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「経済安全保障版セキュリティ・クリアランス制度」を創設するための国会審議ダイジェスト③~衆議院内閣委員会~(3月27日審議入り)

後藤祐一
国会法102条の18を見ると、この適性評価の定義が特定秘密に限定されているんです。
情報監視審査会の事務を行った場合に特定秘密をもらわすおそれがないことについての職員に係る評価を言うとなっているので、このままだと重要経済安保情報を国会職員は扱えないのではないかと思われるんです。
これについては政府の職員の場合は、この法案の11条2項で特定秘密を扱える適性評価を受けた人は今回の重要経済安保情報も扱えるという規定があるんですが、これは国会職員には当てはまらないということでいいですか?
つまり9条1項に基づいて国会に重要経済安保情報を提供する場合は、これを取り扱い国会職員は今の法律のまま国会職員法も国会法も変えないで本当に扱うことができるんでしょうか?

高市早苗
本法案の第9条1項1号では国会において重要経済安保情報を利用し、また知る者の範囲を制限すること、国会における審査調査以外の業務にその情報が利用されないようにすること、その他の国会において定める措置を講じと規定しています。
国会における情報保護措置の内容は、国会でお定めいただくこととしておりまして、後藤委員御指摘のような国会職員法や国会法を改正するかを含めて、国会において御議論いただくことになります。
法案上は先ほど申し上げた内容を担保する国会において定める措置等が講じられていれば、9条1項に基づいて重要経済安保情報を国会に提供することになります。

後藤祐一
大臣もう一回伺いますが、閣法の方の今回の法案の11条2項で、政府の職員については特定秘密の適性評価が受けていれば、重要経済安保情報の適性評価が別途受ける必要はないという規定がありますが、これは国会職員には適用されないということでいいですね?

高市早苗
先ほどお答えしたとおりです。
この法案の中の重要経済安保情報の取扱いのあり方につきましては、今後国会で御議論いただくことになると認識しています。
先ほど例示させていただいた措置を含めて特定秘密と同じような措置を講じていただける場合には、重要経済安保情報を提供することになります。

後藤祐一
これ大臣お答えいただきたいと思いますけれども、重要経済安保情報を特定秘密と同様に情報監視審査会の対象とすることに政府として何か不都合がありますでしょうか?

高市早苗
不都合はございません。
先ほどご指摘したけれども、私も情報監視審査会のメンバーでしたし、議員運営委員長も務めさせていただきました。
国会法に係ることですので、やはり国会でお決めいただくことだと思いまして、政府の方からこうして欲しい・ああして欲しいというお願いはしにくいという意味で先ほどの答弁になりました。
特定秘密の提供を受ける場合は、その国会における措置で国会法で衆参両院に設置される情報監視審査会の各議員の議決により定めるもの、及びその事務を取り扱う職員だけが必要な範囲で特定秘密を利用、また知ることをできること、情報監視審査会の事務はその議員の議長が別に法律で定めるところにより実施する適性評価において特定秘密を漏らす恐れがないと認められたものに限定されることなどの措置が講じられています。
重要経済安保情報の取り扱いのあり方については、やはり今後国会でご議論いただくことになると認識をしていますけれども、特定秘密と同様の措置を講じていただける場合には、重要経済安保情報を提供することになると考えています。

後藤祐一
大臣ありがとうございます。
不都合はございませんと明確な答弁いただいたことは重要なご答弁だと思います。
当然、特定秘密を提供いただく場合の措置、私も情報監視の委員でしたけれども、講じて今やっているわけですから重要経済安保情報を提供していただく場合にも、当然それと同等の措置を講じることになるかと思います。

篠原豪
ちなみに政府はサイバー攻撃の脅威、サプライチェーン上の脆弱性、防衛管理制度などの検討分析、そして先端技術の国際的な共同開発研究といった4分野に関する情報を候補に挙げていますので、今申し上げたように民間事業者が持つ最先端の技術情報とは別物であるということは明白なのだと思います。
したがって質問させていただきますけれども、国際共同研究の円滑な推進を希望する民間事業者は、重要経済安保情報とは実は関係なくてセキュリティ・クリアランスに関する適性評価を受ける動機、これインセンティブを持つことになるのか、それが本法で想定されているのかどうかということをまず政府に伺います。

