おばちゃん、欠勤する~アラカンの派遣その6
派遣契約も継続となり、このまましばらく在籍できるかなとは思っているが、いつなんどき契約を着られるかわかならない派遣という雇用形態。3か月ごとに「あーあと3か月はここにいられるんだ」と思いつつ業務をこなしていくんだろうな、と思っている。
すこーしボスにも会社の雰囲気をつかみ始めたかな、という頃、母が亡くなった。コロナ以前から介護入院となり、以前面会に行った時はなんとなく顔と名前は一致して娘と孫がわかったようだが、兄からはそろそろあぶない、とはきいていた。今週か来週の土日で面会に行こうか、と娘と話しており、兄にも伝えていた矢先だった。肺炎をおこし、行く予定の日の未明に亡くなった。
着ていく服は、普段着から黒に変わり、手持ちのバッグも面接に使った黒カバンに変更。告別式が月曜日となったことから、派遣元にも派遣先にも休みの連絡をあらかじめしておきたいのだが、休みの土曜日とあってどう連絡をとったらよいかで迷ってしまった。
派遣元営業さんにメールをして、いったん火曜日まで休みとした。大ボスにも会社スマホへSMSをいれておいた。返信はどちらもないが行くしかない。ああ、更新したとたんにお休みか~身内の不幸とはいえ、急すぎて何がなんだか追いつかない。
母とのお別れについては派遣話ではなく別で書くことにしよう。
日曜日の夜に大ボスから返信がきた。一般的な文面にプラスして「こちらのことは心配なさらず、必要な日数お休みしてください」とあった。
月曜日には派遣元から返信があった。「落ち着かれたらでいいので、以下の内容について返信いただけますでしょうか」とあった。亡くなった方の名前・住所・関係、お通夜・告別式の日時、会場、喪主、喪主との関係などといったところ。忌引きはないから有給か欠勤になるらしい。有給がまだ付与されていないおばちゃんは早くも欠勤することとなった。
とどこおりなく終わらせて、また後日帰省する、ということで帰宅した。娘は翌日から出社したが、おばちゃんは疲れがどっと出て起き上がれなかった。もう1日休みを願い出た。ぐだぐだしたいのだが、洗濯物はたまっているし、買い出しもしないとだからと午前中は動いてみたものの、ちょっと、、、と布団に横になったら知らぬ間に寝てしまっていた。目が覚めた時はもう真っ暗だった。
翌日、出社して、チャットで休暇のお礼をし、業務をおいかける。休んで何が大変ってこの追いかけ業務だ。日にちが多ければ多いほど、業務がたてこんでいるほどめんどくさい仕事となる。幸いにもそこまでのことはなく、小ボスがうまくさばいてくださっていたようで、持ち越し案件もなかった。母の他界がこの時期でたすかった。でも、実家の件ではやることはいっぱいある。いつ呼び出されるかわかったもんじゃない。
それでも、おばちゃんにはもう送るべき人がいないので、急な呼び出しはないだろう。
「こんなに早く戻ってきていただけるとは思ってなかったのでありがとうございます」とミーティングでお礼を言われた。なんかこそばゆかった。
しばらくして派遣元からメールがきた。「ご挨拶させていただきたく」といった内容だった。いつでもどうぞなので、営業さんの都合にあわせて面談をした。就業状況の話もあったが、気落ちしていないかの精神的な心配をされて、今時の派遣会社って手厚いんだなと思った。「会社からなんですが」と香典袋をもらった。「遠慮なくいただきます」と受け取ったおばちゃん。ハンカチで隠して自席に戻り、そっとかばんにしまった。
家に帰り「派遣会社からお香典もらったよ、びっくり」と娘に話す。見てみようと開けてみたら、中には1万円札が1枚入っていた。予想を上回る額でまたもびっくりしたおばちゃんであった。
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