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もし自分がもう一度起業するとしたら大事にすること〜7年間の備忘録〜

この度、7年前に共同創業した株式会社ラブグラフは「家族アルバム みてね」を運営する株式会社ミクシィにグループインし子会社になりました。

これを機に、絶対noteを書くぞ!と思っていて何を書こうかしばらく考えていたのですが、もし自分がもう一度起業するなら大事にしたいことを備忘録的に書くことにしました。ですので、すべての方には当てはまらない点があるかもしれないのですが役に立ちそうなところだけ読んでくれると嬉しいです。また同じ起業家のみなさんがメンバーや後輩のみなさんなどに「これ読んどけよ(ペッ」と送れたり、これから起業する方が共同創業者の方と共に読めるような記事になったとしたらとても嬉しいです。


1. 言葉持ちになる

お金持ちじゃなくて言葉持ちになる。これが私がスタートアップをやる中で得た一番重要な気付きです。言葉はすごい。無料だからです。例えばお礼に使えます。「ありがとう!」とか「助かりました!」とか言われたら嬉しいと思うのですが、無料な上に1秒で渡せます。ちょっと遅いのですが「すごい!」と3年目くらいで気付いて以来、言葉を使いまくっています。なぜあなたに来てほしいかを伝えたらすごい人を採用できたこともありますし、zoomで全社に呼びかければ会社が一致団結したこともあります。成し遂げられないと思ったプロジェクトも緻密なドキュメンテーションとMTGを積み重ねることで成し遂げられてしまう。そんなこともありました。すべて言葉の力です。

私は、すべての仕事の本質は「伝えること」だと思います。デザイン、開発、PM、広報、マーケティング、採用、人事、ファイナンス…この7年間で様々な仕事をやってきましたが、すべて「何かを伝えること」でした。起業当初は言葉を軽視していました。口下手で言いたいことが伝わらなくて、公園で泣いたり愚痴を言ったりまるで子供みたいでした。今思えばすべて、伝えたいことが伝えられていませんでした。今は違います。私は口があるし声が出る。手紙もかけるし、スライドも作れます。音楽が作れる人は音楽でもいいし、写真や映像でも漫画でも構いません。思いを表現して伝える。そしてこの時に大事なのは「敬意と誠意を持つこと」です。真剣に考えるというスタンスに誠意が、表現方法に敬意が宿ると思っています。

みてねプロデューサー笠原さんとラブグラフ代表のこまげは2人とも巧みな言葉の使い手です。

2. 自分に根を張る

頑張り屋さんのあなたなら「なんで自分だけこんなに頑張っているんだ」と思うことがあったり、仲間が大好きなあなたなら「もっと皆が私をワクワクさせてほしい」と思うことがあるかもしれません。でも起業家である限り、それはあなたの仕事です。仕事は頑張って当然だし、みんなをワクワクさせるのはあなたの責務。誰かにワクワクさせてほしいなら、仕事を決めて与えてくれる会社で働きましょう。誰かに依存して根を張るのではなく、自分の心に根を張ることが大事だと思います。

そのためのコツは「心から共感できる場所で働くこと」です。どこかで共感していないと「だから〇〇がいやなんだ」「こういうところがはじめから嫌い」「メンバーが無理」とかそういう言い訳が出てくるかもしれません。だけど自分の場合、この会社のビジョンやプロダクトが心から大好きで、心から世界中に広がって欲しかったから、どれだけ仕事で嫌な気持ちになっても傷付いても辞めたくなっても「そもそも自分がやりたいんだからやろう」と何度も思い直すことができました。自分は会社法上「代表」ではなくて、いわゆる「No.2」。スタートアップにおいて共同創業者の生存率ってかなり低いと思うのですが、これが自分が続けられた理由です。代表のこまちゃんと意見が合わないことなんか沢山あったけど、こまちゃんがどうかではなく私がただラブグラフを続けたかったから続けました。書いてみるとシンプルすぎるのですが。

誰かに居させられてるのではない。自分がここに居たいからここに居る。

3. 優秀な人を巻き込む

「仲間を集めろ!」と言われたら、まず「呼んだら来そうな後輩」とかを思い浮かべませんか?そこで「南場智子さん」を思い浮かべた人は仲間集めの才能があると思いますが、自分ははじめそんな発想は持っていなかったので「自分より優秀な人を採用しろ」と言われて目から鱗でした。会社は基本的に団体戦です。会社のフェーズが進むにつれて「自分はなんでこんな無能なのか…」「なんでこんなに仕事できないんだ…」と悩むことがあるかもしれませんが、例えば100人チームだとしたら自分なんか1/100の存在でしかありませんし、自分1人が優秀になることよりも99人が優秀であることの方が大事です。チームの総和で勝てばいいのです。だとすると、自分の個体値より優秀な仲間を集める能力の方が遥かに大事だとわかります。

