家庭連合の代理人の中山達樹弁護士からレクチャー
浜田聡
これから中山達樹弁護士からレクチャーをいただこうと思います。
今回テーマとしては国際法から見た解散命令請求でしたけど、よろしくお願いします。
私もそうなんですけれど、中山達樹弁護士のほうから自己紹介をしてもらえればと思います。
中山達樹
皆さんこんにちは、弁護士の中山達樹です。
東京にいます。
2年くらい前から家庭連合の案件を代理しています。
私自身は家庭連合さんの信者ではないんですけれども、誰もいないからやってくれと言われて、2年間頑張っています。
それで今日の話につながるんですけれども、2024年6月に私がフランスのボルドーで、宗教の国際会議みたいのがありまして、そこで知り合った方と色々案件を進めて、貴重な報告書が出ましたので、国際法的な観点から見た日本の家庭連合の解散請求についてお伝えいたします。
改めまして経緯なんですけれども、私は6月にフランスのボルドーに行きまして、色々な宗教、例えばエホバの証人とかサイエントロジーとか、50人くらいの規模の会議に行きまして、フランスの人権派弁護士と知り合ったんです。
それがパトリシア・デュバルという年配の女性なんですが、その方は家庭連合信者ではないんです。
特に家庭連合関係のUPFとか団体に所属しているわけではないんです。
ただ人権の見地から非常に今の日本の家庭連合の解散について、非常に関心を持っていただきました。
そこでお知り合いになって、そのパトリシアという女性の弁護士が、9月に国連に報告書を出しました。
それについてご報告を差し上げます。
パトリシア弁護士はフランスの人権派弁護士で家庭連合の信者ではないし、特に家庭連合関係団体に属していない。
ただこの方は実は10年ぐらい前から、この家庭連合案件、具体的には家庭連合信者が拉致監禁されて家庭連合をやめろと、そういう事件に関心を持ちいただいて、10年前にも実は似たように家庭連合側に立って、国連に報告書を出しているんです。
浜田先生もご記憶あるかと思うんですが、12年半日本で拉致監禁された家庭連合信者の後藤徹さんが、まさにその件に関して、パトリシア弁護士は国連にレポートを出してくれたんです。
浜田聡
拉致監禁については2024年の通常国会でも取り上げた案件なんです。
私がこの件に関して、特に多くの皆さんに知っていただきたいのは、多くの皆さんというのは家庭連合の方、関係者以外にも興味を持っていただきたいのは、4,000人を超える拉致監禁が立憲民主党と関連しているのではないか、ということなんです。
この拉致監禁の脱会指南といいますか、直接手を下すのは家族の方なんですけれど、指導的立場にある方が脱会屋という方が複数にいるんですけれど、その代表格が宮村峻という人物なんです。
宮村峻氏については後藤徹さんの裁判でも、当然手を下した家族の方には損害賠償が出ているんですけれど、宮村峻氏にも責任はあるだろうということで、1,100万円ぐらい損害賠償金を払わせている、最高裁で決まった案件です。
その宮村峻氏が立憲民主党のほうに呼ばれてレクチャーをしているということです。
これは立憲民主党が宮村峻氏と強いつながりがあると言っても過言ではない。
この件については2024年の通常国会でも質問主意書という形で出させていただきました。
この案件は立憲民主党という公の国政政党が関わっている問題であるということを、皆さんにも是非知っていただきたいということです。
中山達樹
今浜田先生がおっしゃった立憲民主党とつながりのある脱会屋の宮村峻氏さんにつなげますと、宮村峻氏さんの指示のもとに12年半も監禁された後藤徹さん。
この裁判は2015年に最高裁で勝って終わったんですが、この裁判にも実は10年前、今回のパトリシア弁護士が関わってまして、2014年、判決の1年前にパトリシア弁護士が「日本の家庭連合の拉致監禁、これはひどい人権侵害だ」と、そういう報告書を国連に出しました。
そしたらそれがめちゃめちゃ国連に刺さって、どうなったかというと国連から日本政府に勧告が出たんです。
それが2014年ですから、このパトリシア弁護士というのは非常に強力というか、人権という見地から、10年前には監禁について、後藤さん・宮村峻氏の監禁について、日本政府に突き刺さるような報告書を書いた著名な有名な一流の弁護士なんです。
