M-1グランプリ2019を観て思ったこと

今年のM-1も大いに笑わせてもらいました。年齢的にね、だんだんちょっとやそっとの笑いでは笑えなくなってきているのだけど、M-1は出場者も気合を入れてくるのでここぞというネタで確実に笑わせてくれるがうれしい。

ミルクボーイ、初めてのテレビ出演で優勝ってそのことにも驚いた。M-1のルールって結成15年以内が参加資格だけど、それを超えたかのような妙な落ち着きを放っていましたね。彼らは実際は2007年結成なので、単純計算すると12年のキャリア。そりゃあ落ち着きも出るよね。

こってこての関西弁にいかついルックス。マッチョと小デブでダブルのスーツはまさに昭和の漫才師という風貌。いかついルックスというとサンドイッチマン以来か。風貌よりもネタの面白さの勝負だから、これから露出が増えるとどんどん垢抜けていくのかな。

あまりにもネタで「コーンフレーク」を連発したので、コーンフレークのメーカーのケロッグや、コーンフレークをメニューに使っているガストまでTwitterで反応していたという、いろんな人たちが注目していたすごい番組でもありますね。

決勝3組のことを、SNSかどこかで誰かが的を得たことを書いてたのを見つけました。

ミルクボーイ=昭和
かまいたち =平成
ぺこぱ   =令和

確かに、ミルクボーイは昭和からあるスタイルだし、かまいたちの不思議さは平成によく出てきた笑いの象徴だと思ったし、新しさで言ったらぺこぱごダントツ。絶対否定しないし、相方を陥れてアホ呼ばわりして叩くこともない。まっちゃんに言わせると「ノリツッコまないボケ」。なにげに働き方改革とか社会問題を題材にしていても風刺にならずにひたすら優しいツッコミ。

今までの一般的な笑いのとり方が、他者との違いを普通じゃないとみなして、そのおかしな部分を笑いにしてツッコむのが旧来の笑いだとしたら、ぺこばのネタは世間一般の価値観の変化をうまく捉えていた気がする。

昭和からの笑いは、一般常識が「普通」であって、そこに当てはまらないキャラを「おかしな人(自分より下みたいな)=笑ってもいい人」として笑いに変換していた気がするけど、今、世間で認識されている「普通」はもう普通じゃなくて多様化しているからこそ、おかしな人と普通の人の立場が逆転してきているという、ある意味優しい「風刺」なのかなと思ったり。

SNSを見ても、若者と思しきコメントがみな、相手を叩いたり言葉で傷つけたりしないのがいいとすこぶる評判で、これから未来の笑いも変わってくるのかもしれないですよね。この30年でも徐々に変わってきたわけだから、未来の30年(生きているかわかんないけど)で、どんな笑いが出てくるんだろうと期待してしまう。そのころスピード漫才流行ってたら聞き取れなさそうだけど。

ぺこぱ、来年ブレイクするんだろうな。キャラが立っているので優勝しなくてもかつてのオードリーパターンみたいに人気出そうだ。ミルクボーイは営業は増えると思うけど、テレビのトークが未知数すぎてわからないなぁ。サンドイッチマンのように人柄の良さを売りにできればルックス関係なく需要がありそうだけど、さて、どうなることやら。

かまいたちはもうベテランの粋。一昔前よりすっかり小綺麗になって人気もある。和牛もそうだけど話術はもう安定の笑いを確立しているので、今さら優勝しなくてもねぇ。

やはりM-1は勢いのある若手、または業界では知れている無名の苦労人がガーッと優勝をかっさらっていくのを見るのがおもしろいし楽しいな。

ぺこぱの「時を戻そう」「悪くないだろう」とか、ノリツッコまないスタイルは生活を豊かにしそうだなぁ。こういうのは子どもたちに流行るといいよね。どんなに違和感があった状況に立たされても、多角的に物事を見れて受け入れる姿勢になるもの。

私はこのネタを夫婦間でぜひとも使いたい! どんなに片付けをしてもらえなくても、何か頼まれても「悪くないだろう」と言いたい。

だがしかーし、夫は多忙でM-1観てないのでまだ使えない~~。よし、共有できるまで練習しておこう。それも「悪くないだろう」。

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