ノルシュテイン『話の話』を記述する(その4~横に置くアニメ)
セルアニメや、この『話の話』のような切り絵アニメといった、平面素材で出来ているアニメは、セルや切り絵の平面素材を横に広い台の上に置いて・重ねて撮影する。
撮影台の上には高くカメラがそびえていて下を向き、その下方に置かれ・重ねられた素材を撮影するようになっている。
ひとコマ撮影するごとに、セルは次のセルに置き換えられ、切り絵は動きをつける部分の位置をずらす。
そうやってひとコマひとコマ撮影される。
ここで言い足したいことがある。
このように撮影される平面アニメは、他の映像作品と同じように、通常スクリーンやモニターに映される際、視聴する者に対して「縦に立った」状態で対面する。
しかし制作される途上ではアニメの場合、これらの素材が「横に寝かされている」という事実がある。
横に寝かされて撮影されたものが縦に立てられて上映される。
その奇妙さ。
論述の流れ上、余計なことかも知れないが、平面アニメについて考える上で忘れてはいけないことだと思うので書いてみた。
デジタル時代になって撮影行為は確かにモニター上の処理になったので縦の作業になったと言えるが、それでも作画行為や背景美術の制作は相変わらず寝かされて行われている。
(その5につづく)
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