
1億円の壁 金融所得課税をどう考えるべきか
金融所得課税なんですけれども、これまで岸田内閣・石破内閣通じて、ずっと見直しを。
皆が最初は言うんですけども、大変難しくて、いろんな反対も出てきてずっと頓挫してきたという歴史があります。
今回も実は2024年12月24日に国民民主党の税制調査会がまとめた中にも、金融所得課税について課税を強化する具体的な案が書かれています。
それが炎上しているということで背景について、そして今後について改めて少し解説をしたいと思います。
まず、なんでこの金融所得課税の見直し・強化が歴代政権、また我々野党でも問題になってくるかというと、一つは1億円の壁という問題があります。
何かというと、所得が増えていくにつれて、日本は累進課税なんで基本的には所得税の負担率が上がっていくんですが、1億円をピークに下がり始めるんです。
所得税って累進課税なのに、1億円を超えたら負担率が下がるのはおかしいじゃないかと思う方が多いと思うんですが、所得も色々あります。
給与所得・年金の所得・農業所得・金融所得といろんな形の所得があるんですけど、全部合算して、その合算したものは例えば900万円だったら900万円の税率がかかっていくと。
その税率は所得が高くなるにつれて上がっていくと。
この金融所得、つまり利子とか配当とか、そういった金融所得に関しては分離課税ということになっていて、同じ鍋にいろんな所得をぶち込むんじゃなくて、金融所得だけは別鍋になっています。
別鍋になってる金融所得は一律20%の税率、これが大きな違いなんです。
その結果、所得税の負担率が1億円をピークに下がり始める。
なぜかというと、全ての総所得に占める金融所得の割合が1億円だと上がってきます。
100億円の方は93.7%が金融所得だという分布があります。
そうなると勘のいい方分かると思いますけども、例えば全ての所得が金融所得の人を考えてくれると分かりやすいんですが、そうすると100億円だろうが1,000億だろうが、全ての所得が金融所得でできてる人は、その人の総所得に対する税率は20%です。
でも累進課税、例えば給与所得者です。
サラリーマンの人だと所得が増えるについて税率が上がってきますから、最大45%ということになります。
金融所得の割合が1億円を超えてグッと上がっていくので、金融所得に対する課税である20%の割合が大きくなっていって、だんだんだんだん下がっていくと。
下がるんじゃなくて全体として負担能力のある人には払っていただいてはどうかということで提案が様々なされるんですけど、さっき言ったように、岸田内閣・石破内閣もこういう問題を指摘はしつつ、なかなかできないということであります。
何故できないかというと、一つは総合課税化というか、全部金融所得も1個の鍋に入れて、それでスパーッとシンプルな累進課税表に適用すれば極めてシンプルなわけです。
たださまざまな所得をタイムリーに把握して一つにして、それで課税していくっていうのが技術的にも難しいということもあってなかなか進まなかったんです。
ただ国民民主党が2024年まとめた中にも、これまで実は総合課税化ということを一つの大きな方向性として出しつつ、27.5%なんで、この辺の大きい人は30%ぐらい負担してもらったらどうかなというようなことで提案してやってるんです。
荒っぽく書いてるので、中間層に対しても増税になるような、そういうふうに単純にいくと読み取られるので、その辺はさらに議論を深めていかなければいけないということで、古川税調会長また代表代行も会見でそういうふうに答えています。
いずれにしてもこういう問題が背景にあって、ある種の公平な税制、あるいは格差の是正という観点での見直しは必要だろうというのが一つあります。
ただ一方で、今多くの現役世代の皆さんが感じているのは年金や医療の保険料払ってると。
でも特に年金これ払ってても将来安心して老後遅れるぐらいの年金として戻ってくるのかということを、多分多くの人が不安を抱えているので、少しでも投資をして積み立てもしながら、NISAもiDeCoもやりながら資産形成できないかなと思ってやり始めてる方沢山いらっしゃると思うんです。
なので私たちはこうです。
現役世代の資産形成を阻害するつもりは全くありません。
だからどんな税制にしようが、現役世代の資産形成を阻害しないような制度にすることは、これはお約束をさせていただきたいと思います。
もちろん、もっとご負担いただける能力のある人に負担していただこうっていうのは我々はずっと言ってきたことなんですが、変に制度設計しちゃうと、かえって現役世代の資産形成を阻害するようなことになっては本末転倒ということになりますので、ここはしっかりと置いておきます。
だからこそNISAとかiDeCoについては非課税枠の拡充とか、そういったことはさらに推し進めていきたいということはその通りですし、また皆さんご存じの通り、いわゆる暗号資産の20%の分離課税化ということを提案しているのも、現役世代の資産形成をありとあらゆる形で応援していこうということについて力を入れているからそういうことを申し上げています。
ただ聞かれるのは「そうは言ってもまず投資するお金がないよ」という声も沢山聞くので、だから手取りを増やす経済政策といって、税負担を下げたり社会保険の負担を下げたりガソリン代・電気代を下げて、手元に残るお金を増やして資産形成にチャレンジする方は、そういったことができるような手取りを増やす、ということを訴えているわけであります。
社会保障制度の見直しということについてもしっかりやっていかなければいけませんし、現役世代の負担軽減、そして安心できる老後、そして生きていけるための最低限の年金の確保とか、こういったものを我々としてはバランスよく提案をしてもらいたいというふうに思っています。
私たちの取りまとめ、あるいは発信のやり方が非常に多くの皆さんに不安を与えてしまったことについては反省しなければいけません。
ただ改めて申し上げますと、とにかく公平・中立・簡素な税制を目指すということは変わりません。
そして現役世代の資産形成を決して阻害しないと。
ここは皆さんに確実に約束をさせていただきたいと思っていますので、皆さんの思いや不安やご意見も踏まえて、これからまた参議院選挙に向けた公約作りにも取り組んでまいりたいと思いますので、またどしどし皆さんのご意見をお寄せいただきたいというふうに思っています。