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【外資系コンサル】海外プロジェクトや海外駐在のチャンスはどれくらいあるか?
現在、大阪に一時帰国しています。やはり実家に戻るとほっとしますね。母の手料理を食べられることに幸せを感じています。日本の祝日は関係なく、平日はずっと仕事です。欧米の同僚や顧客とのミーティングは変わらず入っているので、朝に所要をこなし、昼から深夜過ぎまで働くというタイムスケジュールでの生活です。
さて、今日は外資系コンサルの業界において、海外プロジェクトや海外駐在のチャンスはどれくらいあるのか?という記事を書きたいと思います。
【結論】海外プロジェクト・駐在の機会はレア
まずはじめに、外資系=グローバルな環境ではありません。日本にある外資系コンサルティング企業は、大手企業ほど日本市場を対象にビジネスをしているため、海外プロジェクトや駐在の機会は思っている以上に少ないです。
海外プロジェクトに従事したいのであれば、企業選びを慎重に。業界大手よりも、少数精鋭の企業の方がチャンスがあります。
もし、将来的に海外駐在を目指している場合は、正直コンサル業界はお勧めできません。コロナ禍にリモートワークが推進されたこともあり、コンサル業界で海外駐在の機会は圧倒的に少ないです。
※なお、私の記事は私自身の専門領域である医療・ヘルスケア領域での経験を参考に書いているため、他の領域では実情が異なるかもしれません。
1. 海外プロジェクトの機会はあるのか?
外資系ってことは、グローバルな環境で、海外とのプロジェクトが中心なの?
異業界で働いている友人にそう聞かれ、驚いたことがあります。業界事情を知らない方からすると、「外資」というだけでグローバルなイメージと結びつくようですが、内情は全く違います。
冒頭の質問に対しては、「日本市場での地位を確立している企業ほど海外プロジェクトは少ない」が答えになります。もしかすると、領域が異なればこの回答は全く別物になるかもしれません。あくまで医療・ヘルスケア領域においての回答として以下参考にしていただければと思います。
そもそも、日本にあるコンサル企業は、誰を顧客としてビジネスを展開しているのでしょうか。
日系・外資系関係なく、たいていは日本市場の顧客を相手にビジネスをしています。それと同じく、例えばニューヨークにある支社はアメリカ市場、ロンドンにある支社はイギリスを中心としたヨーロッパ市場を対象にビジネスをしているなど、コンサルはその国もしくは地域の顧客からプロジェクトを受注することでビジネスが成り立っているケースが多いです。そのため、そもそも日本と海外間でプロジェクトを実施する事例自体が少ないのが実情です。
数年前の転職時に受けた日本での社員数が2万人を超える某総合系コンサルファームの戦略部門に内定をいただいた際、海外プロジェクトについてお伺いしたのですが、「英語を話せる人が海外プロジェクトがアサインされる可能性はあるが、案件数としては非常に少ない」と言われました。
さらに昨年の後半にMBBの東京支社の上層部の方と面談する機会がありましたが、やはり上記と同様の回答で、そもそも海外支社とあまり協働することはないとのことでした。
このように、色々な国や都市に支社がある外資系コンサルでも、各支社が独立してその地域でビジネスを展開しているため、支社同士連携して仕事をしているケースは実は少ないのです。特に日本市場内での地位を確立している業界大手の外資系コンサルほど、この傾向が強いと思います。
2. どんな企業で海外プロジェクトに従事することができるか?