今のは10年前の話です。
じゃあ今なんで私がここで浜田先生にこの説明をしているかというと、私が6月にフランスに行ってパトリシア弁護士と会って、「やっぱり今の日本の法律、宗教法人法はおかしいね」という話をずっと数ヶ月やって、9月の下旬に、このパトリシア弁護士がまた国連に対して報告書を出したんです。
その内容を今日は説明にまいりました。
具体的には9月25日にジュネーブでパトリシア弁護士が国連の人権理事会ほか、特別報告書(5名)に出した内容なんです。
ここから確論に入らせていただきます。
端的に申し上げますと、日本の宗教法人法に基づく解散命令の手続き・定めが、国連の規約・国際法の規約に違反している、そういうレポートです。
まず国際の人権規約がありまして、日本も被従しているんです。
日本も参加しているんです。
人権規約18条3項というのがありまして、世界の先進国は皆が承認しているようなものがあります。
信教や信念を表明する自由は、法律の具体的な制限とか、公共の秩序とか、そういう基本的な権利を保護するために必要な制限のみに従うと。
要するに、法律で明確に「こういう場合にダメだよ」とか「秩序を違反する」要するに治安を害せるような場合は宗教の自由は制限できるけれども、そうじゃない場合は「基本的に自由だよ」と。
それがこの18条3項なんです。
パトレシア弁護士の見解では、日本の宗教法人法81条、要するに解散命令の規定ですが、この人権規約の18条3項に反している、そういう内容です。
3ページ目でより具体的に説明させていただきます。
日本の宗教法人法81条、要するにこういう場合に解散する、その定め自体が国際人権規約、先ほどの18条3項に反すると。
左側に書いてある(1)法令違反。
これは日本の宗教法人法です。
ただ法令というのは具体的でもなければ、明確でもないので、人権規約では詳細にパワーポイントで用意していないんですけれども、お手元に別の資料・意見書がありまして、この7ページの上から4行目、精細な基準・精緻な基準・具体的な基準じゃないといけない、基準を定めた法律じゃないといけないと書いてあります。
日本の宗教法人法は法令の2文字しかないので、具体的な精細な基準はないだろうというところで、日本の法令違反、法令2文字しか定めていないのは「違反する」と。
まずは1点はそういう内容です。
浜田聡
宗教法人法81条はどういうものですか?
中山達樹
81条は日本の宗教法人が解散する場合を定めていまして、法令に違反して、かつ著しく公共の福祉を害することが明らかな場合に解散される、そういう条文です。
今私が説明したのは上の方の法令違反、これ自体が人権規約違反だということなんですが、それに加えて(2)と書いてあるのは、これも日本の宗教法人法81条に書いてあって、著しく公共の福祉を害することが明らかな宗教法人。
例えばオウム真理教とか、29人殺しちゃった、そういうのは該当すると思いますが、これ自体もパトリシア弁護士の意見書の中で「人権規約に違反する」ということなんです。
なぜかというと国際法的な観点からすると、公共の福祉というのは非常に広すぎる、漠然としすぎる。
公共の福祉というぼやっとしたものを前提に、信教の自由みたいな大事な人権を侵害しちゃいけないだろう、そういう考えに基づいています。
実際国連から、これは私も最近知ってすごく勉強になったんですが、3回も日本政府に「公共の福祉という曖昧な文言で人権を制限しちゃいけない」とそういう勧告が出てます。
3回というのは2008年と2014年と2022年、つい2年前にもそういう勧告が出ています。
そういう勧告の流れの中で、宗教法人法81条の公共の福祉を害するときには宗教法人が解散する、これはおかしい。
そういう意見書がパトリシア弁護士によって9月に国連に出されました。
以上が基本的な内容です。
浜田聡
私なりの問題意識としては、やっぱり現状、宗教法人を解散させるための宗教法人法81条1項1号というのが、やっぱりしっかりとルールが決められていないというところですか。
例えば法令違反ということなんですけれども、この法令がどの法令にということが書かれていないということだと思っています。
例えばオウムであったり過去に解散させられた今回の家庭連合を除いた宗教法人は、それこそ刑法には違反をしていたということで、例えばオウムであれば沢山の多くの方がお亡くなりになったと。
