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中国機の史上初の領空侵犯について
8月26日、中国機の領空侵犯についてお話をしたいと思います。
今回も夕刊フジの記事を紹介させてもらいます。
一昨年に買った夕刊フジと昨日買った夕刊フジ、両方に載っていますので記事の方も紹介させてもらいますが、「中国機侵犯 目に見えない日本侵略開始」ということです。
今回は8月26日の領空侵犯事案なんですけど、少し前の出来事を振り返っておくと、8月16日に尖閣諸島の魚釣島・東の川にメキシコ人が漂着したということがあって、それを日本が身柄を確保したというのがありました。
これは尖閣諸島において、日本が実行支配をしているという証拠にもなり得ることかなと思います。
その3日後の8月19日、NHKの放送テロがありました。
中国人スタッフが「尖閣は中国の領土である」そういうことを言ったと。
「魚釣島は中国の領土である」ということを言ったというところです。
夕刊フジの記事、峯村健司さんが書かれた記事なんですけど、それの紹介の前に江崎道朗さん、あと国家基本問題研究所の発表の方を見ておきたいと思います。
こちらは8月30日に国家基本問題研究所シンクタンクの方で会合があったみたいで、それに関する分析がということです。
国基研 活動報告
— 国家基本問題研究所 (@JP_jinf) August 30, 2024
総合安全保障プロジェクト
中国の軍事動向を分析する中川真紀研究員が、わが国領空に対する中国軍機による領空侵犯事案及び最近台湾が実施した軍事演習「漢光演習40号」の様子をブリーフィングしました。https://t.co/i1JSKRLmtM
それを江崎道朗さんが引用リポストされておられましたので、そちらを紹介させてもらいます。
今回の領空侵犯が故意か過失かは不明だが、次の事象を考慮した可能性はある。
— 江崎道朗@富民厚防 (@ezakimichio) August 30, 2024
①7月30日に習近平総書記が重要講話で国境・海空域防衛力の整備を軍に指示⁰②7月4日に海自護衛艦「すずつき」が浙江省の中国領海を一時航行し中国から退去勧告… https://t.co/TVNRkzElxI
領空侵犯なんですけれど、私の理解としては領海侵犯とは全然レベルの違う話であります。
領空侵犯は航空機でとにかく早いということで、少し見逃すと一刻の猶予もない間にミサイルを撃たれて都市が爆撃されるという可能性もあるので、場合によっては撃ち落としてもやむ無しみたいな印象でもあります。
警告射撃はやっていいのかなというようにも思います。
実際に1987年のソ連機が領空侵犯をした時には、自衛隊機が警告射撃をしたという認識情報があります。
8月31日号の夕刊フジの峯村健司さんのところの記事を紹介させてもらいます。
中国人民解放軍のY9情報収集機が26日午前、東シナ海上空の日本の防空識別圏に侵入したのを自衛隊が確認した。航空自衛隊・新田原基地(宮崎県)のF15戦闘機と、同・築城基地(福岡県)のF2戦闘機が緊急発進(スクランブル)して、日本の領空に近づかないように警告したが、情報収集機は長崎県五島市の男女群島沖の南東側で旋回をしていた。
そして、午前11時29分ごろから2分間、男女群島沖約22キロの領空を侵犯した。その後も、同諸島の南東沖上空を旋回し、午後1時15分に中国の方向に戻ったという。
中国軍機が日本の領空を侵犯したのは初めてのことだ。これについて、中国外務省報道官は翌27日の会見で、「中国はいかなる国の領空も犯す意図はない」と釈明した。
だが、情報収集機の航路や速度からみて、故意に領空侵犯した可能性が高いと筆者は分析している。
情報収集機の速度は戦闘機よりも遅く、中国軍機の航行には中国独自の衛星測位システム「北斗」が使われており、航路を外す可能性は低いからだ。
