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『韓国のお葬式①』사랑합니다!お義父さん


お義父さんの悲報

2023年 5月20日 土曜日
大好なお義父さんが約2年間の闘病生活の末、直腸癌で亡くなりました。
72歳

5月20日土曜日11時ごろ「早く帰ってきたほうがいいかも」と夫アンさんから電話。

「え?どうしたの?」
「父が息をしていないって」

泣き出しそうな声でつぶやく夫アンさんにかける言葉はみつからず「わかった」とだけ一言いって電話をきりました。

夫アンさんの電話を切った後、とにかく早く家に帰らなければと電車に飛び乗ったものの、反対方向の電車に乗ってしまったり、Suicaをタッチし忘れて自動改札機に拒まれてしまったり…。

何をやってるんだろう……
私がしっかりしなくてはいけないのに。

お義父さんは約2年前に癌がみつかりました。
直腸癌ステージ4
みつかった時はすでに癌があちこちに転移していて手術もできない状態、通院しながら抗がん剤治療をうけていました。

大好きなお義父さん

1ヶ月前に会ったばかりなのに。
日本に帰る私たちを、泣きながら見送ってくれたお義父さんの姿が思い出されました。
あの日が最後になるなんて。

お義父さんが息をしていないという報告をうけてからすぐに飛行機を予約。
大学の講義に出席していた息子を呼び戻し、3人で向かいました。
(娘は中間テストのため留守番)

18時すぎに成田を出発し21時30分に仁川到着。
車をレンタルしてお義父さんのもとへ。

動転している夫アンさんが2時間以上運転するのは心配でしたが、息子が助手席に座ってしっかりサポートしてくれました。
天安市に到着したのは23時過ぎ、家にはいかずにすぐに葬式場へ向かいます。


「近い国で良かった」


韓国のお葬式(3일장/3日葬)

韓国のお葬式はほとんどが3日間で、亡くなったその日からお葬式がはじまります。
亡くなった日と翌日は知人や親せきなどがお別れにきます。
(家族が外国に住んでいたり葬式をすぐにおこなうことができない場合は5日葬を行うことも)

3日葬例:5月20日逝去の場合
20日 葬式(弔問客受け入れ)
21日 葬式(弔問客受け入れ)・入棺式
22日 発引・火葬・納骨

亡くなった日、葬儀場についたらまず家族だけで祭祀(チェサ)をおこない、その後弔問客を受け入れます。
葬式の時間は特に決まっておらず、朝から夜遅くまで二日間にわたって弔問客が訪れるので、悲しんでいる暇もありません。
ひたすら眠気との戦いです。

亡くなった人の家族は韓国式の喪服を葬式場でかります。

葬儀場によってデザインが異なります


男性は黒の喪服に腕章をつけますが、亡くなった人との関係によって黒い線の数がかわります。
今回、夫は二本の黒い線が入った腕章を、夫以外の兄弟(婿)は一本の黒い線が入った腕章、男の孫は線なしの腕章をつけました。

女性は黒の韓服を着て、白と黒のリボンがついたピンを頭の左につけます。

ピンは故人が男の場合は左、女の場合は右に付けます

韓国ドラマなどでみたことがある人もいるかもしれませんね。
弔問客は喪服というより黒色の正装ですが、けっこう普通の服で来ている人が多くて驚きました。

故人の写真を正面にして喪主は右側に立って弔問客を迎え、男性は右手を上、女性は左手を上にして前に組んで立ちます。

男性は右手上、女性は左手上


弔問客は香典を入り口で渡した後、故人と家族に挨拶をして食事をします。
葬式場に食事が準備されているので、好きなところに座り好きなだけ食べることができます(お酒もあり)

メニューは葬式場によって少しずつ異なります


悲しみのあまり飲みすぎてしまう人もいます。
(仲が良かった人は一日だけではなく、葬式がおわるまで毎日くることも。)

故人の家族は弔問客が食事をしているところに回っておもてなしをします。
立ちっぱなしだし、ほっておくとまぶたは閉じてくるしで本当に本当に本当に大変です。
いいのか悪いのか、悲しんでいる暇はありません。


弔問客の作法

お義父さんのお葬式は仏教式でおこないました。
韓国ではキリスト教式でお葬式をおこなう人も多く、弔問客の作法は宗教によってやり方が異なります。

韓国でお葬式にいくことはほとんどないと思いますが、日韓夫婦は絶対に覚えておいたほうがよいでしょう。

  1. 入り口で名前を書き、香典を渡す

  2. 故人の写真に向かい合ってお線香をあげる

  3. 立ち上がって절(ジョル)を2回、1礼

  4. 喪主に向かい合って礼

男性の절 2回繰り返す
女性の절 2回繰り返す


教会に通っている人の場合、절(ジョル)はおこなわず故人に黙とうしてから喪主に礼をしていました。


祭祀(チェサ)

祭祀(チェサ)という言葉を聞いたことはありますか?
祭祀(チェサ)は亡くなった人の命日にお供え物をして供養する儀式のことです。

祭祀(チェサ)の時に準備されるお供え物は大体決まっています。
ご飯、汁物、梨やリンゴなどの果物の他にナムルや魚、肉などをそれぞれ奇数分準備してお供えします。
(写真参照)

旧正月の時

祭祀(チェサ)のときに、1人ずつ절(ジョル)をおこないます。

  1. お供え物の前に座ってお酒を受ける(お酒を注いでくれる人が右側に、お供えを手伝ってくれる人が左側にたっています)

  2. お酒をお線香の上で右回りに3回まわして、お供えする(左に立っている人に渡します)

  3. 立ち上がって後ろに下がり、両手を顔の前にもって절(ジョル)2回

  4. 立ち上がって1礼

お線香の上で酒杯を回す

上記の一連の動作が절(ジョル)です。

お供えを手伝ってくれる人は、誰かが故人に挨拶をするたびにお箸をお供え物からお供え物へと動かします。
まるで故人が食べているかのように。

一番最後の人の挨拶が終わったら、ご飯を汁物に混ぜてあげます。

なんとなくイメージできましたか?
言葉で説明するのは難しいですね...…

補足

旧正月や旧暦のお盆のときは、男性のみ절(ジョル)をおこないます。
お葬式のときは家族みんなで절(ジョル)をおこない、절(ジョル)をおこなう順番は決まっています。

절(ジョル)の順番例:故人がお義父さんの場合

  1. お義父さんの息子(長男)

  2. お義父さんの嫁

  3. お義父さんの息子の子供

  4. お義父さんの娘・婿

  5. お義父さんの娘の子供

  6. お義母さん

妻であるお義母さんが一番最後なのにはちょっと驚きですよね?
韓国では長男の嫁がかなり重要になってきます。
長男の嫁になる人は(家にもよりますが)覚悟しておいたほうがよいかもしれません。

次回は2日目の入棺式と3日目について詳しく紹介したいと思います。







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