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独占欲高めな幼馴染は僕がチヤホヤされるのが気に入らないらしい

ヒロイン:岩本 蓮加さん




約束の時間を過ぎても
家から出てくる気配のない蓮加

いつも通りインターホンを鳴らして、
しばらく待つことに




・・・




10分程経った後、
ドタバタと玄関から出てきた。


〇〇:おはよー蓮加

蓮加:おはよ。ごめん、寝坊しちゃった

〇〇:安定の寝坊ね。時間余裕あるし別に大丈夫だけどさ

蓮加:いつも待っててくれてありがと

〇〇:いいよいいよ。気にしないで



幼馴染の蓮加は超夜型人間
今日も安定に寝不足な様子



〇〇:また夜更かしたでしょ。クマできてるし。

蓮加:そーそー。目が冴えてなかなか眠れなくてさ

〇〇:はぁ。また授業中寝ちゃうよ?

蓮加:分かってんじゃん。流石〇〇

〇〇:そんなことで褒められたくないんだけど……



恐らく、授業開始のチャイムが鳴り終わる前に爆睡してしまっていることだろう



蓮加:じゃあ、行こっか!

〇〇:ちょっと待った。

〇〇:ちゃんとエプロン持ってきてる?

蓮加:へ……?エプロン?

蓮加:何に使うの?


どうせ忘れてると思い前もって連絡してもこの有様。将来が思いやられる


〇〇:はぁ。昨日の夜LINEしたじゃん。

〇〇:今日、調理実習だよ?

蓮加:やばっ。忘れてた

〇〇:取っておいで

蓮加:は〜い。

蓮加:……あっ先行ってて。後から追いかけるから


ドタバタと家に戻っていった蓮加

経験上、本当に先に行くと拗ねちゃって面倒臭いことになるだろう

このまま大人しく待っておこう


・・・



2、3分ほどして再び玄関から出てきた蓮加



蓮加:あれ。待ってたんだ



僕の顔を見て少しだけ嬉しそう


〇〇:先行ったらうるさいじゃん。

〇〇:走って追いかけてきて、”〇〇のせいで汗かいちゃったじゃん最悪”とか言ってきそうだし。

蓮加:は?そんなこと言わないし。蓮加の事なんだと思ってんの?

〇〇:わがままプリンセス

蓮加:わがままじゃない!

〇〇:ふっ。プリンセスは否定しないんだ

蓮加:むぅ。〇〇のそういう所嫌いっ

頬をめいっぱい膨らませている



〇〇:そっか。僕のこと嫌いなのか。

蓮加:べ、別に嫌いじゃないけど……

〇〇:放課後、プリン作ってあげようかな〜と思ってたんだけど


嫌い発言から一転、徐々に和らいでいく表情


蓮加:プ、プリン……

〇〇:嫌いってことは僕が作ったものなんて食べたくないよね。せっかく材料準備したのにな〜

蓮加:うっ。嫌いじゃないです。ごめんなさい

〇〇:分かったなら許してあげよう。

蓮加:やった〜!プリン楽しみ〜


好物のプリンの前には全面降伏なあたり、
まだまだお子ちゃまだ。


〇〇:大好きだもんねプリン

蓮加:うん、好きっ。

無邪気な笑顔が眩しい



蓮加:プリンもだけどさ、調理実習も期待してるね

〇〇:あれ、聞いてなかったの?家庭科の先生の話

蓮加:ん、なにが?

〇〇:まぁ、そっか。授業中ほぼ寝てるし、聞いてる訳ないか……。

〇〇:調理実習さ、出席番号順で4人班だよ


蓮加:えっ。じゃあ……




”いわもとれんか”と”やまだ〇〇”

