声優はフリーでは無理?事務所に所属したほうがいい?【声優養成所講師が解説】
どうも、福原安祥です。
ナレーターをしたり、声優養成所の講師をしたり、会社の経営をしたりしています。
今回のテーマは『声優は事務所に所属するべきなのか?』です!
皆さんご存知の通り、活躍している声優さんは基本的に声優事務所に所属しています。
ただ、事務所に所属していない、いわゆるフリーの状態で活躍している声優さんもいます。なので「絶対に事務所に入らなきゃいけない」ということではないんですね。
僕はナレーターなんですけど、今はフリーで活動しています。
ただ、声優とナレーターだと「フリーの生きやすさの度合い」がちょっと違うので、今回は声優の場合について解説していきますね。ナレーターに関する解説は今後出そうと思います!
動画で見たい方はこちらをどうぞ。
あんじょーメソッド(YouTubeチャンネル)
声優の「事務所所属」と「フリー」の違い
まず、「事務所に所属している場合」と「フリーの場合」の違いについて解説していきましょう。
①お金(ギャラ)
一番の違いは…「お金」です!
事務所に所属している場合は、ギャラのから2~4割くらいをマネージメント料として引かれます。例えば、ギャラが2万円でマネージメント料が3割だった場合は…
2万円-(2万円の3割)= 1万4千円
これが声優さんに入るギャラです。
しかしフリーの場合はマネージメント料というものが発生しないので、2万円がそのままギャラとして声優さんに入るわけなんですね!これはうれしいぃぃぃ!
ただ、大人の世界なので、おいしいことばかりではありません。
ギャラの交渉をしたり、仕事をしたあとに請求書を出したり、ギャラの入金確認などを全部一人でやらなきゃいけないわけです。こういうところはフリーの大変なところですね。
②人間関係
所属とフリーの違い2コ目は、「フリーは事務所内で立ち回る必要がなくなる」ということです!
事務所に所属していると、特に新人のうちはマネージャーや社長に気に入られる努力をしないと仕事が来ません。
なので、人間関係を円滑にする努力をしなきゃいけないんですけど、フリーの場合はそういったことがまったく必要ない!
つまり「組織内での人間関係」という部分では、フリーはとてもラクですね。
ただ、事務所からではなく外部から仕事をもらうので、外部との人間関係がものスゴく濃くないとダメなんですよ…。
人間関係はどっちにしろ大事ということになりますね!
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というわけで、事務所に所属している場合とフリーの場合の違いというのは、大きく2つです。
①お金
②人間関係が内部か外部か
こういう違いがあるんですが、ここからは、事務所に所属しなければいけないのか?それともフリーでいけちゃうのか?というところについて解説していきます。
声優はフリーで生きていける?
まずは結論からお伝えしていきますね。
声優がフリーで生きていくのは…「無理ゲー」です。。
つまり、事務所に所属していないととても食べていけないという世界なんです。ただ、ある条件を満たせばフリーでも食べていくことができます。その条件はのちほど!
声優がフリーで食べていけない理由
まず、フリーだと食べていけない理由について解説していきます。
声優の仕事って、皆さんご存知のとおり、アニメ・ゲーム・外画・ナレーション、あとは歌やイベントみたいな感じでいろいろあります。
そのいろんな仕事がどういうふうに決まるかというと…だいたい「オーディション」か「ボイスサンプル」なんです。
仕事が決まるまでの登場人物は、「制作会社」「事務所」「声優」の3つです。↓の図を見ながら読んでみてください。
仕事の依頼は、「制作会社」から、まず「事務所」にいきます。
それが「事務所」から「声優」にいきます。
つまり、「制作会社」から「声優」個人に直接仕事がいくことは、基本的にありません。
もうわかったと思うんですが、事務所に所属してない状態の声優は、仕事の機会がないんですよ!
ただ、制作会社から事務所に「○○みたいな声の人を募集してます」と声がかけられて、そのときあなたが所属していたとしても、あなたが事務所が制作会社に出す候補に入っていない場合は、結局事務所に入ってる意味がありません。
「候補に入る実力」がなければ、事務所に入っている意味がないわけです。
ただ、フリーの場合は事務所からの候補に入る可能性すらありません。。なので仕事を取れる可能性はものすごく低くなるということです。
では、なぜ制作会社は、声優個人ではなく事務所に仕事を依頼するんでしょうか?
