地下道にて、カップルが話す お題:下道一組
本文
一組のカップルが、地下道を歩いている。
周りには誰もいない。
2人はどこへ行くのだろうか。
おや、2人の会話が聞こえてきたぞ。
「本当にこっちであってるの?」
「おかしいな。こんなに長く続くはずじゃなかったんだけど」
「ちょっと亘、しっかりしてよ!」
「うっせーな栞…ナビ見てるから問題ないよ」
地下だから、音がよく響く。
出口も見えないまま、2人は歩き続ける。
「なあ栞」
「どしたの?」
「さっき、スマホが圏外になっちまったんだよ。栞の見せてくれるか?」
「いいけど…ってあれ⁉あたしのも圏外だ…」
2人は明らかに、異界に迷い込んでしまったのだろう。
「戻るか」
意を決して、来た道を引き返そうとする。
しかし、スマホは一向に圏外のまま。電波表示は出やしない。
このまま2人は、出口のない地下道を延々と歩き続けるのだろう。
下道一組、これにて終幕。
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