あ行とや行。
出席番号順となると同じ班になるはずが無い


〇〇:うん。絶対別の班だね

蓮加:はー?ありえないんだけど。

〇〇:仕方ないじゃん。

蓮加:せっかく、〇〇が作ったもの食べれると思ったのに。

〇〇:拗ねんなって

蓮加:別に拗ねてないも〜んだ



言葉とは裏腹にそっぽ向いて完全に拗ね拗ねモード



〇〇:班員に迷惑かけないようにね

蓮加:は? 蓮加だって本気出せば料理くらい余裕なんだけど

〇〇:はいはい。頑張ってな

蓮加:ふんっ。そっちこそ


僕と一緒の班になれなかったのが
相当ショックだったらしい。

口では”拗ねてない”なんて言いながらも、
学校に着くまでの間、露骨に口数が減っていた。





──────────────────




1時限目の漢文、
2時限目の数学を終えて

いよいよ3・4時限目の調理実習の時間

1・2時限目の時間
案の定、蓮加は爆睡していた。



『今日の調理実習ではハンバーグを作ってもらいます。班のメンバーと協力して頑張りましょうね。』



家庭科の先生の説明を軽く聞き流しながら
班のメンバーを確認すると


山下美月さん

吉田綾乃クリスティーさん

与田祐希さん


そして僕、山田〇〇

出席番号順なので仕方ないとは言え、
美少女3人と同じ班だと肩身が狭い。




蓮加の方へ目をやると
僕の事をすごく睨んでいた



昔から僕が異性と絡むのを極端に嫌がる蓮加


調理実習の班は僕以外全員が女の子。

しかも男子人気も高い3人となると、蓮加の機嫌を損なうには十分な理由になってしまうはず。



───僕はずっと前から蓮加にしか興味無いんだけどな……

なんていう僕の気持ちは
当の本人には全く伝わってないらしい。



それに、”他の女子と話すと機嫌が悪くなる”という、蓮加のある種の独占欲(?)は恋愛的な好きとかそういう感情とは違うんだと思う。


なんて言うんだろう。家来とか下僕、ペット(?)を取られるとかそういう感じに近いような……


山下:よろしくね!〇〇君っ!


〇〇:・・・


山下:〇〇君?



現実世界に呼び戻されると、目の前には不思議そうに顔を覗き込んでいる山下さん


〇〇:あっ、ごめん考え事してた……。

〇〇:よろしくね山下さん。

山下:うんっ!一緒に頑張ろうっ!



先生の説明が終わった家庭科室は賑やか
座学に比べるとみんなのテンションも高め


与田:はぁ〜。祐希料理苦手なんよね。上手に出来るかな

吉田:与田には味見担当を頼もうかな

与田:えー!味見ならめっちゃ得意だよっ!

吉田:ほんと?助かる。与田にしか頼めないことだからさ

与田:もう。仕方ないな〜


えっへんと胸をはっている与田さん

普段から危なっかしい与田さんの事を考えるとこの判断は正しい気がする。


流石吉田さん。ナイス判断



ただ、早々と戦力が1人脱落してしまった。



まぁ、でも、ハンバーグなら僕だけでも作れるし、1人くらい離脱したって問題ないかな


何を隠そう僕の唯一の特技は料理


両親が共働きなのもあって、
その腕は日々磨かれ続けているはず。


『じゃあ、怪我にだけ気をつけてね。調理を始めてください』

先生の号令を合図に調理開始


山下:えっと、なにから始めればいいんだっけ……

吉田:まずは玉ねぎ切るって言ってたよ

山下:なるほどね。包丁包丁っと……


恐る恐る包丁に手を伸ばしている
山下さんと吉田さん

包丁の握り方や2人の不安げな表情を見ても料理に慣れていないのだろう。


万が一、手とか切って怪我しちゃったら大変だよな


ここは僕がやるか……


〇〇:2人とも大丈夫だよ。ハンバーグは任せて

山下:えっ?いいの?

〇〇:うん!2人が手切ったら大変だし

吉田:〇〇君もしかして料理できる系男子?

〇〇:まぁ、うんそれなりには……?

〇〇:2人は付け合せの野菜の準備お任せしてもいいかな?

山下:それなら任せて……!


ハンバーグなら普段から作り慣れてるし、
ちゃちゃっと作っちゃおう。

……女子と仲良く談笑しながら料理なんてしてしまったら、後で蓮加に何を言われるか分からない。


不機嫌蓮加ちゃんの誕生を避けるためにも、この調理実習はなるべくソロプレイで乗り越えよう


ハンバーグ用の野菜を簡単に洗うと微塵切りを開始


与田:す、すごい……。

与田:〇〇君料理めっちゃ上手やね

〇〇:たまにやるからね〜


味見担当という名の戦力外通告を言い渡された与田さんは、椅子に座ってこちらを見ている


吉田:ほんとだ。めっちゃ手際良い

山下:いいね料理できる男子。ポイント高いよ


与田さんのリアクションを聞いて、
他2人もこちらを見始めた


蓮加以外に料理してる所を見られるのははじめて

女の子にジロジロと見られながら
料理をするのはかなり緊張してしまう。


ささっと玉ねぎを炒め終えると、
次はハンバーグの成形


与田:〇〇君それ何しとるん?

