ノルシュテイン『話の話』を記述する(その5~マルチプレーン)
さて通常の平面アニメの撮影を先に(その4で)言った。
それに対しセルアニメで伝説のように言われる「マルチプレーン」とは何か。
通常の撮影は下を覗き込むカメラの下にある台はひとつである。
ひとつの台の上に複数の平面素材がひとつに重ねられることも多い。
それに対しマルチプレーンはひとつの台でなく、棚のように何段もガラスがはめられた台がしつらえられ、段と段の間には距離があり、その距離間は随意に変えられる。
そうやって上下に移動可能な何段もの台に素材をそれぞれ置き、撮影していく。
カメラがどの段にピントを合わせるか変わる場合もあれば、ひとコマひとコマの動きに対し段と段とが高さを変え、段と段との距離を変えながら撮影されたりもする。
それをして何が起こるか。
複数の段に置かれた素材同士の距離感とピントの合わせ方によって完成した画面に独特の遠近感が生まれるのだ。
(その6へつづく)
アーカイブ一覧はこちら