では、中国側の真の狙いは何だろうか。筆者は2つの目的があったと推察する。
1つは、日本側の対応能力を探る狙いだ。長崎県をはじめ九州には、中国が「台湾併合」に向けた軍事行動をとった場合、自衛隊と米軍の重要な拠点がある。長崎県の佐世保基地には米海軍の強襲揚陸艦が配備されているほか、今回スクランブル発進した新田原、築城両基地は戦闘機の出撃拠点となる。意図的に領空侵犯をしたうえで、日本側の反応や対処を見極める狙いがあったのだろう。
岸田文雄首相が9月の自民党総裁選への不出馬を表明して、「レームダック(死に体)」の状態となっている。こうした政権移行期を中国側は「権力の空白」と過大評価して、相手国を挑発する傾向がある。総裁選レースに世論の関心が向いている日本の間隙を突いた可能性があるとみている。
もう1つが、海上自衛隊の護衛艦が中国領海を航行したことへの「意趣返し」の可能性だ。中国東部浙江省の沖合を航行していた海自護衛艦「すずつき」が7月4日午前、一時、中国の領海内に入った。防衛省関係者によると、護衛艦は中国軍の訓練監視をしていたところ、誤って進入したという。
今回の領空侵犯について、中国のSNS上で「報復だ」などと評価する書き込みが相次いでいる。ただ、各国の艦艇は沿岸国の秩序や安全を害さなければ領海を通過できる「無害通航権」が国際法で認められており、自衛隊艦が領海を通過したことは何の問題もない。
一方、外国の航空機が許可なく他国の領空に侵入することは「重大な主権侵害」であり、国際法上では撃墜することも認められている。つまり、領空侵犯を既成事実化できた中国側の方が得たものは大きかったといえよう。
今回の日本政府の対応は生ぬるかったと筆者は考える。せめて自衛隊機による警告射撃の検討をすべきだったのではないか。1987年、沖縄周辺の領空を侵犯したソ連の偵察機に対し、自衛隊機は警告射撃をしており前例があるからだ。
今回の件を受けて、中国側は日本に対し、より強硬な軍事行動をとる可能性がある。日本としてどのような対策をとるべきか。自民党総裁選の候補を含めて徹底的な議論をすることが急務だろう。
今度は昨日の夕刊フジのトップ記事で、総裁選と絡めての領空侵犯の記事になりますのでこちらも紹介したいと思います。
自民党総裁選(9月12日告示、同27日投開票)の前哨戦の最中、中国が日本領空の侵犯という「重大な主権侵害」を仕掛けてきた。日本政府や日中友好議連の抗議や遺憾砲に対し、中国は「いかなる国の領空にも侵入するつもりはない」(中国外務省)などとうそぶいている。防衛省統合幕僚監部は30日、中国の無人機と推定される1機が同日午後、東シナ海から飛来し、日本最西端の沖縄県与那国島と台湾の間を通過して太平洋に向かったと発表した。前駐オーストラリア日本大使の山上信吾氏は、岸田文雄政権の「弱腰外交」が中国を増長させたと喝破し、二度と領空侵犯をやらせてはならないと指摘する。10人以上が出馬意欲を示す総裁選の判断基準として、「対中姿勢」を最重視した。
恐れていたことが起きてしまった。
中国人民解放軍偵察機による日本領空の侵犯だ。しかも、中国側が国際法上、誰も真面目に取り扱わない破天荒な主張を重ねてきた沖縄県・尖閣諸島上空ではない。長崎県の男女群島沖上空という、中国側も日本の領空であることを争わない空域だ。だから、「なおさら罪深い」と言えよう。
一部メディアや論者は中国側の意向の忖度(そんたく)にきゅうきゅうとしているが、そんなことは二義的な話だ。
重要なのは、まごうかたなき、わが国の領空が侵犯されたこと。ロシアは何度も犯してきたが、中国は初めて。その意味は、限りなく重い。そして、将来に暗い影を投げかけている。
第1に指摘すべきは、岸田文雄政権の「腰の引けた対中姿勢」が、中国をここまで増長させたことだ。
先に言っておくと、岸田政権は確かに中国に増長させたというか、親中とは言われますけれど、岸田政権でできた安保三文書というのは、本質としては私の理解するところでは日本に対する脅威となるものをリスト化したものです。
