックや矯正やる方はHealthでも良いですが、医療関連の費用の大体はCanada Lifeでカバーされます。Wellnessはジムや服、電化製品など結構対象の幅が広いので使いやすいです!割り振りは最初に決めたら後から変えられないので、会社がMyHSAのベネフィットある方へのアドバイスでした、、。
4. ベネフィットを使う計画を立てる
Canada Lifeが翌月末までしか使えないので、ベネフィットの内容を再度確認して何をすべきか計画を立てました。笑
マッサージを予約
度の合ったハードコンタクトをゲットすべく、ハードコンタクトを扱ってるところを探して連絡・視力検査も予約
歯のクリーニング(幸い治療は先月に終わった)
ちなみに、保険($300までカバー)に収まるだろうと思ってハードコンタクト屋さんに値段聞いてなかったのですが、$480と言われて「ひいい高いい」っていう顔をしてしまったらレイオフに同情してくれて「スペシャルディスカウントだから誰にも言わないでね」と$300にしてくれました。笑 (レイオフは話の流れで最初らへんに元々話してた)お礼に褒めちぎったGoogleレビュー書きました🥹
5. 会社の備品を返却
一緒にレイオフになったデザイナーと会社備品の返却&デスクに置いてたものを引き取りに、オフィスに行きました。
たまたまデザインチームのマネージャーがいたので、近況など話しました。レイオフ当日はあっという間なので、ゆっくり話せる機会があって良かったです!
6. EI(失業手当)の申請
レイオフから4週間以内に申請する必要があります。Record of Employment(ROE)という雇用記録が必要になるのですが、大体の場合は会社から直接カナダ政府に送ってくれるそうです。私の場合はTermination Letterにその旨記載があったので、特に会社への確認事項はなく、申請を進めました。
また、今のビザが10月下旬に切れて、その後ビジタービザに切り替える(その後違うワークビザを取得する予定)ので、ビザの状況的に果たしてEIが受給できるのかは謎です。貰えたらラッキーくらいの気持ちでいます。ちなみに、申請した翌日にビザについてやコントラクトでやってた仕事についてなど、詳細確認する電話が来ました。
7. ポートフォリオ作り直し、履歴書・職務経歴書作成
しばらくカナダの企業で働けないので、日本で仕事探しを少しずつ始めました。興味のあるフルタイム業務委託のUIデザイナーの仕事を見つけたので、それに応募するべく10日間でポートフォリオの作り直しと、履歴書・職務経歴書の作成をしました!(結構頑張った👏🏻)
ポートフォリオは元々英語のものを作っていたのですが、自分でHTML/CSS/JSで一から作ったのでアップデートするのが面倒で、ノーコードツールで新たに日本語バージョンを作成+会社で行ったプロジェクトを追加しました。
履歴書・職務履歴書はその業務委託の仕事を見つけてくれた、転職エージェントに添削してもらいました。職務履歴書は初めて書いたのですが、内容もりもりで思ったより大変でした。また、自分の欲しいフォーマットのテンプレがなかったので自分でFigmaで見やすいものを作りました(自画自賛👏🏻)
結果、提出した直後に「もう他の人で決まってしまった」との連絡があり(ちょうど採用情報を非表示にしようとしてたらしい)、この仕事はダメでしたが、爆速でポートフォリオなどを整えられて良い機会でした!