〇〇:こんな感じで叩いてあげると焼いた後、ハンバーグにヒビが出来にくいんだよ〜。

吉田:へ〜なるほど。

山下:勉強になります!


男1人が料理してその様子を
女の子3人が見てるという少し変わった光景

他のクラスメイトもこの状況を不思議に思ったのか、徐々に視線が集まってきている気がする。


もちろん蓮加の視線も


先程からちらちらとこっちを見ている。
遠目から見ても明らかに不機嫌だ。


この状況はまずい。
他の3人にも何か手伝って貰おう……


〇〇:山下さん、吉田さんこのハンバーグ焼いてもらっててもいい?

山下:もちろんっ

吉田:任せて〜

与田:祐希は?祐希は?

〇〇:僕が今からソース作るからその味見をお願いしたいな

与田:うん!任せて!


お仕事を貰えて満足気な与田さん
他の2人も楽しそうにハンバーグを焼いている



よし。これでみんな別々の事してるし……って




あれ?




蓮加の不機嫌が限界突破したみたい
完全にそっぽ向かれてしまった。



これは帰り道大変そう……




────────────────



与田:完璧っ!このソースすっごい美味しいっ。すごいね〇〇君

〇〇:ほんと?良かった。

吉田:おっ。丁度こっちも焼けたよ〜

〇〇:じゃあ食べよっか


他の班はまだ悪戦苦闘してる中、流れるような連携プレーで手際良く料理を作り終えた僕たちの班


山下:盛り付けは任せて

与田:わ〜美味しそう〜!めっちゃいい匂いっ

吉田:楽しみだねどんな味か

山下:よしっ。これで完成っと。


山下さんは洒落たカフェばりの盛り付けを披露してくれた。

これにて調理パートは終了



調理器具を簡単に片付けエプロンを脱ぐと、
班員4人でテーブルを囲んだ。



吉田:じゃあ、皆さん手を合わせてください。

吉田:いただきます!

「『いただきます!』」


いよいよ実食タイム

がっつくように食べ始めた3人
そこそこ上手に出来たとは思うけど……


山下:うまっっっっっっ。

与田:おいひい〜

吉田:めっちゃくちゃ美味しいねこれ。


3人とも反応は良好。
やっぱり食べてる人の反応を見る瞬間が1番だな。


よし、僕も食べてみよっと


〇〇:うん。美味しいね


自分で食べても今回の出来は悪くない。



与田:祐希の味見のお陰やね!

〇〇:そうだね。ありがと与田さん

与田:へへ〜。

吉田:与田何もしてないけどね……。

与田:むぅ。



吉田さんの指摘にベーキングパウダーを加えられたかのごとく頬をふっくら膨らませている与田さん


山下:〇〇君料理の天才だね。

〇〇:普段から料理するだけだよ。別にそんな大したことじゃ……

山下:いやいや、めっちゃすごいよ。

吉田:ね。すごいよ。いつもどんなの作ってるの?


3人とも目を輝かせてこちらを見ている


〇〇:ん〜。基本は夜ご飯作ることが多いから肉じゃがとかカレーとかかな。


〇〇:あ、あとたまにお菓子作る時もあるよ

与田:お菓子っ!!!

〇〇:わっ。びっくりした……

吉田:与田。急にそんな大きい声出さないの

与田:ご、ごめん。食べたくなっちゃって


早々とハンバーグを完食した与田さん
今度はお菓子に興味津々らしい


〇〇:今度作ってこようか?

与田:えっ、いいと??やったぁー!

山下:私も食べたい!

吉田:じゃあ私も。

〇〇:いいよ〜今度3人分作ってくるね?

「『わ〜い!』」


こんなに喜んでくれると作るやる気も出るもの


どのお菓子にするかも含めて準備するのが今から楽しみになってきた。






チャイムの音が鳴って、
3・4時限目の調理実習はこれにて終了





普段、蓮加以外の女子とは
ほとんど話す機会の無かった僕


今回の調理実習を通じて、3人とはかなり仲良くなれた気がする。


正直褒められて悪い気はしなかったし
これまで料理の練習頑張ってきてよかったかも


あとは、蓮加が機嫌を損ねてなければ気分よく1日が終わるんだけど。



──────────────────



放課後


蓮加:3人から色々聞いたよ。

蓮加:調理実習大活躍だったらしいじゃん。


あんなに女子と話してしまったのだ。
蓮加の機嫌が悪くなるのは必然

そっぽ向いて、全く目を合わせてくれない


〇〇:そ、そんなことないけど

蓮加:それにさ、今度お菓子作ってあげるんだってね?