とはいえ、自分より優秀な人が自分のチームに入ってくれるのか?と思いますよね。私も思いました。やってみてわかったコツはシンプルに「助けて!」という言うことでした。自分もいちデザイナーとして思うのですが「こんなポスターを作りたいんだ…でもイラレのここがわからなくて…間に合わないかも…(泣)」とかいう人が目の前に現れたら「ちょっと貸してみぃ!」って腕まくりをすると思いますし、時に誰かの役に立てるって嬉しいことなんです。その時に「助けての解像度」が高いと助けやすいので意識してみるといいかもしれません。

現ラブグラフ経営陣の本間くんへ贈ったオファーレター。みんなで助けてと書いた。(写真引用:本間くんのnote

4. 10年続ける

これは実際「10年続けろ」という話ではなくて「10年続ける覚悟でやろう」ということです。なぜならトレンドがカルチャーになるまでは10年ほどかかるからです。自分もこれにはびっくりで、はじめは「2〜3年で爆裂ヒットしてEXITか?」くらいイメージでいたのですが、やりはじめると「あれ…結構時間かかりそうかも」と思い始め、5年目くらいで「やべえ、10年かかる」と気付きました。(※例外あり)20〜30代における10年ってすごい長く感じると思いますし、はじめからそのていで計画を立てる必要はないと思うのですが、取り組んでいるうちに「ああ、そういえば誰かが10年やる覚悟みたいな話言ってたな」と思い出してもらって焦らずじっくり事業と向き合ってくれると同じ起業家として嬉しいです。

コツは、自分なりの「やる気の発電方法」を見つけることです。自分ははじめは「嫉妬心」を燃料にしていましたし、途中からは「絶対に霜降り明星に会いたい」という気持ちを発電に使っていたりもします。本質的な原動力じゃないかもしれないけど、燃料がない時はどんな手を使ってでも発電しないといけないので自分はそれで繋ぐ時期があってもいいかなと思っています。みなさんも色んなやる気の発電方法を見つけて、明かりを灯し続けてください。

登記前から数えると8年。共同創業者がいると疲れ果てた時交代ばんこで休めるのでおすすめ。

5. すごい友達を5人作る

「周りの5人の平均が自分」とか言いますが、その考え方です。さっきの10年続ける話から繋がるのですが、まともな人間ならスタートアップやってたら、途中で「あれ?なんでこんな大変なことやってるんだっけ?」となります。ふと頑張る理由がなくなるんです。そんな時に友達です。自分も「もう関西の実家に帰ってのんびり暮らすか〜」と思った時もありますが(そういう人生ももちろんあっていいと思います)、親友のSHE代表 福田恵里ちゃんやheart relation 共同創業者COOの戸高純ちゃんを見ていて、「この人たちとずっと同じ目線で友達でいたいから頑張り続けよう」と踏ん張れた時があります。その他にもここには書ききれないけど、クラシコムの青木さん、佐藤さん。かっこいいSTRIVEの根岸さん、堤さん。いつもおもしろいけんすうさん。昔から憧れのあやたろうさん。親友で小説家で占い師のMIYAMU。私の憧れの人たちがいつも私を高みに導いてくれました。

私の自慢の友達や先輩ですが、そもそも「どうやってそんなすごい友達を作るんだ」という話になりますよね。おすすめは「なにかの専門家になる」ことです。実は福田恵里ちゃんも戸高純ちゃんも、大学生の時に私が講師をしていたデザイン講座に受講生として参加してくれたことがきっかけで友達になりました。ラッキーです!同世代でちょっと先にデザインをしていたから一目を置いて友達になってくれたのかもしれません。嬉しかったです。なので、なにか1つ詳しいものを作ると、その領域の専門家として頼られてすごい人の友達になれるかもしれません。

いつも頑張ってる親友たち。

さいごに

いかがだったでしょうか。1つでも役に立つことがあれば嬉しいです。

月並みにはなりますが、こうやって書いてみると本当にたくさんの方との出会いや助言に恵まれてここまでくることが出来たんだなと痛感しています。本当にありがとうございます。

何よりラブグラフのメンバーのみんな、全国のラブグラファーのみんな、親友と家族のみんな、本当にありがとう。ツイッターやインスタをフォローしてくれてる皆さんもありがとうございます。そしてミクシィの皆さん、改めてよろしくお願いします。

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創業者メッセージも掲載していますのでご覧いただけると嬉しいです。

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