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2030年代の発電実証の達成に向けて

先週に報告を申し上げましたG7の科学技術大臣会合ですけれども、2024年からSMRやフュージョンエネルギー、これが大きく議題に入ってまいりました。
SMR、これは小型モジュール炉です。
今の原子力発電所の小型版、ですから核分裂ではありますけれども非常にシンプルな作りで安全性が高いということで、3年前の総裁選挙のときに私が発行しましたリーフレットやそして書籍にも「2020年代後半にはやはりSMRじゃないか」ということを書かせていただきました。

2030年代に入っていくと今度はフージョンエネルギーの時代だと。
これはつまり核融合のことです。
これは核分裂とは全然違いますから、これもおさらいになりますけれども、ウランやプルトニウムは使わない、重水素と三重水素を使って高レベルの放射性廃棄物は出ない、でもまだ世界各国が競って研究開発中のものであります。

なぜ3年前からそういうことを言ってたかと言いますと、当時はまだ生成AIは私たちの周りにはありませんでした。
でも今生成AIはめちゃくちゃ電力を食っています。
当時もAIはいろんなものに組み込まれていましたけれども、AIは相当消費電力量が大きい。
それからスーパーコンピューター、日本の今の富岳は割と省エネ設計にこだわったものではありますけれども、でもスパコンは世界各国で使われているもの、それぞれエネルギー消費量は大きい。
それからもう一つはデータセンターです。
やはり皆さんがクラウドを使われる、それからいろんなプログラム開発をしたり、それから暗号処理サービスをしたり、いろんなことでデータセンターをお使いになる。
このデータセンターも電力消費量がでかいということで、当時特にサーバーとかストレージ、冷却系にも電力がいるので、少しファクトを書きながら、皆様にそういう提案を申し上げておりました。

今回G7の科学技術大臣会合でも、やっぱりSMRというかフュージョンエネルギー、これを皆で力を合わして技術協力もして、急いでいかなきゃいけないと言うことが議題になって、私はとっても嬉しかったです。
そもそもエネルギー自給率を見ますと、日本のエネルギー自給率は12.6%です。
カナダは188.6%でアメリカは106.7%、この2カ国は100超えてます。
あんまり興味ないのかなと最初思ってたんです。
でもそうじゃなくて、やはりエネルギー安全保障っていうのは各国ともスーパーコンピューターとかデータセンター、AIの利用っていうのが増えてきてますから、すごく神経質になってきてるっていうのがわかりました。

エネルギー自給率の話に戻りますと、G7というとイギリスは67.5%、フランスは49.3%、ドイツは35.3%、イタリアは22.4%、もう1回言いますが日本は12.6%です。
あれほど原子力発電をやめて再生可能エネルギーへと言っていたドイツも、やはり原子力は今のところ必要だという発言をしておられました。
今の現時点のエネルギー自給率に関係なく、各国が相当エネルギー安全保障への関心を高めているということがわかり、そしてまたフュージョンエネルギーというものが議題に入ってきたということは私にとってはとても嬉しい、また心強いことでした。
フュージョンエネルギーについては、これもこのチャンネルでご紹介をしましたが、2023年4月に日本初となる核融合に関する国家戦略を策定しました。
フュージョンエネルギーイノベーション戦略というものです。
産業協議会・J-Fusionも2024年3月に設立をされました。
今の国家戦略が掲げる産業化というものに向けて、環境の整備が進められてきているところです。
国際的にもこのG7科学技術大臣会合を含めて、これまで日本が積極的に議論に参加した結果、フュージョンエネルギーに関する記載というのは2024年のG7の首脳コミュニケ、総理が出席した首脳コミュニケにも盛り込まれたということで非常に大きく変わってきています。
イギリスは2022年に国家戦略を作りました。
日本は2023年に作りました。
アメリカは2024年6月に国家戦略を作りました。
こうして各国が国策としてフュージョンエネルギーの推進に取り組んできています。
特に各国が大規模投資を実施するということを始めています。
これも3年前の時点でそうでした。
イギリス・アメリカがものすごい勢いでフュージョンエネルギーに投資しているなと。
日本のスタートアップはなかなか資金繰りに苦戦しているなというのがあったんですけれども、今は戦略も作って各国が国策として取り組み始めた結果、自分の国に技術とか人材を囲い組みをするという現象が現れてきたんです。
まさにいくら同盟国・同志国といっても国家間競争の様相を呈してきています。

7月19日の大臣記者会見でも私は申し上げたのですが、我が国もこの国家戦略に基づく取り組みを加速するために、国家戦略の改定に向けて2024年8月から議論を再開することにいたしました。
これまでは文部科学省が日本で発電実証は2050年ぐらいという、全然野心的じゃない目標を掲げていたのですが、各国2030年代を視野に入れています。
日本のスタートアップに話を聞いても、2030年代半ばぐらいを目標に頑張っていらっしゃるところもありますので、2030年代の発電実証の達成に向けて必要な国の取り組みを含めた工程表を作成いたします。
それから小型化・高度化などの振興技術の活用によって、研究開発ロードマップ、こういったものも策定します。
それから戦略的な国際標準化、これを推進する。
それからサプライチェーンの発展を支援する。
科学的に合理的で国際協調をできる安全確保の基本的な考え方の策定、これもしっかりと議論をしていただく予定です。

そういうことでフュージョンエネルギー、G7でも大きく動き出しましたし、日本も2023年の国家戦略策定に満足をせず、また次の高い目標に向けてさらに具体化をして進めていく、そんな決意で頑張っています。
しっかりと日本のエネルギー安全保障を守ってまいります。

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