蓮加:3人とも楽しみにしてたよ

〇〇:そ、それは話の流れでさ……。

〇〇:流石に断れなくて。

蓮加:ふ〜ん。そっか。


そこまで詳しく知っているあたり、
あの3人に相当聞き込みしたのだろう

蓮加の独占欲恐るべし


〇〇:その時は蓮加の分も作るからさ。ね?

蓮加:他の子のために作ったお菓子とか要らない

〇〇:そ、そんなつもりじゃ……

蓮加:ふんっ。別に3人のためだけに作ってあげたらいいじゃん。



相当なお怒りモードらしい



蓮加:今日だって超楽しそうだったし。

〇〇:そう?別にそんなことないよ

蓮加:……楽しそうだった。


お怒りモードから一転、
急にしおらしくなった蓮加



蓮加:……〇〇には蓮加が居るじゃん。

〇〇:ん?なんて??

蓮加:べ、別になんでもない。

〇〇:そ、そっか。



蓮加:・・・



〇〇:・・・



10年とちょっと蓮加と過ごしてきた中で、
経験したことのない沈黙が2人を包む


こんな状態のまま、
家で2人きりになるのはかなり気まずい。


ここは”プリンで機嫌回復大作戦”を必ず成功させなければ


蓮加が先程から妙にそわそわしている気がするが、気付かないフリをして自宅に招き入れた。


蓮加:……お邪魔します。

〇〇:すぐ作るからリビングで待ってて?

蓮加:う、うん。分かった。


手洗いうがいを入念に済ませて調理器具を出すと、牛乳・卵・グラニュー糖……とプリンに必要な材料を準備


まずはカラメル作りからかな


鍋にグラニュー糖と水を入れて
火を付けたところで



すぐ後ろから人の気配がする。



〇〇:どうしたの?蓮加



振り返ることなく話しかけると



蓮加:あ、あのさ。。。



蓮加:……ぎゅってしていい?



予想外の提案


〇〇:は?

蓮加:だから!ぎゅってしていい?って聞いてんの

〇〇:火使ってるから危ないよ?

蓮加:後ろからくっつくだけだし。大人しくしてれば別にいいでしょ?

〇〇:ま、まぁ。いいけど。


突然の提案とはいえ断れるはずもなく、
受け入れてしまった。


蓮加:じゃあ。えいっ。


可愛らしい掛け声と共に、
背後から強く抱きつかれる。




料理に集中していたのもあって了承してしまったものの、冷静に考えれば落ち着けるはずもない状況


長年の想い人と2人きりの状態で後ろから抱きつかれているのだ。


高鳴る鼓動を何とか落ち着かせて、いつも通りの手順でプリン作成を続ける。



蓮加:ねぇ、ねぇ。

〇〇:ん?

蓮加:今日の調理実習楽しかった?

〇〇:まぁ、うん。

蓮加:ふ〜ん。









蓮加:あの3人と仲良くなれたの?

〇〇:前よりは?

蓮加:そ、そっか。









蓮加:ほんとにお菓子作ってあげるの……?

〇〇:タイミングが合えばね。

蓮加:・・・







順調に進んでいくプリン作成と
質問して沈黙してを繰り返す蓮加





〇〇:よしっ。あと冷やすだけだから。


〇〇:一緒にソファで待ってよ?




もうそろそろ離れてもらわないと心臓が持たないと思い、蓮加の腕を解こうとすると




蓮加:だ、だめ!

〇〇:えっ?

蓮加:もう少しこのままが良い。

蓮加:そ、それに……〇〇に伝えたいことがあるからちょっとだけ待って


華奢な身体からは信じられないほどの力で、また抱きしめられてしまった


〇〇:今日変じゃない??




蓮加:そ、それはその……。


蓮加:ヤ、ヤキモチ妬いちゃった……から。




〇〇:えっ?

