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うちの姉は、独占欲が強いみたいです

ヒロイン:田村真佑さん



長く続いている
関係性が変化する時

そのきっかけになる出来事は
案外、ちっぽけなこと

休日の夕方、両親は外出していて
リビングに姉と2人きり

姉は再放送のバラエティに夢中のよう
時折、ふふっと笑い声が聞こえる

”あの報告”をするには、ベストタイミングな気がして恐る恐る口を開いた。

○○:姉ちゃん。そういえば俺───

○○:彼女できたんだ

その言葉を聞いた瞬間とても驚いた表情を見せた姉はそのまましばらく動かなくなってしまった。

○○:ね、姉ちゃん大丈夫?

姉は目をうるうるさせながらこちらを見ると

真佑:〇〇は私のだもんっ!

声高らかに謎の宣言をした


───────────


ようやく泣き止んだ姉の背中を擦り、声をかける。

〇〇:姉ちゃん大丈夫…?

真佑:だって… 私の〇〇が…

相変わらずの放心状態

今、思えば俺と姉ちゃんの関係性は
少しだけ変だった気がする

真佑:コンビニ行くの?
        私も着いて行く!

どこに行くにも
着いてこようとしていたし

……

真佑:流行ってる映画一緒に見に行こうよ

カップル向けの恋愛映画を一緒に見に行かされることもあったな

……

真佑:今日、お仕事頑張ったからギューってしてっ!


極めつけは姉弟にしては
ベタベタして来ることも多かった

……


ここはひとつ現実を思い知らせる必要がある

○○:俺らただの姉弟でしょ?俺は姉ちゃんのものじゃないんだけど

真佑:なんでそんな酷いこと言うの。

真佑:私のこと嫌いになっちゃった…?

○○:別に嫌いって訳じゃないよ。

真佑:ほんと?

○○:まぁ、うん。

真佑:なら、よかった……。

真佑:いや待って。それならなんで彼女なんて作ったの?

○○:俺ももう大学生なわけだし彼女くらいできるよ

真佑:そうだね……○○も大学生だもんね。

○○:お姉ちゃんの事は家族として好きだから許して?

真佑:えっ、今好きって言った?///

○○:家族としてね

真佑:むぅ。仕方ない

○○:すごい不服そう……

真佑:ほんとは出来ないほうが良いからね彼女なんて

○○:それが実の弟への言葉?

真佑:愛が深いので

○○:そんなのは愛じゃないよ

真佑:ちなみにいつから付き合ってるの?

○○:半年くらい前からかな?

真佑:半年っ!?

真佑:なんですぐ言ってくれなかったの?

○○:姉ちゃんこうなると思ったから

真佑:う……反論出来ない

○○:自覚あるだけ良かった。

すっかり泣き止んだ姉
不機嫌になると思っていたが予想が外れてよかった。

真佑:どんな子か気になるから今度お家連れてきて

○○:やだよ

真佑:なんで!!

○○:品定めしそうじゃん

真佑:ぎくっ

○○:やっぱり品定めしようとしてたのか……なら写真も見せてあげな〜い

真佑:ごめん、可愛いって言うから。見せて!!お願い!!

○○:見せる前からそれ言ったら意味ないよ

真佑:とにかく見せてよ!どんな子なの

○○:分かったよ。どの写真にしようかな

真佑:待って、ツーショットとかだったら私また泣いちゃうかもしれない。

○○:情緒すごいな

真佑:別れたら見せて

○○:縁起でもない事言うなよ

真佑:てへっ。

ようやくいつものテンションを取り戻したと思ったら───

真佑:○○。私ね、2番目でもいいよ?



とんでもない爆弾を投下してきた。

○○:変なこと言い出すなよ

真佑:2番目でもいいの!

○○:そんな軽く言うことじゃないって

○○:それにさ。今は関係としては姉なわけじゃんか

真佑:うん。

○○:2番目になったら完全に彼女より下って認めることになるよ?

真佑:ほんとじゃん、この薄情者っ!

○○:痛っ。叩くなよ。

○○:姉ちゃんが2番目って言ったんだろ

真佑:あ、そうだった。

相変わらず理不尽という言葉が良く似合う。

○○:じゃあ、これを報告したかっただけだから

真佑:○○に彼女……はぁ。信じたくない

○○:ツーショット見たい?

真佑:やめて、信じるから。

○○:そんなに見たくないんだ

真佑:もちろん。結構泣くと思う

○○:それは困るね。。

姉の対処が終わり安心したのか
急に眠気が襲ってきた

○○:なんか、眠くなってきちゃった。

○○:部屋で寝てくる

真佑:私も一緒に寝る!

○○:え、嫌だよ

真佑:彼女のこと頑張って受け入れたんだからいいでしょ?

○○:まあ、うん。そうだね

日頃から暴論を振りかざされすぎると感覚がおかしくなるらしい。

明らかな屁理屈に普通に納得してしまった。

─────────

真佑:ぎゅーーー

○○:近いよ姉ちゃん

真佑:逃げないで

○○:わかったから、もうちょっとだけそっちいって

見事、壁際に追いやられて逃げ場はなくなってしまった。

真佑:○○にくっつくと凄い落ち着く。安眠できそうだよ

○○:それは良かった

真佑:流石に寝るのは別にしてたからね。理性を保っていたので

○○:姉ちゃんに理性とかあったんだ……

真佑:でも、別にもう我慢しなくていいよね。彼女できたんだし。

○○:全部それで解決しようとしてるじゃん。

真佑:あ、そうだ

○○:ちゃんと聞いてる?

真佑:良い事思いついた!

○○:すっごい嫌な予感

真佑:今日から毎日一緒に寝るから

○○:は?

真佑:ぜーーったいに一緒に寝るから!

真佑:覚悟してねっ!

○○:ちなみに、拒否権は?

真佑:ない!

真佑:家の中でくらい私が1番じゃないとやだもん。



○○:はぁ。分かったよ。仕方ないな。

真佑:ほんと?○○大好き♡

うちの姉は独占欲が強いみたいです。

〜おしまい〜



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