高市早苗
国際共同研究を推進していく観点、これは附帯決議にありました。
この観点では諸外国にも通用する制度としていくことが必要です。
その観点も念頭に2023年2月以来有識者会議において、産業界の皆様のニーズも聴取し外国の制度分析を行ってまいりました。
諸外国におけるセキュリティ・クリアランス制度は、我が国における既存の制度である特定秘密保護制度も含めて第一義的には自国政府が保有する安全保障上重要な情報の保全制度として存在しています。
適性評価を行うのは自国の秘密情報を提供する前提で、それを漏らす恐れがないかどうかを確認するためです。
この法案では望めば誰でも適性評価を受けることができることとはしておらず、諸外国の制度と同様に重要経済安保情報として指定された情報の取扱いの業務を行うことが見込まれるものについてのみ適性評価の対象といたしました。
国際共同研究に関しまして、本法案ではそれが重要経済基盤の脆弱性の解消や重要経済基盤の革新的な技術に関する調査及び研究等に該当する場合には、本法案の目的にある事業者による我が国の安全保障の確保に資する活動と位置づけられることとなりますので、この法案や関係する国際的な枠組みと相まって円滑な推進が図られると考えています。

篠原豪
次に民間事業者が持つ最先端の技術情報の保護と法案の関係についてお伺いいたします。
国際共同研究の円滑な推進のためにセキュリティ・クリアランス制度が国際的に整備されてきたのは、半導体や量子技術といった最先端の技術をめぐってサプライチェーンが分断される状況、いわゆるデカップリングが世界的に進んでいることが背景にあるからだということですけれども、同志国や同盟国と友好国とそれに対峙する諸国と明確に区別することで、情報の流出を防ごうというふうに今回考えているんだと思いますが、ちなみにセキュリティ・クリアランスもG7で持っていないのは日本だけですから。
したがって最も大事なのは官民の研究機関や民間の事業者が持つ最先端の技術情報の保護であって、そのために制度の整備が急がれているということで、本案では重要経済安保情報を我が国の安全保障に資する活動を行う事業者に提供し、その秘密保護のために制度を整備するということでありますので、この民間が保有する最先端技術の保護と政府が持つ重要経済安全保障情報の保護は一見別物ではないかと思われますが、これが一体どこで交わるのか、あるいはそもそも交わることを今回この政府は法案で想定をしていないのか、ということがなかなか明らかになってきていないので、ここはやはりしっかりと議論する必要がありますので、政府の認識を教えていただければと思います。

高市早苗
本法案は政府が保有する経済安全保障分野における機微度の高い情報を保護するということとともに、必要に応じて民間に活用してもらうための制度を整備するものです。
ですから基本的には民間事業者の保有する情報はこの制度の対象とはなりません。
ただし交わる場合と篠原委員がおっしゃいました。
本法案の第10条第2項に規定しているとおり、政府が適合事業者を同意を得て行わせる調査研究等により当該的事業者が保有することが見込まれるものについては重要経済安保情報として指定して保全の対象とするようなことはあります。
ただ当該事業者がもともと保有していた情報には、本法案の効果は及ばないということです。

篠原豪
そうなりますと重要経済安保情報の明確化ということで、一つよく今ニュースでもこれまでもそうなんですけれども議論の出来た問題の中で、政府が指定した重要経済安保情報を民間事業者に提供する、当該の民間事業者が秘密保持契約に違反して漏洩した場合には罰則が適用されるということに今回なっています。
多くの人は何が重要経済安保情報があるかというのが明白でなく人によって解釈に幅があると。
そうすると大川原化工機のような事件が起こりかねないのではないかと心配しているという声がありますので、こうした懸念がないのかどうなのかということを懸念がないのであればその理由は何かを政府に認識させていただきたいと思います。