テロ行為を起こしたから、それは法令なので解散させられても致し方なかろう、妥当性があるだろう。
そうであればこの宗教法人法には「刑法の何条にとかいうのもちゃんと書け」ということですかね。
これが曖昧だから岸田政権においては、法解釈を変えて、それまでは刑法でないと解散命令請求は出せなかったんだけど、家庭連合は組織としては刑法には該当しなかったので、岸田政権は家庭連合に解散命令請求を出したいがゆえに、民法違反もそちらに入り得るという法解釈をした、そういう岸田政権の問題も含まれているのかなということです。
確かに法令違反のところも、具体的にかつ明確にしなければいけないだろうと。
そしてさらに「公共の福祉を害することが明らか」も漠然としすぎるということです。
中山達樹
浜田先生が仰っていただいたとおり、2年前の今頃、岸田首相が立憲民主党の小西議員にそそのかされた関係で、「(1)法令」と出ているところがずっと政府は刑法だと言っていたのに民法も含むと。
一夜一晩にして解釈変更させてしまったのですが、今回のパトリシア弁護士の報告書は、刑法・民法の前に前段階として、そもそも法令という曖昧な二文字で宗教法人の解散自由を定める、これ自体が国際的・国際法から見て人権規約に違反している、そういう非常に強力な意見です。
浜田聡
小西議員の名前が出たのでこれも触れておくと、小西議員は解釈変更させたことを誇りにしていて、YouTubeでもインタビューの動画で「岸田総理をそそのかして、そういうことをさせた」みたいなこと、「嘘をついて」とか言われていたような気がしますが、とにかくこの件は、解釈変更させたことを小西さんは自慢しているようなところはあります。
そこはお伝えしておきます。
中山達樹
以上3ページで、私が「日本の解散命令の宗教法人法81条の規定が国際人権規約に反する」というご説明をさせていただきました。
残り1ページが発展した、さらに先のやや細かいところになるかもしれませんが、4ページ目でさらに踏み込んだレポートを私から浜田先生にさせていただきます。
この文脈で過去の国連の考えを洗っていきます。
2012年、今から12年前にビーレフェルト、ドイツ系の方だと思うんですが、特別報告者、非常に国連の人権の中で地位が高い人が「伝道する」「宗教の考えを伝える」それにはいろんな方法があるでしょうと。
強制的に監禁して「家庭連合をやめろ」とかないしは「家庭連合の考えを押し付ける」そういう強制的なのがダメなんだけれども、「強制的ではないなら、基本的にそれは宗教の自由の範囲内だ」そういうことを、12年前の2012年に国連にレポートが出ているんです。
ここから何が読み取れるかというと、日本の裁判では長年の間、家庭連合による伝道が、最初は家庭連合とは知らなかった、正体隠しだと言って、民事判決で不法行為だという判決が出ました。
ただそれもビーレフェルトさんの報告書からすると、別に家庭連合が監禁して、どこかに押し込めて、強制的に家庭連合の考えを押し付けたということはないんです。
ですからビーレフェルトさんの考え方からすると、日本の今までの家庭連合の伝道について、30年くらい前から、違法だという判決が出ていますが、その民事判決すら国連人権規約に違反している、そういうレポートがあります。
これが今の日本の解散命令にどういう法律的な影響がありますかというと、2年前に遡りますと、文科省が家庭連合の解散命令請求をすると言ったときには、22個の民事判決、家庭連合が負けた、こういうのがあるから質問権を行使して解散命令すると。
これが1年前ですけれども、その後に解散命令請求が来たときは、22の民事判決が10個増えて32になったんですけど、その32の民事判決も皆が強制的にやったんじゃないと。
別に詐欺したわけじゃない。
でもその伝道のやり方が不法行為だということで、ビーレフェルトさんの考えからすれば、そういう22個とか32個の日本の今の解散命令の根拠となっている民事判決も国際規約に違反している、そういうことになるんです。
今更進んでいる手続きをひっくり返すのは難しいにしても、日本の民事裁判とかが国際的な規約に従っていれば、そもそもそういう日本の家庭連合の民事判決の敗訴もなかっただろうというところで、この2~30年、日本の家庭連合にやられていること自体が、国際人権規約の観点から見て、非常におかしい疑問だ、そういうご報告です。