声優事務所に仕事が依頼される理由
①効率がいい
事務所には当然声優さんが多いので、制作会社としては、個人個人に連絡を取っていくよりも効率がいいです。
いろんな人に声をかけたいし、いろんな人の声を聞きたいので、一人一人に連絡してたらキリがないですよね。それに個人の連絡先を知らない場合も多いわけです。
なので、A事務所・B事務所・C事務所…みたいに一括して仕事を投げていくんです。
②事務所が責任を取れる
もしフリーの声優がなにかやらかしちゃった場合に責任を取れるのって、その本人しかいません。
しかし事務所に所属していると、所属の声優がやらかした場合には事務所が責任を取ってくれるわけです。「責任の所在が明らかになる」ことは、大人の社会的にスゴく大事なこと。
こういう2点の理由もあって、制作会社は基本的に、事務所に仕事を依頼するわけです。
制作会社から事務所に依頼がある仕事は、地上波のアニメであったり、大きいタイトルのゲームだったりが含まれています。
逆に言えば、フリーだとそういった仕事は回ってきません。だいたい舞台が中心になります。
なぜかというと、「アニメ・ゲーム・外画」は作ろうと思ってもそう簡単に作れませんが、舞台は頑張れば公演自体は行うことができます。
なのでフリーの、とくに新人声優さんは、舞台中心の活動になることが多いです。
ただ、そういう舞台は商業演劇(お金を生み出せるエンターテイメント)ではないんですよ。
なんだったら、自分でお金を払って舞台に出ることもあります。これはもう「仕事」ではなく、「修行の場」ですね。
修行の場を否定するわけではありませんが、「食べていけるか」というとかなり厳しい。。
ではここで、最初に言っていた「声優がフリーで生きていける条件」について解説していきます。
声優がフリーで生き残れる条件とは?
声優がフリーで生きていくために必要な条件は…「フリーになるまでに実績があること」です!
実績というのは、わかりやすく言うと「有名なアニメや外画に何本も出ている」みたいなことです。簡単にまとめると、「業界内で知名度が抜群にある」状態ですね。
実績があると、今まで仕事をしたことがある音響監督さんやスタッフさんに気に入られていることが多いので、「またこの人と仕事したい」と思っている人も多いわけです。
そうなると、特例で「制作会社」から「声優個人」に仕事の話がいくんですね!そこで役をゲットできれば生き残っていけます。
逆に、業界で実績がない新人がフリーでやっていくのは、ほぼ不可能と言えますね…。
今、フリーで活躍している声優さんをwikiとかで調べてみるとわかるんですが、だいたいどこかに所属していて、そのあとフリーになっています。
事務所に所属している段階でたくさんの仕事をして、そのあとにフリーになっているということなんですね。
新人声優でも、業界内にスゴく強力なコネクションがあれば、なんとかやっていくことはできなくはないかも…とは思います。
ちなみにコネというのは、「卑怯」とか「汚い」と思われがちですが、プロの世界からすれば「全然汚くない」ですからね。コネは人脈なので、実力のうちです!
コネを作る能力がたまたまあるにせよ、培ったものにせよ、どちらにしても卑怯なんかじゃありませんよ、「実力」です!
新人声優がフリーで仕事を取る道
「じゃあフリーの新人声優はまったく仕事がないのか?」というと…そうではありません。
今はSNSがスゴく活発になったおかげで、自分で営業をすることができるようになったからです。
なので、仕事自体をすることができるんですが…前半に言ったとおり、事務所に頼まない仕事は基本的に「ノーギャラ」あるいは「めちゃくちゃ安いギャラ」という仕事が多いです。。
事務所に頼まない時点で「予算があまりない」ケースが多いんですよ。そうなると、演者側のギャラも当然安くなっちゃうということですね。
こうなると、仕事自体はできても、「食べていく」となるとかなり厳しい。あくまでアルバイトをしながら活動を続ける、という形になります。これが現状です。
新人のうちは「フリーで生きていくのはかなり厳しい」業界だということを覚えておいてください。
今回のまとめ
今回は『事務所所属orフリー』というテーマでお話ししてきました。
結論をまとめると…「大きい仕事は事務所経由であることが多いので、所属してないと厳しい」です。
オーディションやボイスサンプルを聞いてもらう機会がないっていうのがつらいですね。。
僕個人としては、事務所とか個人とかに関係なく、実力がある人や魅力的な人が世に出るといいなって思うんですけど…この仕組みは伝統なんですよね。
声優業界がガラッと変わらない限り、この仕事の発注方法は変わらないんじゃないかと思います。。
なのでフリーでやっていきたい人は、「まず事務所に入って、結果を出して、そしてフリーに転向する!」という道しか、現在はありません!
僕も今フリーでやってるので、厳しくてなかなか大変な道ですが…フリーはフリーでスゴく気楽で楽しいところも多いんですよ。
フリーを目指している皆さん…がんばってくださいね!
それではまた。
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