高市早苗
今回の法律案では政府が保有する重要情報の共有を受ける意思を自ら示される事業者との間で政府が秘密保持契約を結び、しかも何が対象情報であるかを明確にした上で事業者に共有して共有を受けた事業者の方々にも公務員と同様に守秘義務を負っていただくということを定めています。
ですから政府と民間企業との間で重要経済安保情報の範囲については明確ですので、ご指摘のような懸念は当たらないと存じます。
さらに申し上げれば本法案の規定に基づいて、政府との契約を締結することなくこの法律案の法的義務や罰則の対象になることはなく、この点は法律案でも明確に規定をいたしています。

山岸一生
特定秘密保護法と今回の重要経済安保情報保護法との対比表を見ると、基本的にほとんど同じ、コピペでこの名前が特定秘密が重要経済安保情報に変わっているぐらい、あと国会への関与がないとかそういうことがあるんだけれども、基本的にはこの特定秘密保護法をベースに作成をした法案であると、この認識を許容できるかどうか大臣お願いいたします。

高市早苗
特定秘密保護法の条文を参考にしていることは認めさせていただきます。
この法律案は安全保障が経済技術分野にも拡大する中で、経済安全保障分野においても厳しい安全保障環境を踏まえた情報漏洩のリスクに万全を期すためにも、我が国の経済安全保障上重要な情報を的確に保護活用するためのものです。
特定秘密保護法は政府が保有する機微な情報の漏洩防止という目的を共有する制度として先行しています。
また諸外国との関係においても、こうした情報保全の枠組みとして通用するものとなっています。
よって参考にはいたしています。

山岸一生
明快なご答弁ありがとうございます。
特定秘密保護法を参考にして、つまり先行事例として参考にしているということなので、我々がやっぱり議論しなきゃいけないのは、特定秘密保護法が大臣もおっしゃったとおり先行しているということなので、その運用であったり、あるいは課題ということに対してしっかり目配りをした上で今回の法案が立案されているのかをきちんとチェックをしなければいけないということになるんだと思います。
今日はこの問題意識でもって以後伺っていきたいというふうに思います。

特定秘密を扱えるかどうかという適性評価は、実はこれは拒否をすることができるとこういう仕組みになっておりまして、同意をしない方がほぼ毎年数名ずついらっしゃるわけです。
私手元で計算した限りで言うと2023年までで計67名おられたというふうに承知をしていますけれども、この方々が何か不利益な処分を受けることがなかったかということを確認したいと思います。
と言いますのが、今回のセキュリティ・クリアランスでは民間の企業の従業員の方々が対象になるわけで、その方々が何でこんなの受けなきゃいけないのというふうになることは場合によっては想定されるわけで、そういった方々に不利益な取扱いがないようにしていく。
条文上は担保されています。

でもそれが実際にワークしているかどうかということを特定秘密の運用をベースに検証する必要があるんだろうということで、これ政府参考にお伺いいたしますけれどもこの適性評価の実施に同意しなかった皆さんについて、具体的に3つお聞きいたしました。

①何か処分を受けた方はいますか?
②翌年度末までに配置転換を受けた方はいらっしゃいましたか?
③同じく翌年度末までに退職した方々はいらっしゃいましたか?

それぞれ何件あったかお答えいただきたいと思います。

岡政府参考人
お答えいたします。
法律の施行後、令和4年末までに適性評価の実施に同意しなかった方は全て合わせて67名おられました。
ただこのうち23人につきましては関連文書が破棄されておりまして、状況が確認できませんでしたので残り44人の内訳についてお答えいたします。
まず処分を受けられた方は当然のことでありますけれども、1人もいらっしゃいません。
その上で、次年度末までに異動があった方が22人おられます。
そのうち2人がその理由について記録がないので不明なのですが、残り20人につきましてはいずれも通常の人事サイクルの中での異動でした。
さらに異動せずに特定秘密を扱わない業務を続けていらっしゃった方が17人います。
さらに次年度末までに退職した方が5人いらっしゃったわけですが、これら確認しましたところ定年などの理由によりまして、いずれも適性評価の実施とは関係なく退職を予定していたということを確認しています。

