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おばちゃん、テレアポを卒業する~アラカンの再就職その42

IT系のベンチャーの正社員をやって、コロナで業績た落ち会社都合解雇となった後、正社員転職にことごとく失敗したおばちゃん。拾ってもらったテレアポという初めての営業職も、ノルマに気持ちが負けてしまい、退職を決めた。

次は派遣で事務職だ。2年ぶりとはいえ、やっと事務職に戻れるという期待感はあるが、事務職も幅がありすぎて実際にたずさわってみないとわからないこともわかっている。

上司に退職を申し出ると、システマティックにどんどん承認がされていき、誓約書的なものに電子署名したら、はい、おしまい。あとはパソコン等の貸与物返却で出社するのみだ。

その間に派遣会社からも契約書類が届き、その他派遣元に属するための手続き案内もきているが、まだ現職があるからうまく切り替えられるか不安もある。

同僚の皆さんにはあらかじめ「辞めます」チャットを送り、皆さんから「いいなーがんばれー」と返信をいただいた、そう、皆さんなんとなく辞めたいが時給もよくフルリモートもでき、休みたい時に休めるこの職を手放さないでいる。だが、辞めていくのは成績が悪い順。とうとうおばちゃんの番がきたという感じ。後に残る皆さんはノルマを毎月達成している人たちなのだから。

おばちゃんだって、毎月ノルマを達成していて、楽勝!ってテレアポやっているのであれば辞める理由はない。仕事は向き不向きがある。

白内障手術で有給休暇」をほぼ使っていたが、数日残っていたので有給消化で最終出社日を決めた。同僚にも出社日を伝え「出社するからランチしよ!」と返信をもらっていたが、やはりリモートにするから、と前日にチャットが来た。「あんからさんには会いたいけど、あの上司の顔を見たくない」と付け加えてあった。

最終日。会社に行くと、同月に辞めると言っていた違うチームの人も出社していた。「あれ?昨日付けじゃないんですか?」ときいたら「有給計算間違えてて半日出社になったんです」と笑っていた。まじめだ。欠勤にしたっていいのに。「まあ今日は仕事する気はないんで(笑)それよりけっこう退職手続き大変ですよ。これ見ればできますから」と印刷物をくれた。ありがたいことだ。この人は、ほんと優秀で人当たりの良い人で、ノルマは毎月達成し、契約社員になった。ところが組織変更で、仕事の変更されバイトに逆戻りとなり、一念発起して正社員転職を決めたのだ。
この印刷物がなかったら、あの上司と一緒に手続きをするはずだったのだな。ありがたや、ありがたや。

もう、ここに来ることはないだろう。お弁当持参をやめて、ひとりランチをした。いくつか候補をあげていたが、健康志向の和食屋さんに決めた。おなかと時間に余裕があればデザートまでいきたかったが無理だった。

オフィスに戻りテレアポを続ける。とれるはずない、と思っていたら1件アポをとれてしまった。運だもの、こんなものだ。アポイント獲得の手続きをしていたら「あれ?あんからさん、まだいるんですか?何時までいる予定ですか?」と上司があらわれた。え?終業時間までいるもんじゃないの?
「もお、最終日なんだから、キリのいいところであがっていいですよ」この人が言うと、帰れと言われているようにきこえてしまう。
「終業時間までいるものだと思っていました。早く帰った方がよいですか?」と聞き返してみた。
「いちゃいけないわけではないですけど、せっかくですから」なにがせっかくなのかわからないぞ?
「ではこれから返却手続きとりますので。手続き方法は〇〇さんから教えていただいています。終わったら帰りますので」と答えると「わかりました~」と去っていった。

速攻グループチャットにあらましをとばす。このチャットで最後だ。個人もグループも全部退出して削除だ。退職する方はこれをプリントして持ち帰るように、という指示書類を印刷する。

入社当時お世話になっていた社員さんが出社していたのでお菓子を持って挨拶にいった。「あんからさんならどこに行っても大丈夫ですよ」ありがとうございます。これは本当に魔法の言葉だ。

挨拶周りをして席も戻って退勤をいれて初期化。パソコンとスマホとIDを上司に渡しに行った。「もう気がすみましたか?」え?なに?どういうこと?この後におよんでまだケンカ売ってる?ホントに言葉のチョイスが悪すぎる。
「はい、お世話になりました。返却手続きよろしくお願いします」とニコニコと目だけ笑ってマスクの下でベーしていたおばちゃん。上司が執務室から出してくれる。「ありがとうございました。失礼いたします」と深々と頭を下げてみたもののの、とっとと扉は閉められた。

もう入ることもない執務室。もう来ることもないビル。なんか変な感じだ。ほぼ2年お世話になった。あの時は契約満期までがんばろうと思っていた。でも2年でおさらばとなった。
そういえば、このビルのドラックストアでしか見たことがないお菓子があったことを思い出し、5袋買って帰るおばちゃんであった。

お読みいただきありがとうございました。お邪魔しました。

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あんから
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