楽
アイヌ民族について
はじめて知ったのは
たまたま見た写真集の
アイヌの女性が民族衣装を
身に纏ったモノクロ写真を
みた時だった
なぜだか惹かれるものがあり
それから少しずつ
アイヌの歴史を知るにつれ
いつか北海道へアイヌ民族を
訪ねにいこうと決めたのは
今から20年ほど前のこと
そうしてその旅に出たのだけど
まずは牧場でアルバイトしながら
お休みの日にアイヌコタンを
訪ねようとしていたのが
牧場にはお休みなどなく(汗)
このままではアイヌコタンに
行けないまま旅が終わってしまう!
と、ある日早朝の牧場を逃げ出して
(すみません汗)
駅前や公園で寝泊まりし
北海道をめぐりながら
電車を乗り継ぎ二風谷へ向かった
その頃、東京でアルバイトしていた
沖縄料理屋さんのお店の壁に貼ってあった
「二風谷アイヌモシリ一万年祭」という
一枚のポスターを見た時に
ここに行こうと思ったのだ
二風谷にたどり着き
たまたま入ったお土産やさんのおばちゃんと
旅の話しなどをしていると
一万年祭を主催しているアシリレラさんの
家はすぐそこだと教えてくれ
訪ねることが出来た
レラさんのお家に上がると
いきなり どん、とご飯が出てきた
一万年祭は一か月後だという
けれどそこまで滞在するお金もないから
これで帰ります、と私がいうと
レラさんはここから農場に
アルバイトに通えばいいという
そして一か月間レラさんのアイヌ語学校に
寝泊まりさせてもらうことになった
レラさんは色々な事情で
親と一緒に住めなかったり
親をなくした子どもたちを引きとって
その子たちの親代わりとなり
二風谷で一緒に暮らしていた
そしてまた、私のような謎な旅人も
次から次へとやって来て
アイヌ語学校に寝泊まりしていた
そんなある日
アイヌ語学校の壁に飾られていた
一枚の絵が 私の目に飛び込んできた
アボリジニの女性が描いたというその絵の
なんともいえない自由でプリミティヴな
世界に私は衝撃を受け
すっかり魅せられてしまった
・
アイヌ語学校での日々は
豊かな自然と
素晴らしい出逢いに満ちていた
レラさん、こどもたち
アイヌ民族の写真を撮り続けている
素敵な女性写真家
宇井真紀子さん
敬愛するインド舞踊
バラタナティアムのダンサー
ダヤトミコさん
アボリジニのミュージシャンたち
もちろんアイヌの歴史や文化について
肌で知ることも出来た
私は一週間の一万年祭を楽しみ
二風谷で出逢った皆さんに別れを告げて
また電車を乗り継ぎ
駅で寝泊まりしたりしながら
東京に帰ってきた
そして描き途中であったキャンバスの前へ
その時 一気に描いたのが『楽』だった
二風谷で
あのアボリジニ女性の絵との
出逢いがあったからこそ
描いた絵だと思う
この絵はあのアイヌモシリの夏の
エネルギーに満ちている
いつか アイヌ民話のアニメーションを
作りたいと思っている
・
ちなみに『楽』のキャンバスは
実家の網戸をガタガタと外して
それに障子紙を張ったもの
大きくてフレームもしっかりしていて
それなのに軽くてキャンバスにもってこいだ
が、夏にいきなり網戸がなくなった
家族はたまらかっただろう
(すみません汗)
*
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