山岸一生
大臣の認識をお聞きしたいんですけれども、やはり大臣もこの間にちゃんと従業員の方に配慮して不利益処分とかないようにしますと仰っているんだけれども、そのベースとなっている特定秘密保護法のこの10年間の運用がきちんと検証されているのかどうか、活かされているのかどうか、若干今のご答弁ですと僕は疑問無しとはしないと思うんですけれども、大臣の認識をお聞きしたいと思います。

高市早苗
文書の管理なんですが、評価対象者から不同意だという書類が提出された場合には、この適性評価関連文書の保存期間が3年となっていることから、廃棄済みということでした。
これまでの検証ということなんですが、例えば今ご審議いただいている法案では適性評価を受けることに同意しなかったことや適性評価の結果を重要経済安保情報の保護以外の目的で利用することを第16条によって明確に禁止をしています。
特定秘密保護法におきましても同様の規定はありますけれども、これまで不利益取扱いを受けた旨も含めて苦情を受けたことはないと聞いています。
他方、本法案では民間事業者との共有による重要経済安保情報の活用を図るということにしていますので、不利益取扱い防止のための措置をより徹底しなければなりません。
この禁止措置の実効性を担保する観点から、今後有識者のご意見を聞いた上で作成し、そしてまた閣議決定もし、運用基準におきましてどういったものが禁止行為に当たるのかということを明示して、不利益取扱いに関する相談窓口を設けるということを検討いたします。

山岸一生
非常に大事なポイント欄で徹底していただきたいと思うんです。
特定秘密保護法は当然これはいまだに賛否のある議論ですけれども、曲がりなりにも10年間運用してきたという実績と言いましょうか経緯があって、その間様々な知見の積み重ねもありますし私も情報関心社会の一員として仕事させてもらってますけれども、そういった国会による監視の蓄積もあるわけです。
ここの知見というものを今回の法案の施行までに、私もう1回レビューしてもらってはどうかなと。
これは大臣ご提案なんですけれども、この10年間の運用実績とりわけ不利益取扱いが今記録もないという話でわからないということもあるんだけれども、やはり大臣もおっしゃったように、これから民間の企業の従業員の方を対象にするわけだから、ある程度はあらかじめ覚悟をしている公務員に比べても当然そこは慎重でなければいけないという中にあって、過去10年間の特定秘の実績と課題、とりわけこの不利益処分取扱いへの有無という部分に関しては、もう1回これはレビューをして研究をして今後の施行に向けて反映をされるべきじゃないかなと思いますけれども、大臣の問題意識をお聞きしたいと思います。

高市早苗
委員がご通告いただきました、おかげで先ほど参考人が答弁したようなかなり細かい状況というものをしっかりお示しすることができました。
その中で不利益取扱いを受けた者も含め苦情を受けたことはないと聞いていますので、そこは安心をいたしました。
ただ今回の法案は先ほど申し上げましたが、民間事業者の従業者の方々も対象になるものですから、さらにここを徹底しないと、例えば適性評価を受けることを拒否したとか適性評価の結果によってその方が例えば人事上の問題などで不合理な不利益の扱いを受けてはなりませんので、ここはさらに分かりやすいものを作り、そして目的外利用をするということも禁止されていますので、適合事業者に対してもそこは厳しく対応をさせていただきます。

櫻井周
本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
早速質問に入らせていただきます。
法案の審議の前に一点だけ、せっかく高市大臣に来ていただいてますのでお尋ねいたします。
大阪万博についてなんですが、1月に大臣が長野県内で講演されたときに能登半島地震の復興を優先すべきだとして、2025年大阪万博の延期を総理に進言したというふうに発言をされています。
私自身が兵庫県ということで、この建築業界・土木業界の大変厳しい現状を聞いていますので、大臣の勇気ある発言というのを大変高く評価させていただいているところなんです。
なかなか「物言えば唇寒し」というようなところで、権力に共すれば官邸の意向に主寝てしまう、そういう風潮もある中でしっかり現実を直視して、権化国家国民のために発言いただいたということだというふうに受け止めています。