先ほど「日本市場での地位を確立している企業ほど海外プロジェクトは少ない」と記載しました。日本にある外資系コンサルで働きながら海外プロジェクトに従事したい!ということであれば、企業選びを慎重に行いましょう。
大手よりも少数精鋭のコンサルであれば海外プロジェクトの機会は一気に増えます。例えば、ニューヨーク支社が受注したグローバルプロジェクトの対象国6か国の中に日本が含まれており、日本の調査や分析を担当してくれ、とニューヨーク支社から日本支社に依頼が入る場合などがあります。私も前職ではそのような形で海外プロジェクトに従事し、海外の同僚と協働しておりました。
私の前職は日本市場の顧客開拓を進めつつ、海外プロジェクトを請け負うという形式をとっていたため、常に国内と海外プロジェクトに半々くらいの割合でアサインされていました。
Open Workなどの口コミサイトや転職エージェントによる各企業の特色分析を積極的に活用しましょう。どの企業で海外プロジェクトの機会が多いか、口コミ等を読めばすぐに傾向がわかると思います。
3. 海外駐在の機会はあるのか?
最後に、海外駐在について。
残念ながら、海外駐在の機会は圧倒的に少ないです。私は運よく社内のローテーション制度を使用してドイツに駐在することができましたが、特にコロナ禍以降はコンサル業界の出張・駐在の頻度は激減しました。
なぜ海外駐在の需要があまりないのか?理由は以下の通りです。
3a. 「日本市場の専門性」を活かせる場がない
3b. 短期プロジェクトが多く、長期滞在する意味がない
3c. リモートワークの推進により、オンライン会議で事足りる
3a. 「日本市場の専門性」を活かせる場がない
日本で働き、日本の市場について詳しくなった。さて、その専門知識を海外オフィスで活かそう!と思っても、その機会はなかなかありません。日本市場の専門知識が活用できるのは日本市場だけであり、たとえばイギリスではイギリス市場、アメリカではアメリカ市場、それぞれの市場の専門知識が必要になります。「日本市場の知識をアメリカで活かしてほしいからアメリカにぜひ来てくれ!」とは言われないのです。
3b. 短期プロジェクトが多く、長期滞在する意味がない
そもそも駐在するメリットとしては、駐在先の同僚と毎日密に働くことでよりシナジーを出すためだと思いますが、短期プロジェクトが多い領域では、駐在の必要性はほとんどありません。
もちろんコンサルと言っても領域が幅広いので、顧客先に常駐して仕事を受注する領域では海外駐在の意義があるかもしれませんが、少なくとも私の医療・ヘルスケア領域では学会や顧客とのワークショップのために出張ベースで他国に行くことはあっても、顧客先に常駐するケースはなく、長期滞在するメリットはあまりありません。
3c. リモートワークの推進により、オンライン会議で事足りる
特にコロナ禍で一気にリモートワークが推進したことにより、ほとんどの会議がオンラインで事足りるようになりました。顧客も同僚も様々な国から働いており、2-3時間のワークショップでさえ、画期的なオンラインのツールを活用してできる時代です。
長時間の会議やブレインストーミングなど、圧倒的に対面会議で行った方が効率的な場面も多々ありますが、オンライン会議が主流の今の時代に、わざわざ滞在費等を企業が負担してまで社員を駐在させるメリットは企業側にありません。
4. どうしても海外駐在したい場合は?
企業を選ぶ際に、例えば社内のローテーション制度や、転籍制度が存在しているかどうか、そして今も活用されているかどうかを確認しましょう。できれば、その制度を実際に使った方に繋いでもらって話を聞くことが一番です。
コロナ禍前後で社内制度の使用頻度は大きく変わっており、私の前職も大幅にローテーションに投資する費用を削ったと聞きました。
通常「企業に最低2年以上在籍していること」「評価が安定して良いこと」「駐在から戻った後も半年は企業に在籍すること」など、色々な制約があるので、正確な情報をできる限り収集して、制度を活用するために準備することが必要かと思います。
身も蓋もない言い方になりますが、もし将来的に海外で働きたい、駐在がしたいと思うのであれば、コンサル業界を避け、商社や金融など、駐在の機会がより多い業界を選んだ方が確率はあがるのではないかと思います。
あくまで一個人の経験になりますが、参考になれば幸いです。
それでは、また。
2025年2月23日