浜田聡
私の方も理解の方が進んだと思います。
やっぱり家庭連合の方々が、今かなり弾圧といってもいいような状況を受けているというのは、他に色々宗教あるんですけど、その中で家庭連合というのは、やっぱり政治的な争いが背景にあるのだなと思っています。
家庭連合というのは宗教法人でありますが、一方で、政治団体に勝共連合というのがありまして、そちらと関係があると認識をしています。
公明党が政治団体、こちら国政政党ですけど創価学会が宗教法人、これの関係を思い浮かべていただくと想像しやすいのかなと思います。
勝共連合というのが、つまり「共産党に勝つ」という、そういう意味合いがあって、要は共産党と対抗する政治団体なわけです。
1960年代とか、本当に学生運動が非常に共産党の扇動によって行われていたときに、このままだと「日本が赤化する」という、そういう危機感もあったわけです。
当時の岸信介氏であったり安倍晋太郎さんという方は、この危機感において、勝共連合と協力をして色々と政治的な取り組みをされたということです。
勝共連合・家庭連合に対して色々な考え方があるとは思いますが、私はそういう歴史を踏まえると、日本が赤化しかねない、そういう時期に、勝共連合が果たした役割というのは、やっぱり私は大きいのかなと思います。
欲論すると日本を赤化から守った、防波堤の役割を果たした、そういう役割もあるんじゃないかなとは思います。
決して旧統一協会のときのいろんな社会問題化したことについては、そこについてはもっと色々と批判されて然るべきみたいなところはあったのかもしれませんが、政治団体の勝共連合というところであったり、今の家庭連合についても改めて評価し直す必要、歴史的に評価する必要があるのかなと思います。
家庭連合さんについては特にコンプライアンス宣言は非常に契機になったと思います。
オウム真理教の事件が起こって、改めて宗教法人のあり方を見直すべきだというところがあった後に、コンプライアンス宣言を家庭連合が出して、今後はしっかりしていこうということがあったと。
2009年にそういうのが出た後は、それまで数多かった民事訴訟というのは、基本的には激減したと認識をしています。
拉致監禁は引き続きずっとあったので、家庭連合が被害者の訴訟は数多かったとは思いますが、ひとまず自分の認識しているところからの話をさせていただきました。
中山達樹
今浜田先生がおっしゃった勝共について、私の知るところをお伝えさせていただきます。
その勝共運動が激しかった1960・70年は、世界で赤い国、赤化とおっしゃいましたけれど、すなわち共産主義国が3分の1ぐらいだったんです。
それはやっぱり肌でそういう危機をどんどん増えている、世界が赤くなる、そういう危機を感じていたから勝共運動の人が非常に頑張って、共産主義系の方は負けちゃいけないといって、政治的なイデオロギー的な攻撃をして、それが今の家庭連合問題の大きな背景にあると私も思っています。
浜田聡
最後に何かありますか?
中山達樹
一つ報告をします。
今手元に用意していないんですが、家庭連合さんが小さい50ページぐらいの本を出しました。
2年間、安倍首相の銃撃事件の後に、こんなメディアさんから、ないしは世間から非難されて迫害されているという本を出しましたので、お手に取っていただければ状況がよく分かるんじゃないかと思います。
浜田聡
私の方からも最後追加です。
家庭連合の方が、特に安倍晋三元首相の銃撃事件以来、山上氏の件を取り上げながら家庭連合叩きをメディアがこぞってやっているんですけれど、私はやっぱりこの件に関しては、立憲民主党であったり共産党といったところがやっぱりメディアと仲がいい・親和性があるというところで、共産党にとっては勝共連合・家庭連合というのは、犬猿の仲といいますか敵だったわけです。
その敵が、要は共産党と仲のいいメディアが家庭連合を叩くのは当然という、私はそういう構図があるかと思います。
少なくともテレビなどは放送法4条で政治的な公平性という放送内容の公平性というのが謳われているわけなので、この現状においては家庭連合に対して、不当に叩くような報道というのは改善されて然るべきだと思っています。