恥ずかしいTKG:Anizine
「お前さ、さっき皆で話していたときに『TKG』って言ったよな」
「言ったかな」
「ほら、言ったことにすら自覚がないんだよ」
「なんだよ、うるせえなあ」
「言葉というのは『自分という憲法の条文』だ。だからバカはバカみたいな言葉を使うし、エレガントな人は詩的な言葉を使う」
「わかってるよ。でもちゃんとした場所では気をつけてる」
「それがダメなんだよ。たとえソーシャルメディアであってもガード下の焼き鳥屋であっても、相手にはそれがお前の憲法を読み上げているのを聞いたことになるんだぜ」
「TKGの何が悪いんだよ」
「お前は子どもの頃からTKGなんて言ってたか」
「言ってないけど。卵かけご飯と言ってた」
「だろう。つまりお前は自分の憲法をテレビで誰かが言っていたのを聞いて書き換えたんだ。条文ってそういうもんじゃないだろう」
「大げさなんだよ」
「八歩譲ってそれはいいとしよう。じゃあ、子どもの頃から言っていた『卵かけご飯』って言葉には全面的に納得してるのか」
多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。