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中国軍機初の領空侵犯

今日は2024年8月26日に中国の軍用機が初めて我が国の領空を侵犯した、このことについて解説したいと思います。

中国軍機とよく言われるんですが、このY-9情報収集機と言われるもので、これが11時29分から2分間、長崎県の男女群島沖の日本領空を侵犯した、という事案が発生をいたしました。
まず我が国の領土・領空・領海を侵すという行為は主権の侵害でありますので、断じて許されない行為だということで強く抗議をしたいというふうに思います。

中国側はこの侵犯の意図はなかったと中国のナンバー3からそういう発言があったと報道官も同じような発言をしてますが、火消しに走っているということだと思いますけれども、真の意図が本当に何なのかということを、今後注意深く見極めていかなければいけないと思います。

ちょうど今、アメリカでもバイデン大統領が辞めて11月に大統領選挙があって、次はカマラ・ハリスさんなのかトランプさんなのか、広い意味での権力の移行期にあるわけです。
日本もご存じの通り岸田さんが辞めるということになって、今自民党の総裁選挙が事実上行われているということで、いわゆるトランジション・ピリオドといって、権力が少し空白が生まれる時期なんです。
そういう時を狙って、日本を試しに来た可能性が私は否定できないというふうに思っています。

今後中国だけじゃなくて、移行期を狙って、ロシアであるとか、あるいは中国とロシアが合同してこういった侵犯事案を起こす可能性もあるので、警戒をより高めなければいけない時期に来ているというふうに思います。

もう一つ今後考えていかなければいけないのは、領空侵犯に対する対処措置です。
対領空侵犯措置というのが自衛隊法にも規定されてますけれども、これが果たして現実的なのかどうかということも考えていかなければいけません。
実際に領空侵犯があったらスクランブル発信します。
まず領空に入ってきているということで無線による警告をしたり、スクランブル発進した航空機から退去警告を出したり、あるいは威嚇射撃をしたり、そして着陸命令を出したり、ダメなら撃墜ということなんですが、なかなか撃墜に至るまでは非常にプロセス・手続きがあると。

領海侵犯も中国は尖閣諸島の接続水域のみならず領海にも侵入してきてますけども、海だとある程度余裕というか、時間的な猶予があるんですけど、音速で飛んでる、あるいはマッハいくつで飛んでるような航空機というのは時間的猶予は極めて短いんです。
仮にミサイルや爆弾を搭載したような航空機が高速で侵入してきたときに一連の手続きをとっていて間に合うのかということは実はあると思います。
例の気球が通過したということがあって、警告するというか、相手が有人、人が乗ってる飛行機などを前提としてるんですけど、無人機もありますし、かつ問題となったバルーン・気球みたいなのもありますから。
そうなると対人を前提としたということでは通用しなくなってきてますし、運用をどう現実に即したものにしていくのかというのは今後の課題だろうと思います。

トップガンという映画を皆さんご覧になられた方がいるかもしれませんが、かつてのトム・クルーズで出たトップガンと、最近映画になったトップガンを見てみるとよく分かるのが、F-16戦闘機、当時かっこいいドッグファイトがすごかったんですけど、戦闘機乗りが古いっていう感じで映画で描かれてるのを皆さんもご覧になった方がいると思うんです。
これからどんどん無人機になっていくし、AIとかコンピューター制御で動いていくってことになっていくと、人間の認知能力とか速さとかでは追いつかないような、そういう戦いが空で展開されてくるということになっていくと思います。
現在の自衛隊法84条ということに、対領空侵犯措置は定められていますけれども、そういった新しい技術開発とかAIとか無人機とかの登場によって、もう一度現実的なのかどうなのかということも含めて見直していく必要があるというふうに思います。

最後に長崎なんですけれども、長崎県には佐世保の基地があります。
台湾有事ということになると佐世保の果たす役割は極めて大きいと思います。
長崎県の男女群島に対しての領海・領空に情報収集機が来た、中国軍機が来たということは、侵犯の意図はなかったとは言いますけれども、尖閣諸島の領域を侵犯する話も最初はこんなことは偶然でしたとか・ミスでしたというところから、少しずつサラミ作戦というんですけど、スライス・スライスで少しずつ間合いを詰めていくんです。
今後、この領空侵犯事案が同じようなことが巧みに少しずつ我が国の領空に対する侵犯を深めていくきっかけにならないように、今後しっかりと注視をしていかなければならない、そう思っています。

今日は2024年8月26日に発生をしました中国軍機の初の領空侵犯事案について解説させていただきました。

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