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越南紀行2018 ホイアン微熱日記 #07 胎内回帰のミーソン遺跡
2世紀から17世紀という長きにわたり交易で栄えたというチャム族の国、チャンパ王国の聖域だったというミーソン遺跡へ。
Sunrise Tourというから、日の出が登るのを遺跡で眺められるのかと思っていた。
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出だしの勘違いはともかく。
朝一番に乗り込んだミーソン遺跡。チャンパ王国はヒンドゥー教の国だったそうで、まさかこのベトナムの地で出会えるとは思っていなかったインドの香りに触れることができた。
Wikipediaによると、フランス領時代には盗掘にあったり、ベトナム戦争時には南ベトナム解放民族戦線(アメリカ側からいうところのいわゆるベトコン)掃討のため、アメリカ空軍B52による空爆で大半が破壊されたそう。
生活や文化や芸術、人間が築き上げてきたありとあらゆる叡智を破壊していく戦争というものが心から憎い。ひとつ終わってもまた勃発し、いまも世界のどこかで繰り返されている。
人の心に棲みついた恨みというゾンビは、筋違いに相手を間違えながら殺戮を続けていく。なぜ、過去に学ばないのだろう。知性というものがあるならば、人は過去から学ばなければならない。己は手を汚さず駒を進めるだけの誰かの煽動に踊らされてはいけない、誰がなんといおうと。
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シヴァリンガのこと
ヒンドゥー教三大神のひとつに、破壊と創造の神シヴァがいる。
そしてそのシヴァ神を象徴するものに、シヴァリンガというものがある。
屹立したその形態からわかるように、天に突き出た部分リンガは男根を模している。そして根元は女陰を模したヨーニに包まれている。
つまりこれは男女の合体像。
陰と陽、男と女、そういった性質やベクトルの異なるもの同士の合体によって力が生まれ、この世が存在する。そんな世界観を知って、ほえーと思ったのは随分昔のことだ。
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そしてよく見てみてほしい。この合体像の向きを。
天に向かうリンガと、その根元のヨーニを。
なぜ、リンガは、ヨーニは、この向きなのか。
つまりはこういうことだ。
われわれは、この合体の内側に存在している。
神なるものの胎内がこの世界という、そういう世界観なのです。
そこで争い、憎み、殺しあうことの虚しさと、すべてを受け入れ孕む、胎内。
ヒンドゥー教の大伽藍(がらん)は、かくも壮大だ。
すべてをぶっ壊す神
D群遺跡の祠堂内には出土品としてレリーフなどが無造作に陳列されていた。中でもひときわ目を引いたのが、このシヴァ神ファミリーのレリーフ。丸みと深さがある彫りが素晴らしい。
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シヴァ神は破壊の神と紹介されることが多いが、同時に創造の神でもある。
この世の末期がきたら、すべてをぶっ壊し、Brand Newな世界として再生させる。
思いがけずベトナムの地でシヴァ神にまみえることができたのも、きっとなにかの巡り合わせ。
ぶっ壊せ。そして甦れ。
写真じゃんじゃんいっちゃおう
世界遺産がざくざくあるインドで遺跡ずれした者からすると、ここの遺跡の保護状態はあまりいいとはいえない。
崩れた部分は新しいモルタルのレンガで修復しているとガイドさんが説明していた。盗掘や破壊は世の常ではあるけれど、修復が順調に進むことを祈る。
ああしかし、石造建築好きにはたまらない場所です。似たような写真たくさん撮っちゃう。
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遺跡は発掘場所ごとにアルファベットで名前がつけられていて、B群、C群、D群は隣接している。
ミーソン遺跡といえばよく写真に出てくるメインとなるB群遺跡の祠堂。10世紀ごろのもの。屋根は船をイメージしているとか。レンガをちょっとずつずらして積み上げてあり、大きな石を積み上げた建築とはまた違った繊細さがある。
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グループA群遺跡
ちょっと離れた場所にあるのがグループA群遺跡。
ここはまだ修復真っ最中という感じで、おびただしい量の崩れたレンガをひとつずつ直しているといった感じ。
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グループE群、F群遺跡
さらに大きく迂回して順路を進むと、一番最近発掘が始まったというグループE群とF群遺跡に出る。
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遺跡内の移動は電動カート
世界的な傾向なのかもしれないが、世界遺産(ここもそうだ)の遺跡内の移動は、空気を汚さない電動カートであることが多い。
ミーソン遺跡の見学者は、入り口からこのカートに乗って遺跡群がある地点の近くまで移動する。
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復路はボートでホイアンへ
さて見学後、普通に乗ってきたバスで戻るのかと思いきや、ガイド氏いわく、バスよりちょっと時間はかかるが、希望者は船着き場までバスでいき、そこからボートでホイアンに戻ることができるという。
そりゃ、乗るでしょ。
はたして最高の締めくくりなのであった。
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朝は4時半出発と少々早いですが、ボートでホイアンに戻ってもまだ9時半。
午後の過酷な暑さを考えてもこの時間帯のツアーに参加したのはよかったな。私、天才!
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