ただ延期をした場合どうなるのかということで、一つ、国土交通省に来ていただいていますのでお尋ねをいたします。
一般論としてお尋ねをいたします。
建築基準法の仮設建築物に対する許可の期間後に継続して使用する必要がある場合、建築許可の取扱いはどのようになるのか。
再度建築許可を申請する必要があるのかどうか、この点について教えていただけますでしょうか。

佐々木政府参考人
お答え申し上げます。
あくまで一般論ですけれども、また制度上建築基準法上カテゴリごとで扱いは異なるところではありますが、博覧会建築物等の仮設建築物につきましては、建築基準法第85条第6項の規定に基づき、特定行政庁は1年以内の期間を定めてその建築を許可することができます。
また1年を超えて使用する特別な必要がある場合には、同条7項の規定に基づきまして、特定行政庁は建築審査会の同意を得た上で1年を超えて許可することができます。
許可された期間を超えて途中で事情が変わったのでもう少し長く使いたい、許可された期間を超えて博覧会建築物等の仮設建築物を使用したい、そういう場合には、今申し上げたような規定に基づきまして許可を取り直すことが必要となります。

櫻井周
大臣、こういうことで許可を取り直したりと手続きをし直さなきゃいけないというようなことで、その結果認可されない、許可されないということだってあり得るわけですから、なかなか厳しい状況もあるということで、こうしたことを踏まえれば、延期のみならず中止というのも選択肢にあり得るのではないのかと考えるのですが、大臣のご所見をお願いいたします。

高市早苗
建築許可の取り直しも含めて総理とお話しする前に、経済産業省にも万博準備の現状を確認し、また仮に延期をするようなことがあったらどういった作業が必要なのかということは私も確認をいたしました。
私は能登半島地震に加えまして、熊本地震の復旧もまだ終わっているわけではございません。
複数の被災地の復旧、これはもう最優先だと思っています。
ただ私も関西人ですから、この大阪関西万博をやるんだったら完璧にやり切るというのが日本の名誉のためには大事だと思っておりました。
そういう中で地震の発生直後だったんですけれども、既に万博の工事を受注しておられる企業の方から資材不足、それから資材の高騰、また人手不足こういった不安があって万博を少し延期できないかというご相談もありました。
また能登半島の復旧に関わっている方からも、なかなか今は資材や人繰りが難しいというお話も伺いましたので、あくまでも所管外ですから、総理のところには一議員としてアポイントメントを取って伺いました。
もちろん最終的には所管外ですから総理のご判断に従うものもお伝えした上で私の懸念事項をお伝えしました。
その後に総理が経済産業大臣に対して資材の受給は丁寧に把握して能登半島の復旧に支障のないように万博関連の調達を計画的に進めるようにと指示を出してくださいました。
総理からも被災地復旧には支障が出ないように配慮するというお話もいただきました。
総理から明確な指示を経済産業大臣に出していただいたことについては感謝をいたしています。
万博も所管外ですので、能登半島の復旧には支障が出ないように万博の準備に取り組んでいただくということを期待いたしています。

櫻井周
丁寧なご答弁ありがとうございました。
大臣の思いも私も共有させていただいたところです。
今日は法案審査ですので法案の方に移らせていただきます。
まず3月19日衆議院本会議で森山議員から質問させていただいたところ、この指定はあくまで政府が保有する情報に限定していますか、とこういう質問させていただいたところです。
岸田総理からは政府が現に保有する情報、こういう答弁をいただいています。
ただ条文を見ますと政府が現に保有する情報というふうにはなかなか書いてない、明文規定がない、特にこういったことを書くのであれば1条2条3条のどこかに書いておくべきものだというふうにも思うんですが見当たらないということで、これでお尋ねをいたしますが、この重要経済安保情報として指定される情報は政府が現に保有する情報、これは条文のどこで規定されているのか、どこを読めばこのように解釈できるのか教えていただけますでしょうか?

