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デザイン思考の定量化#2 Define

早速余談ですが。。
#1のEmphasizeの投稿がこれまでで一番スキを獲得できて嬉しいAyanoです。

今回は”Define”について、そもそもの位置付けと定量観点で使われてきたフレームワークについてまとめます。

そもそも"Define"って?

日本語では「定義する」の意を持つが、ここでは1ステップ前のEmphasizeで得た情報をもとに課題を定義することを指す。
特にユーザーが言語化できた情報をもとに、その背景にある言語化できていない課題を発見し、本質的な課題は何なのかを探ることで次のIdeateで検討すべきスコープを定めることができる。

今回検討するステップ

Defineを定量的に実行しようとする時、2つのアプローチが考えられると思う。

1. 課題を選定する過程で、定量指標に基づいた選択をする
2. 課題自体を定量的に持つ

まず1は、問題定義をするまでの過程を定量化することが目的だ。
課題自体を直感ではなく客観的に捉え直すことを目的とした定量化であり、インタビュワーのバイアスによらない問題定義を実行できるはずだ。
2は問題定義をし終えた後、その後のIdeateなどのプロセスを経て効果測定をするときに役立てることを目的としている。
どちらが良いというわけではないが、どちらも同時にアプローチできるとDefineフェーズをより効果的に持てると思う。

1. 課題を選定する過程で、定量指標に基づいた選択をする

これはユーザーの声を大切にするデザイン思考としては、一見基本的なアプローチに反しているように感じるが実際のビジネスでデザイン思考的な考えを実践する場合は有用な方法だと思う。
そもそもとして、ユーザーの声を拾うデザイナー側とそれをビジネスに落とすマネジメント側にはいまだに乖離がある場面が多いと思う。そこでデザイナー側がビジネスに歩み寄る手段として、Defineを定量的に検討する意義はあると思う。
具体的な方法としては、下記のようなことが考えられる。

  • 定性調査で得た結果のボリュームをアンケートで確認する

  • 定性調査の結果を定量的に分析する(#01 Emphasizeを参考)

前者についてはたとえば、定性インタビューを5人ほどして出てきたインサイトを元にアンケート設計、そしてインタビューの際に決めたペルソナをターゲティングして配信、集計、、これは主流な方法だろう。

後者は前回の投稿と内容が被るため詳しくは割愛するが、要するに定性調査の結果を数値化し、言語の利用頻度などにまとめなおした上で、インサイトを出すことが1案としてあると思う。

2. 課題自体を定量的に持つ

これはあらかじめ定量的に測れる課題を設定するという意味を指しているが、近年ビジネスの場で実践している例もある。
Service Design Networkの定期刊行物、『Touchpoint』に取り上げられていた方法のひとつにカスタマージャーニーを定量的に測れる指標で作成するというものがある。
やり方としては、下記のステップが紹介されていた。

  1. ある状況においてユーザーの辿る行動をプロットする

  2. その行動に紐づく課題を想定する

  3. 2の課題をより具体化する(Break downするイメージ)

  4. その課題の大きさを測定できる方法を考える(実現性は二の次)

ステップを知るだけだと想像しづらいと思うため、これらを「友人との旅行先を検討中の女子大生」を例として示したのが下記の図である。

定量的カスタマージャーニーの例

従来のカスタマージャーニーとの違いとしては、縦軸の項目が大きく異なると思う。特に最終段で「データポイント」と置いているように、課題をどうすれば定量的に把握できるかに重きを置いたのがこの方法である。

したがって、もし今回の課題を、データポイントで言えば「連絡の回数」とすれば課題の解決前後でこの指標がどれだけ変化したかを測ればいいだけであり、この1ステップを踏むだけで、ビジネス観点でのやりようが広がると思う。

ここまで読んでどうだろうか。
案外、Defineフェーズは日頃の方法とかけ離れた手法じゃないことを感じていただけただろうか。定量的に検討するのは簡単だと思う方が多いといいなと思う。

今後の可能性について

今回紹介した2つのアプローチについては、比較的簡単に日頃のプロジェクトでも実践できると思うため是非実践してほしい。

また一方で、今回は目新しいやり方ではないと感じる方もいるかもしれない。
ただ#01 Emphasizeでも述べたように、デザイナーだけに閉じたデザイン思考にならないためには、こうした定量観点のワークを1つでも入れることがビジネスとして進める上での鍵になるに違いない。

次回の#03では"Ideate"について、定量的観点で考察する。

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