やっぱりその中でも中国にどういう脅威があるのかというのをしっかりと明文化したものだと思いますので、しっかりやってる部分は評価しなきゃいけないとは思います。
こういう山上さんのような考えがあるっていうのはそれで理解します。
あと領空侵犯の前にも日本がNATO諸国かな。
EU諸国とも訓練してるんです。
合同訓練とかしてて、そういうのも考慮に入れてもいいのかなとは思います。
日本の排他的経済水域(EEZ)への弾道ミサイル5発の撃ち込み。原発処理水の海洋放出を受けた日本産水産物の輸入停止。尖閣諸島周辺の日本のEEZ内に海上ブイ設置。駐日中国大使の「日本の民衆は火の中に連れ込まれる」との暴言。東京・靖国神社の石柱への放尿・落書き事件。中国・蘇州で日本人親子切り付け事件など…。
こうした恫喝(どうかつ)、「侮日」行為が相次ごうが、「遺憾」の一言を繰り返すだけで、語るべきメッセージも成す術ももたなかった対応が招いた必然と認識すべきだ。
そう考えれば、柔弱でにやけた笑いが十八番である外務省の岡野正敬事務次官が、中国の施泳駐日臨時代理大使に申し入れをしたくらいで済ませては絶対にいけない。
上川陽子外相がアドバイスを仰いでいるとされる福田康夫元首相の教えに反しようが、中国の王毅共産党政治局員兼外相に対して厳正に抗議しなければならない重要度の話だ。日中友好議連が鼻の下を長くして訪中などしている場合ではないのだ。
次に侵犯された場合「警告射撃辞さない」明確に
さらに大事なのは、二度と領空侵犯をやらせないことだ。
これこそ、まさに歴史に学ぶべき問題だ。思い返せば、尖閣諸島周辺の日本領海に初めて中国の公船が侵入してきたのは2008年12月の日中韓首脳会談の直前だった。「おざなりの抗議に止まり会談を壊せはしないだろう」と、日本の柔(やわ)な対応を見越した中国による巧妙な仕掛けだった。
同じ過ちを繰り返してはならない。領空侵犯を常態とさせることがあってはならないのだ。
そのためには、岸田首相、上川外相双方のレベルで、再発防止を強く求め、「万が一、次に侵犯された場合には、日本として中国機に対する警告射撃、強制着陸も辞さない」と明確に伝え、これを公にしておくべきである。
時は自民党総裁選たけなわ。こうした政治的季節に中国が仕掛けてきたことを、日本の政治家と有権者は深刻に受け止めなければならない。
次期自民党総裁、日本国総理の重責を担わんとする政治家は、すべからく、この問題に対する所見を明らかにすべきである。今のところ、報道によれば、明確に抗議しているのは高市早苗経済安保相と、小林鷹之前経済安保相のみという寂しい状況だ。
何をされても「遺憾」と応じ続けてきた「親中」で有名な候補。王毅氏にあいさつする際、目上の者を遇するように深々と頭を下げた候補。「尖閣は中国領土だ」とまで言われても「謝謝(シェイシェイ)」と述べたとされる候補。国民が猜疑のまなざしで、その「媚中」姿勢を懸念している候補らが、無言であるのが気にかかる。
今や「対中」姿勢こそが、次期総裁、総理の器か否かを測る最重要のバロメーターになった。
山上信吾(やまがみ・しんご)
外交評論家。1961年、東京都生まれ。東大法学部卒業後、84年に外務省入省。北米二課長、条約課長、在英日本大使館公使。国際法局審議官、総合外交政策局審議官、国際情報統括官、経済局長、駐オーストラリア大使などを歴任し、2023年末に退官。現在はTMI総合法律事務所特別顧問などを務めつつ、外交評論活動を展開中。著書に『南半球便り』(文藝春秋企画出版)、『中国「戦狼外交」と闘う』(文春新書)、『日本外交の劣化 再生への道』(文藝春秋)。
今回の領空侵犯に関するいろんな考えの方をお話しさせていただきました。
警告射撃ぐらいはするべきかなと私も思いますが、この辺に関しては皆さんのご意見もお聞かせいただけたらと思います。