高市早苗
この法案における重要経済安保情報ですが、行政機関の長が重要経済基盤保護情報であって公になっておらずその漏えいが我が国の安全保障に支障を与える恐れがあるため特に秘匿することが必要であるという3つの要件に該当するかどうかを情報の内容から判断して指定を行うこととされています。
これは第3条1項です。
かつ指定をした場合にはその旨表示の措置をとる、そして取扱いの業務を行わせる職員の範囲を定めるなどの等の保護措置を講じる、これは第5条です。
こういった仕組みになっていますので、当該行政機関の保有が当然の前提となっています。
それから適性評価や漏えいした場合の最高5年の拘禁刑の罰則の対象も、あくまで重要経済安保情報の取扱いの業務を行うもの、つまり情報指定をした行政機関の職員のほか当該行政機関から6条1項により提供を受けた他の行政機関や秘密保持契約に基づき10条1項により提供を受けた適合事業者等において取扱いの業務に従事するものに限られています。
例えば行政機関の長が民間事業者から受け取って保有するに至った情報を指定したとしても、罰則の効果はもともとこれを保有していた民間事業者には及ばないということになります。
これは当該行政機関が保有するという情報、これを前提にしているということは条文から読めると考えています。

本庄知史
やはり我が国の国務大臣等もしっかりとクリアランスを受けた人が機微情報に特定秘密あるいは重要経済安保情報に接するべきだというふうに思いますが、高市大臣はいかがお考えでしょうか?

高市早苗
閣僚の人事権、総理にあります。
その中で現行法でしたら特定秘密を取り扱うということを前提に、それも含めてどういう方が相応しいかということを考えて任命をされていると思います。
閣僚にしても副大臣にしても政務官にしても、今回の法律案でも重要安保情報を漏えいした場合には5年以下の拘禁刑ということで罰則の適用はあります。
実際私も自分が閣僚になる前に、どういう内容の身体検査をされているのかは承知をいたしておりません。
どこまで内閣で調べられているのかということはむしろ知りたいなと思っているぐらいで承知はいたしておりませんが、総理の人事権ですので以上の答えになります。

本庄知史
この法案が通った後にセキュリティ・クリアンスホルダーの証明、あるいはなりすましの防止について、どこかで検討して結論を得るというそういうお考えなんでしょうか?

高市早苗
国際的な協力枠組みの中でどうなるのかということを私は考えました。
国際的な協力枠組みの中で必要な場面におきまして、評価対象者がどうしてもクリアランスを保有しているということを外国政府などに示すような場合に、それが本当に真証のものなのか、正しい証明なのかということをどう確認するかというのは必要だと思いますので、法律案を認めいただいた後に検討しなければならないと思っています。
現在の紙一枚というのは日本語で書かれていますので、日本語が英語圏でないということもありますし、そこは検討したいと思っています。

前原誠司
まず高市大臣に質問させていただきますが、この法律をしっかりと成立させれば、例えば同盟国アメリカとの間での情報交換に全く齟齬がなくなるというふうに考えるのか。
つまりは情報のセキュリティ・クリアランスということをしっかりと位置づけることによって、全く同盟間での情報の保全・意思疎通には問題がないというふうに言えるのかどうか、その点について確認をさせていただきたいと思います。

高市早苗
特定秘密保護法も今回の法律案も同じだと思うのですが、互いに相手国において同等の情報保全制度が整っているという信頼感に基づいて、いろんな重要な情報のやり取りがなされるものだと思っています。
この法律案がお認めいただいて様々な政令、運用基準これから閣議決定で決めていくものもすけれども、運用がきっちりとなされて、そして同盟国・同志国から我が国と同等だなとお認めいただくことが大事だと思っています。
これは今までも情報交換は続けてまいりましたけれども、お認めいただけましたら、しっかりと各国に説明もしてまいりたいと思っています。

前原誠司
私の質問は、これがしっかり運用されれば同盟国との間での情報のやり取りというものについては漏れがなくなり、そして信頼性というものがしっかりと担保されるのかという話を伺っています。
これから説明するということではなくて。
つまりこれができた場合においては同等のしっかりとした情報保全ができるのかという質問をしています。

高市早苗
同等の情報保全だと考えていただけるように、様々な国の情報保全制度も調べ、そして直接の情報交換も行いながら法律案を組み立ててまいりました。
ただ現在、情報保護協定があります。
現在は9カ国機関との間で締結をしています。
こういった情報保護協定の締結というもの、それから国内法が変わった場合に相手に通告もしなければなりませんので、その後の様々なやり取りもありましょうから、そういったものとも相まってしっかりと通用するものにしてまいりたいと思っています。

前原誠司
2024年1月に岸田総理は高市大臣に対して、セキュリティ・クリアランスの新制度が我が国の既存の情報保全制度とシームレスに運用されるよう、特定秘密保護法の運用基準の見直しの検討を含め必要な措置を講じるように指示をされたと伺っています。
ではこの特定秘密保護法の運用基準の見直しについては今どのようなことを検討されているんですか?