蓮加:他の子と楽しそうに話してたんだもん


蓮加:〇〇が他の子と楽しそうに話してるのなんて見たくない。



蓮加:もう、限界。



蓮加:わ、私だけのものになってよ。





予想外の展開に脳みその回転は完全停止





〇〇:そ、それって、どういう意味……?

蓮加:は〜?

蓮加:なに。ここまで言ってもわかんないの?馬鹿!鈍感!

〇〇:ご、ごめん。




蓮加:だ、だから、その、、、、



蓮加:ずっと前から好き……なんだ、〇〇の事











蓮加:だ、黙ってないで何か言って




〇〇:あ、ありがと。



〇〇:僕も好き……だよ




蓮加:ほ、ほんと?





〇〇:う、うん。ずっと前から










〇〇:そっちこそなんか言ってよ



抱きしめられていた腕を優しく解いて、振り返ってみると


顔を真っ赤にして、
目をうるうるさせている蓮加




蓮加:ほ、本当に好きなの?蓮加の事

〇〇:もちろん。

〇〇:僕は、好きでもない子の為に頻繁にプリン作るほど優しい人間じゃないよ

蓮加:与田達にもお菓子作ろうとしたじゃん

〇〇:それは頼まれたからだし、別に蓮加が嫌なら作らないよ?

蓮加:じゃあ、やだから作んないでね


珍しく素直な蓮加ちゃんによって早速の束縛


〇〇:は〜い。了解っ

蓮加:ねぇ、なんで笑ってるの

〇〇:今日やけに素直だなって思ってさ

蓮加:か、彼女なんだしいいでしょ。

〇〇:そっか、彼女か……

蓮加:そっちから言ってくれるのずーっと待ってたのに

〇〇:ごめん

蓮加:罰としていっぱい甘やかしてもらうから。

〇〇:今まで以上に?

蓮加:もちろん。



これまで以上のわがままプリンセスが誕生すると思うと、大さじ三杯の期待と小さじ一杯の不安

・・・


蓮加:プリン楽しみだな〜。まだ〜?

〇〇:もうそろそろいいかも


恋人として過ごす初めての時間はあっという間に過ぎていくもの

気がついたら1時間が経過していた。



蓮加:やったぁ。〇〇の作ったプリン大好きなんだ〜


いつもより糖度高め
デレ要素強めの蓮加ちゃん


〇〇:はい。じゃあどうぞ


蓮加の為だけに作った
特製プリンを前にご満悦


スプーンでゆっくりすくうと、口に運んだ


蓮加:んん〜。おいひい〜。

蓮加:最高

〇〇:ほんと?良かった。

蓮加:流石〇〇だねっ。


やっぱり美味しそうに食べる君の顔が1番だね



蓮加:ねぇねぇ、〇〇?

〇〇:ん?

蓮加:〇〇が作ったもの食べていいのはこの先ずーーっと蓮加だけだからね?






”独占欲高め系幼馴染は僕がチヤホヤされるのが気に入らないらしい”







〜おしま──────




蓮加:あ、あと。次の調理実習は休んで。

蓮加:他の女に〇〇の料理してるところ見せたくない。またチヤホヤされそうだし。



デレからの唐突の真顔



〇〇:流石にそれは……。


蓮加:やだ。蓮加も一緒に休むから。

〇〇:留年しちゃうよ?

蓮加:そ、そっか。


いくら可愛い元幼馴染かのじょの頼みとは言え、2人して留年する訳にはいかない。


ラスト1回の調理実習くらいは我慢してもらわないと……


蓮加:あっ。良いこと思いついた。


蓮加:結婚しようよ。

蓮加:そしたら苗字一緒になるから出席番号順で同じ班じゃん。



蓮加は、澄ました顔でとんでもない提案をしてきた。



〇〇:えーっとさ……。凄いこと言ってるの気づいてる……?

蓮加:いいじゃん。遅かれ早かれ結婚するんだし

〇〇:まぁ、それもそうだけどさ。

蓮加:ふ、ふ〜ん。

〇〇:そんな照れるなよ。蓮加から言ってきたんだよ?



交際初日の癖に、結婚なんて口にして照れて。
こういう所も本当に愛おしい



蓮加:ず、ずっと大切にしてね?


独占欲が沸騰して思考が暴走する幼馴染兼彼女も悪くないかもな


カラメルソースよりも甘い甘い未来が
僕達2人に訪れますように。



〜おしまい〜

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