【ペット系サービス代表の小話】#2 獣医師の専門医化
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毎回1000~1500字、2~3分で読めるくらいの文量です。
獣医師からは言いづらい、獣医師は教えてくれないコトを世の中に伝えていきたいな、なんて思っています。
先週・今週のテーマは、獣医師と飼い主の【情報の非対称性】の予定でしたが、今週は【獣医師の専門医化】にテーマを変更します。
書きたい内容はそんなに変わっていません。
ペットを飼っている皆さんにちょっと獣医師になりきって考えて欲しいのですが・・・
動物病院には日々色んな動物が来ますよね。
白内障の猫、骨折した犬、腫瘍ができた犬、お腹を下した猫、妊娠した犬、ときにはうさぎ。。。
これらの動物、それぞれ必要な検査や施す処置が全然違うことは誰もが想像できるところです。人間医療だと、眼科・整形外科・腫瘍科・消化器科・産科と分かれていますね。
そうです。実は獣医学でも一緒で、人間医療と同じ様に眼科や整形外科といった科目に分けて獣医師は勉強しています。
何が言いたいかって、獣医師って超大変じゃないですか?
人間医療だったら科目ごとに先生が違ってもいいけど、現状だと「自分のペットのどんな病気でもひとりの獣医師が治してくれて当たり前」って思っている人が全飼い主の8割位です(弊社アンケート調査による)。
そして大事なのは、もっと大変なことに、それぞれの科目は今この瞬間も進歩し続けていて、新しい検査・処置・投薬なんかが論文になって学会や雑誌で発表されているのです。
毎日皆さんが自由に連れてくる動物の診察や手術に当たりがら、それらを全部追いかけて情報をアップデートしていくのは現実的・合理的だと思いますか?
(※ 現実にそれをやっているスーパーマンみたいな臨床獣医師もごくごく僅かに存在します)
隅蔵はそうは思いません。獣医療が発達するにつれて、全部の科目をかかりつけの獣医師ひとりが見切るのは難しくなるのは仕方が無いと思います。
人間で言えば、心臓カテーテル検査や脳の手術を全医師が出来る世界を目指すのが現実的でないのは明らかです。
さて、人間医療はいつごろ科目毎の病院に分かれたんでしょう。
整形外科や眼科などの学会を設立するトレンドが起こったのが1900年頃、それぞれの科目に特化した専門医の病院が出来始めたのが50年後の1950年頃のようです。
1950年頃以前は医療のレベルが今とは段違いだったのは明らかですが、町医者の医師と看護師は骨折も眼科も出産も全部対応していたのです。
今では大きな病院には当たり前にあって、医療技術の大きな発達に貢献しているCTだって1975年まで日本には1台も無かったんですよ?
はい、話を獣医療に戻します。
獣医療において、科目ごとの学会を設立するトレンドが起こったのは1970年~1980年頃のようです。それから50年程度たちました。
まさに人間医療と同じ道を歩むかのように、ここ3年位は特に東京近郊で新しく開業する動物病院は、◯◯アニマルアイクリニック・◯◯動物整形外科医院など特定の科目や、救急専門・往診専門といったビジネススタイルに特化しているケースがほとんどです。病院名にそれを出していなくても、獣医師が力を入れている分野がHPにしっかり掲載してあったりします。
こうしたトレンドによって、ひとりの獣医師がカバーする範囲は狭まり、またその分野での深さが増し、より詳細できめが細かく効果的な診断や治療が可能になるだろうと僕は思います。
しかし、これまでひとつのかかりつけの動物病院で全部を診てもらっていた飼い主・その期待を背負ってプライドを持って獣医療に従事してきた獣医師からすると、このトレンドに対する反発があるでしょう。
今日はここまで。
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次回、【3月16日】は【専門医化トレンドへの反発と総合臨床獣医師】をテーマに掲げます。
お楽しみに!