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デザイン視点での世界一周 | イギリス編🇬🇧 | London Design Festival レポート
今回は2023年9月19日〜24日に滞在した、イギリスロンドンでの体験を記事にまとめます。(「デザイン視点」と言いつつ、旅行日記的になっていることは悪しからず。。)
この滞在期間は幸運にも、London Design Festivalと呼ばれるイベントウィークと重なっていたため普段よりも展示や大学院が実施するワークショップなど街全体がデザインで盛り上がっている印象でした。
たった5.5日の滞在で実に10個以上の展示やワークショップに参加し、現地の学生との交流もできたのでそれぞれ詳細に記事を書こうと思います。
Workshop編
参加リスト
Intro User Experience Design / City University of London
The LEGO® Piece Garden The LEGO Group x It’s Nice That
Patchwork / London College of Communication (UAL)
Quite Brilliant Quilting Brigade / London College of Communication (UAL)
Intro User Experience Design / City University of London
ロンドン大学シティ校のStuart Scott教授によるUXの基本をレクチャーする講座。8人ほどの少人数で参加者は8割が学生、残りは社会人でバックグラウンドにデザイン関連のない人が多い様子でした。
中身の前に最も印象的だったのは、「学生の積極性」。
話の途中でも、質問を投げかけるし、それに追随して他の学生が回答を投げたりと、私にとっては刺激になりつつも全く話についてけず、自分の知っている領域でこの状態じゃ海外留学は厳しいな、、と痛感しました。
中身としては特に"Usability"と"UX"の違いについてがメイントピックでした。教授の定義を私なりに解釈すると、
Usability
機能的な部分を左右するものUX
感情的な部分を左右するもの
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と分類していました。
実際、UXはUsabilityが土台にあった上で成り立つものに感じますし、それこそ日本語で言う「使いやすさ」は機能面をサポートしそれを「また使いたい!」「好き!」と心動かすには経験/体験を作り出す必要がある、、と思うのでこの定義は非常に理にかなっていると思います。
一方で、どうすれば"Good UX"を実現できるか、という点は結局AppleやAndroidのMaterial Designなどすでにルール化されたものに従うことだと主張されていた点は少し残念に感じました。もちろん、こうしたRule book自体が悪いことはなく、普段の操作もこれらのおかげでどのアプリも違和感なく触れます。ただ一方で、大きなプラットフォームを持つ会社がデザインルールすらも牛耳っている現実を再認識し、これがUXにおいて理想的な世界なのかは疑問が残ります。
イベント詳細はこちら
The LEGO® Piece Garden The LEGO Group x It’s Nice That
今年からUALに進学する友人に誘われて行ったLEGO主催のワークショップです。入ってすぐ、インスタ映え間違いなし!といった空間で参加者の作ったお花やLEGOアーティスト(そんな職種があると初めて知った)の作品が並んでいました。
*アーティストの作品は£90〜から販売
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実際のワークは10人程度で、20分間個々人に与えられたテーマの花を作る内容でした。
最も印象的だったのは「欧米人のLEGOリテラシーの高さ」
たった20分で作ったとは思えないクオリティの高い作品ばかりで、一緒に参加した日本人の友人と共に唖然としていました。そもそも使い方のわからない部品も多く、どんなデザインにするかを考える余裕なんて全くない日本勢に対し、終始日頃やらない細かい作業にストレスだという話しながらも素敵な作品を作る欧米勢。。
このあと調べましたが、LEGOはただの玩具発売だけでなくLEGO EducationというプログラムがSTEAM教育の一環であるようで、このようなポリシーのもと活動しているようです。
Rethink STEAM learning and spark joy in the classroom with the LEGO® Learning System, an intuitive, inclusive, and highly adaptable hands-on learning system. It future-proofs students’ skills, and makes them confident life-long learners by giving them unlimited possibilities for hands-on, playful STEAM learning.
