価値は感情で決まる

きらめく宇宙のなかで、それぞれの輝かしい星となる価値を目指して線を引くことが私たちIDL[ Infobahn Design Lab ]の使命であり、その星を追いかけるためのロケットを提供することが私たち独自のサービスです。では、新しい価値のポテンシャルを見極めるとき、どうすれば人々の共感のレベルを上げられるのか？　今回はこのプロセスにおいて、感情が果たす重要な役割について考えてみます。

はじめに

「自分には起こり得ないストーリーの映画を見たが、心が深く苦しくなった」。「言葉もなくコンサートを聴いていたけど、心はすっかり揺さぶられていた」。

このように、感情は記憶のなかに埋め込まれています。

感情とは何か？

「感情」について、アリストテレス(384-322 BCE)は次のように書いています。“人の判断に影響を及ぼすものであり、苦痛や喜びとして表れる。それはまた怒り、同情、恐れ、好きでもある”。つまり、感情とは、単にある心理現象のみを指すのではなく、揺らぎがあるものです。それは、多様に変化していくダイナミックなプロセスなのです。

なぜ人はそのような感情を持っているのか？

怒りは屈辱が元になって表れ、恐怖は危険を表し、理想に対する失敗は恥ずかしさとなって表れ、悲しみは喪失を示し、幸福は目標達成に向かっての進歩を表し、誇りはアイデンティティの強化を表します(Prinz 2004; Lazarus 1991b)。

言い換えると、期待とは異なる状況に対応するために、私たちは感情を引き起こします。神経科学の研究によると、感情は脳の神経活動に由来するだけでなく、いろいろな感情が非常に異なる神経活動パターンを示すことがわかっています。この感情の揺らぎは必ずしもネガティブではなく、必要な過程とも言えます。この感情の変化こそ、私たちの物事の捉え方を明確に示しているのです。

感情と価値の間にある関係

日常生活において、私たちの周りには様々な価値観があり、時間や場所とともに変化していきます。それらの価値観は、宇宙に浮かんでいる数百万個の星のようなものです。私たちは、必ずしもその価値観をすぐに認識できるとは限りません。そして、私たちをある価値観に近づけるのは、物事に対する「認識」ではありません。価値に対する「共感」こそが、その価値を追い求める本当の原動力なのです。

“児童労働の禁止”という例を挙げてみましょう。これは、ほとんどの人が「理解」している価値観であり、またそれが正しいと思っていることだと思います。しかし、この事柄を認識しただけで行動が喚起されることは、ふつうありません。しかし、あなたの目の前に、保護者のいない環境で、素手で採掘している細くてやつれた子どもがいると想像してみてください。この瞬間、心は強い衝撃を受けるに違いなく、穏やかだった感情が非常に狭量なものに変わり、この子どもを危険な環境から救い出すために、今すぐこの鉱山に突入するための悲しみの力が働くのです。感情の変化は、価値観との強い結びつきと共感を与え、行動の動機づけになります。

感情は、無意識のうちに現れる反応だと感じたことがあるかもしれませんが、実際のところは意図的な働きです。感情そのものは、個人の経験と評価とモチベーションが組み合わさって醸成される、その人独特の意識的な体験です。真新しい価値を創造するときには、感情を変化させ、共鳴と行動を生み出す原動力も必要です。

IDL[ Infobahn Design Lab ]は、私が所属する才能あるチームです。私たちのチームは、繊細な視点と洞察力をもって、このようなユニークな価値を生み出すことができると自負しています。人に素晴らしい価値を届けるためには、感情を呼び起こすことが大きな原動力になると思っています。次のステップでは、感情の変化をどうやって生み出すのか、その方法に挑戦していきます。ワクワクしませんか？

Reference : https://plato.stanford.edu/entries/emotion/ https://www.britannica.com/science/emotion