高市早苗
総理からご指示をいただいたのは、シームレスに運用するために運用基準の見直しということだったんですけれども、経済安全保障に関する個々の重要情報が特定秘密に該当するかどうかということを的確に判断できるように特定秘密保護法の運用基準についてより明確にすべき箇所がないか、あと補足すべき箇所がないかということを検討していくことといたしています。

前原誠司
ということは4つにプラスするということも含めて検討されているということですか?

高市早苗
特定秘密保護法、そのものを改正するものではございません。
その法定されている分野が広がるという話ではございません。

前原誠司
ということはその運用基準の見直しというのはもう一度お答えいただけますか。
見直しを検討されている運用基準、これは指示を受けたんでしょう?総理から。
その問いについてもう一度お答えいただけますか。

高市早苗
総理から指示を受けました。
経済安全保障に関する個々の重要情報が特定秘密に該当するかどうかを的確に判断することができるように特定秘密保護法の運用基準について、より明確にすべき箇所や補足すべき箇所がないか検討していくという答弁を申し上げました。
それは分野を外交・防衛・テロ防止・スパイ防止から広げるということではなくて、それらの4分野に該当するものであっても機微度が違うといったことで、なかなかこれを特定秘密に指定していいのかとか、これはコンフィデンシャル級で読むのかとか、こういったことがより明確になることが必要だと考えています。

前原誠司
ではこの経済安全保障分野において、セキュリティ・クリアランスの制度がなかったことで不利益をこむった、つまりはよくこの立法事実も含めて、経済安全保障分野においてこの制度がないことで日本企業が諸外国との共同事業に参画できないとか、あるいは入札参加や会議出席の前提条件だったから出られなかったとかそういう話がよく言われますけれども、具体的にどういった事例があったのかということをもう少し一般論ではなくて、どういう具体的事例があったかということをお示しいただきたいと思います。

高市早苗
私どもは有識者会議を2023年2月から開いて、その中で事業者にも来ていただき、有識者の皆様とともに聞き取った事例、それから私もしくは職員が個別に聞き取った事例もありますが、有識者会議の最終取りまとめに入れても大丈夫なものについては申し上げます。

・ある海外企業から協力依頼があったが機微に触れるということで相手から十分な情報が得られなかった。
・政府間の枠組みの下でお互いにセキュリティ・クリアランスを保有している者同士での共同開発などができればもう少し踏み込んだものになったのではないか。
・自衛隊の装備品とは関係のない国際共同開発においてセキュリティ・クリアランス保有者がいなかったために、秘密指定されていないが管理が必要な情報の開示を受けるまでに長い時間を要したにも関わらず契約に至らなかった。
・デュアルユース技術に関する会議に参加する際にクリアランスホルダーオンリーであるということから参加できず最新のデュアルユース技術に触れることができなかった。
・海外政府からの入札に際してセキュリティ・クリアランスを保有していることがその説明会の参加要件になっていたといった。

前原誠司
その適性評価の調査事項というのはいくつかあるわけでありますが、需要経済基盤既存活動の関係に関する事項とか犯罪及び懲戒の経歴、情報の取扱いに対する非違の経歴、薬物の乱用に影響に関する事項、精神疾患に関する事項、飲酒についての節度に関する事項、信用状態、その他経済的な状況に関する事項、こういうものがあるわけでありますが、思想信条に関する調査、例えば支持する政党とか、あるいは入信している宗教団体とか、そういったものについては調査をするのかしないのかいかがですか?

高市早苗
それは法定されていない事項です。
調査の対象にはなりません。

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