まさしくこの教育目的がすでに大人になった子たちに備わっているなあ、と身をもって確認しました。自分を表現する手段が小さい頃から身近にあって、創造する力も養えるLEGOの偉大さを大人になって初めて知りました。
詳細はこちら
Patchwork / London College of Communication (UAL)
LCCのVRを研究する部門主催の「みんなでMeta Questを使って洋服のデザインをしよう」というワークショップです。Emerging technologyを使ったファッションショーなど簡単な事例紹介の後、グループごとにMeta Questを使ってVR内にあるマネキンに服を作るものでした。
初めてVR内でdrawingをしましたが、とにかく難しい。。
難しさを言語化してみると、
1.操作は簡単、でも細かい調整は不可
2.思ったより軽い、でも目の負担大
この2点に集約できる気がします。
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1については、そもそもVR内で作品を作る意義を明確にした方がいいと思いますが、やはり自分でボタンと手首の操作だけで素敵な服装を作り上げるのは非常に難しく感じました。今回は指定された作品を作るワークではありませんでしたが、多くの参加者はまず操作方法で戸惑い、慣れてきても自分の納得いくデザインにはできない、、という様子が散見されました。
疑問として、VRにおけるUXはどれほどルール化されているのだろう、、というのが1つ目のワークショップ"Intro User Experience Design"での学びを踏まえて感じたことです。
また2については、見た目ほどゴーグルは重くないものの、どう考えても視力に負担がかかるタイプのアクティビティに感じてしまいました。画面上のUXはアンチパターンはじめ、抑えるべきルールとやるべきでないルールが明確ですが、VRのような知ってるけどなかなか広まらないハイテクツールのUXを考えるのも楽しそうだなーと思いました。
メモ
- VRのUX界隈の現状
Quite Brilliant Quilting Brigade / London College of Communication (UAL)
手芸をきっかけにお互いについて知る、語り合う、3と同じくLCCのワークショップでした。
参加者は10人程度でしたが、私以外が現在のLCCの学生かつ全員女性で、来週から始まる次のタームに向けて頭慣らし的に参加しているようでした。
参加者はダイバーシティに富んでいて、香港・台湾・韓国・イタリア・イギリス、、などなど色んな国の子と一緒に取り組むワークは私にとって初めてで、少し緊張しつつも実際進学したらこんな雰囲気で授業が行われるんだろうなあーと感じ取れたのはいい経験でした。
テーマは「Make your island」
2時間半かけて自分自身を表す島を、用意された色とりどりの布を縫って作る、参加した中で一番面白いワークでした。私は手元にあった花柄の布をもとに、花がグラデーションのように広がる島を作ってみましたが仲良くなった香港人の学生は、布をハートにしたり現代アートのような抽象的な形を組み合わせた島を作ったり、、と創意工夫富んだ作品が並びました。
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メインファシリテーターの教授は普段ブランディングに関するコースの担当らしく、Textile自体は専門外のようですが、見知らぬ人同士がコミュニケーションを取るきっかけづくりとしてこのワークをよくやっているようで、前提として最低限の手芸スキルは求められますがアイスブレイクのタネになる気がします。(自分をXXで表現する系。絵を描かせるタイプはよくありますね)
Exhibition/Museum編
参加リスト
Fashion X AI TOURING EXHIBITION / Royal College of Art
British Library
British Museum
the Design Museum
Back of House / Royal College of Art
Between World
この中でも1の展示について、気づきと感想をまとめます。
Fashion X AI TOURING EXHIBITION / Royal College of Art
RCAと香港工科大学がコラボした「AiDLab」という団体の展示です。AiDLabは世界初のAIをデザインに統合することを目的に設立されており、拠点は香港にあるようです。
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タイトルにファッションとあることからも、洋服のデザインがメインかなと思っていましたが、実際はそこから発展した展示がよく見られました。
正しい姿勢を保つための背骨矯正用3Dモデリング
AIによる複数の布の判定とデータベース化
AIにより人の動きを学習させ、対応した色に洋服を変化させる
今回の展示はアカデミックなものゆえ、研究目的、内容や現状できていることの報告のみでしたが、その先のビジネスに繋げられるものも多くあると感じました。
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ファッション業界は知り合いの話を聞く限り、まだまだテクノロジーで解決しないといけない部分は多くあると思います。ZOZOなどが先陣を切って、ZOZOスーツを制作したりオンラインショッピングにおけるパーソナライズ化に取り組んでいますが、基本的にはto Cのものが多く感じます。一方で、to Bの部分は一般人に知れ渡るほどの改革は起きてない様子。今回の「AIによる布の判定」機能など役立つものが多いのでは?と思いますした。
こうした研究機関の存在を知れたのはすごく良い発見だったので、今後の動向を逐次チェックしつつ、自分としてビジネスに拡大する上での課題を考えていきたいと思います。
だいぶ長くなりましたが、このような感じでLondon Design Festival 2023は幕を閉じました。
私にとっては学生との交流ができたことが最も得られたものでしたが、(この会を通じて6人の友人ができました)アカデミックでの学びと会社での学びなどいろんな分野の刺激を多く得られたため、参加してとても良かったなと思いました。
来年もこの時期にやると思うので、9月に渡英を予定されている方はぜひ行ってみてはいかがでしょうか。
最後に街中の展示付近の様子もお届けします。
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似たようなビルが多い中で遠くからもどこのビルでの展示かがすぐわかる。