最後のマスカラ
本文
「よし、あたしは今日も可愛い」
マスカラをつけ、改めて全身を見る。
思えば長かった。
自分がもっとかわいくなるにはどうすればいいか。
試行錯誤を繰り返した結果、特別なマスカラが自分を最もかわいく見せることができた。
あのマスカラとの出会いだったのだ。
量が少なくなってきたから買い足そう。
どこで買ったんだっけ。
思い出せない。
行った覚えのある店をくまなく探してみたが、どこにもない。
そもそも本当に「売られていた」のか……?
場面転換
化粧品会社中を悩ませる出来事が起きている。
マスカラが全く売れなくなったのだ。
謎のマスカラが現れたことによるもので間違いない。
例のマスカラのユーザーは既存のマスカラを買わなくなった。
そのマスカラをつけないと精神不安定になる。
その謎のマスカラが、多くの人にとって「最後のマスカラ」となっている。
ナニカに化かされたのだろうか………………?
参加企画
クリエーターとして活動していくために、よりよい機材などが必要でございますわ。 ぜひご支援の程、お願い申し上げますわ。