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2025年7月5日まで後286日

「不安商法の黄金ルール(次の不安をお待ちください)」
※この物語はフィクションです※

Sさんは、不安に駆られ近所の心療内科を訪れた。病院内は予約制というのにかなり混み合っている。来年の7月5日に予言されている大津波に備え、抗不安薬をもらおうと思ったのだ。

「次の方、Sさん。」看護師の呼びかけに応じて診察室に入る。

「先生、来年の大津波予言、聞いてますよね? あれが怖くて、夜も眠れません。薬を処方していただけませんか?」

医師はSさんを見ずに事務的にカタカタとパソコンを見つめSさんの話す症状を打ち込んでいく。医師は冷静にうなずきながら、「まあ、確かに不安になりますね。わかりました。軽い抗不安薬を出しておきます。これで少し気持ちが楽になるでしょう。」と言い、パソコンで処方箋を打ち込んだ。

「ありがとうございます。これで少し安心です。」Sさんはほっとしながら、クリニックを後にした。

それから1年間、Sさんは毎日薬を飲み続けた。最初のうちは、薬のおかげで大津波の恐怖が和らいだ気がしたが、次第に効き目が感じられなくなり、また不安が襲ってくる。それでも、薬を飲む習慣は続けた。

そして、2025年7月5日がやってきた。Sさんは朝からニュースにかじりついていた。報道陣は沿岸地域で待機し、津波が来る瞬間を捉えようとしていたが、何事も起こらない。

昼を過ぎ、夕方になっても、空は晴れわたり、風も穏やか。ついに夜が来た。

Sさんはため息をつきながら、薬のボトルを見つめていた。「何だったんだ、この1年は…」

その瞬間、スマホに通知が来た。「最新ニュース:予言は外れる‼️大津波予は来なかった‼️」Sさんは怒りと安堵が入り混じった気持ちで画面を見つめた。

と、そこに新しいメッセージが届く。

「占い師から新たな予言‼️来年は隕石が地球に衝突⁉️」

Sさんは薬のボトルをじっと見つめ、しばらく考えた後、こうつぶやいた。

「はぁ、次はもっと強い薬がいるな…」

彼はそう言いながらでスマホで、また心療内科の予約を入れた。


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