個人的にレイオフを通して感じたこと
外国人としてカナダにいる実感
レイオフになった他4人はカナダで育って、親もバンクーバーにいて、もちろん市民権持っているので、当たり前にビザのことなどを気にせず次の仕事探しができるので、改めて私は外国人としてカナダにいるんだなあと感じました。
コミュニティの大切さ
今回、職場外でも集まる仲良い同僚グループの中から5人レイオフになったので(若手たちだから必然的?)、みんなで集まってパーティーしました。同じ境遇で気軽に話せる仲間たちがいて良かったです。
また、レイオフメンバーを呼んでくれて、エンジニア・PM・デザイナーのチームみんなでご飯を食べに行きました。レイオフになってもこういう機会を設定してくれてありがたかったです!「こういう会社に知り合いいるから紹介できるよ」「LinkedInのRecommendation書くよ」と言ってくれてくれて、一度現地企業で就職したら、コネクションも増えるのでその分次の仕事も見つかりやすそう、と思いました。(ただ、私の状況では今すぐカナダでの転職はできないけど)
後悔を残さないよう挑戦できた達成感
会社に入ってできる限りいろんなことにチャレンジできたので、この会社を去ることにあまり後悔ないようにしてきたつもりです。
全従業員の前でのプレゼン:毎クオーター、各チームの発表がありチームメンバー・そして私個人でもみんなの前でプレゼンをできて良い機会でした。プレゼンは苦手ですが、ネイティブ50〜60人くらいの前でプレゼンする機会なんてあまりないので。
Culture Commiteeの一員として会社イベントを企画・運営:会社全体を巻き込んだイベントを何回か企画できて、人の前に立つのが苦手なのを多少訓練できました。
会社に広く影響を与える貢献ができた:「全てのマーケティングチャネルにおいて、一貫性のあるブランドのビジュアルアイデンティティを確立すること」が私の役割の一つで、レイオフされるまでにそれがある程度は達成できたと思っています。私が入社する前はデザインリソースが不足しており、各部署が個別に資料をデザインすることもありばらつきがありました。そのためよりアクセスしやすい・分かりやすいブランドガイドラインのアップデートやビジュアルアセット・テンプレートなどの作成をして、私がいなくても一貫性が保てる状態を残せたことが嬉しいです。
新しい仕事をする良い機会!
UI&Visual Designerだったのですが、最近はUIよりもVisual Designの割合が多くなっていたのでもっとUIをやりたいので副業を探したいと思っていたタイミングでした。UXやプロダクトのスキルも身につけたいので、次に仕事ではUIメインでUXなども伸ばしていきたいです。(今はIDFでUXの勉強中)
これからどうする?
元々、今月ビザを切り替えた後バンクーバーにもう2年滞在し、バルセロナで1年ワーホリ後、パートナーと日本に住む計画でした。今のビザの状況的に1年間バルセロナに住むのを早めようかと考えているくらいなので、生活面では大きな変更はないです。
仕事については、カナダで現状働けないので下記条件で日本の業務委託フルタイムの仕事を探し中です。長期で働ける良いところが見つかれば、ビザ問題が解決しても今の所カナダでの就活はせず日本の企業で働きたいと思ってます。
制作会社または事業会社で単発ではなく長期的に働ける会社さんを探しているので、もしマッチしそうな募集があればX(@anna_as_she)でDMいただけたら嬉しいです🙏🏻 諸事情ありここに載せてないのですが、ポートフォリオや履歴書・職務経歴書はすぐ送れる状態です。
カナダの企業では、プロダクトの一部AI機能のリデザインやChrome拡張機能制作などのUIデザインから、Webサイトのビジュアルアセット、メールデザイン、スライドデザインなど幅広いデザインに携わりました。UIデザインメインでUXのスキルも伸ばせる環境だったら嬉しいです。
まとめ
レイオフは誰にでも起こりうる
会社にスポンサーしてもらってClosed work permitを持ってても会社の状況によってレイオフされるから安心できない
PR(永住権)がないとビザ関連が大変
日頃から会社のベネフィットを使っておく
いつレイオフになっても後悔ないよう沢山チャレンジしておく
一度現地企業で就職できたら、コネクションができて転職しやすそう
起こったことはしょうがないので、ポジティブに考える
最後に
カナダの現地企業で採用され、1年3ヶ月後にレイオフされた、この経験を通じて北米の厳しいジョブマーケットについて一通り学ぶことができ、貴重な人生の経験になりました。今は前の会社や同僚、そしてレイオフ後に手を差し伸べてくれる周りの方々に感謝の気持ちでいっぱいです!
Everything happpens for a reason(私のモットー)ということで、失ったものがあるからこそ新しい出会いやチャンスが生まれるのだと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!イイネおしてくれたらちょっとハッピーになります!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?