どうしても歯磨きができない犬のためのおすすめデンタルケア商品5選
こんにちは!犬猫の獣医師、あんじゅ(@vets_magazine)です。
歯磨きをしようとすると噛みつかれてしまう
どうしても歯磨きができません、代わりに何かできることはありませんか?
という悩みに回答していきます。
歯磨きができないという悩み。多くの飼い主さんが抱える悩みの一つではないでしょうか。
ガウガウ怒って口元すら触らせてくれない子
歯磨きジェルの味がどうしても気に入らない子
歯磨きをしようとすると逃げてしまう子
歯磨きをきっかけに飼い主さんとの信頼関係が失われてしまった子
こういった子たちに、無理に歯磨きを強要することは、なかなかできませんよね。
何より飼い主さんとの信頼関係が崩れてしまうのは、避けたいところ。
ペットとの生活が楽しくなくなってしまっては、本末転倒ですね。
・・・ということで、この記事では、歯磨きがどうしてもできない犬のためのおすすめデンタルケア商品をご紹介します。
歯磨きほどの効果は期待できませんが、何もしないよりはまし。歯周病の進行を抑える一定の効果が認められているものを紹介します。
なできそうなものから試してみてください。
デンタルケア商品の限界を知ろう
まず、誤解をを与えないように大前提を解説します。
付いてしまった歯石は基本的に取れません!!
麻酔をかけて超音波歯石除去術(超音波スケーリング)をしないと、歯石は取れません。
意外と知らない飼い主さんが多いので、ここで周知させていただきます。
歯周病の根本的な治療は、麻酔下での歯科処置です。
重度の歯周病の子は、麻酔をかけられる状態なのであれば、歯科処置を最優先に行ってください。
こう言うと、
うちの子はもう歳だから・・・
麻酔をかける体力なんてないし・・・
・・・と、勝手に愛犬の麻酔リスクを決めつけてしまう方がいらっしゃるのですが、「高齢→麻酔ができない」ということでは決してありません。
上記のツイートでお伝えしたように、「高齢の犬猫は何かしらの臓器に異常がある可能性が高く、そうであれば若い子よりも麻酔の安定感は低下するよね」という話なのです。
術前検査をしっかり受け、心臓、腎臓、肝臓などの腫瘍な臓器に大きな異常が無いことを確認すれば、麻酔がかけられないということは滅多にありません。
まずは、かかりつけの動物病院で診察を受け、できることなら重症の歯周病になる前に歯科処置を受けることが大切です。
毎日歯みがきをする人間ですら、定期的に歯医者さんで歯石取りをしてもらうわけです。しっかり歯みがきをできない犬猫が一生歯科処置を受けずに放置するのは、どう考えても良くないです。
・・・とはいえ、「麻酔リスクが高すぎて麻酔がかけられない」とかかりつけ医に言われている、麻酔が怖くて絶対に嫌、口周りを触ると怒るので歯磨きができないなど、それぞれに事情があることと思います。
そこで諦めている飼い主さんのために、「最低限これだけはやってあげたらどうでしょう?」というデンタルケア商品をご紹介します。
歯みがきできない子のための歯周ケア製品
ふりかけ
ごはんの上にふりかけるだけの歯周ケアグッズがあります。
「ふりかけなんて効くの?」
…と、私も最初は半信半疑でしたが、歯周病罹患猫にリベチン含有卵黄粉末を0.1%添加したドライフードを与えることで、歯周病の重症度が低下したという報告があります(歯周病罹患猫におけるグロビゲンPG(卵黄リベチン)の歯周病改善効果)。
このデータは猫の歯周病ですが、犬にも拡大解釈するとしたら、ごはんの上にふりかけるだけでもグロビゲンPGは効果を発揮するということになります。
グロビゲンPGの中身は、歯周病菌が作った毒素に直接アタックして無毒化してくれる抗体タンパクです。
抗体は、ターゲットに強い力で結合する性質をもつため、ふりかけとしてお口の中に入るだけでもそれなりの効果をもたらしてくれるのかもしれないなと、予想しています。
以下の商品は、グロビゲンPGを含むふりかけの中でもコスパが良いので、長期的に使い続けやすく、おすすめです。
サプリメント
サプリメントというと、お薬のような錠剤を思い浮かべるかもしれませんが、実は美味しいサプリメントも存在します。
ペロワンは、グロビゲンPGを有効成分として含んだサプリメントで、ハチミツみたいなドロっとしたサプリです。
そして、味も美味しいらしいです。
グロビゲンPG以外にも、お口の細菌叢を整えてくれる乳酸菌や、ラクトフェリンという抗菌活性物質を含み、大変頼もしい内容となっています。
みなさん何かしらの効果を感じているようです。
歯磨きができる子には歯磨きジェルのようにして歯茎に塗ってあげるとより効果的。できないなら舐めさせて与えるか、フードの上にトッピングすると良いでしょう。
療法食
ヒルズのt/dという商品は、歯周ケアに特化した療法食です。
・・・といっても、何か栄養学的に歯周ケアをするわけではなく、大粒のフードをがじっと噛む時に、歯垢を削ぎ落とす仕組みです。
療法食なので、動物病院で相談してみてください。
歯磨きガムは?
歯磨きガムを歯みがき代わりに与える飼い主さんが多いですが、「効果は薄いかな・・・」というのが正直な感想です。
歯磨きガムで歯石がつくのを防ぐことはできません。
あくまでも経験的な話ですが、あまりにも効果が期待できないので、個人的には積極的におすすめしていません。
まとめ:歯みがきができなくてもやれることはある!
歯周病が好発する小型犬にとって、歯みがきができないのは確かに痛い・・・
でも、だからといって諦めることはありません。
歯みがき以外の方法でもデンタルケアはできます。
もちろん歯みがきには敵いませんが、ココで紹介したものはどれも強力な有効成分を含む厳選商品です。
歯の健康は全身の健康。
愛犬の歯の健康維持のため、できることから始めましょう。