見出し画像

FF7リバースは「ファンディスク」 忖度なしの正直な感想レビュー

※このレビュー記事は「FF7リバースは神ゲーだ!」と思っている方にはオススメしません。むしろ「FF7ってこんな感じのストーリーなんだあ」と思っているオリジナル未プレイの人の方が読みやすいかもしれません。

どうもこんにちはセカストです。

先日ようやくFF7リバースをようやくクリアしたので徒然と感想を書いていきます。私はFF7にかなりの思い入れがあるので、大切な一つの思い出としてFF7をプレイしていた、いちゲーマーとしての正直な感想を述べます。



ストーリーについては重大なネタバレを含まないよう書きますが、匂わせが全くないとは言い切れません。更に言えば、それなりに厳しい事も書きます。以上の点を踏まえて、各自の判断で以下の記事を読んで頂ければと思います。

ちなみに色々と書いてますが、恐らく1番私が伝えたいのは「ストーリー」の部分なので、時間がない方は目次でその項目に飛んでそこだけ読んでも大丈夫です。

まず結論として面白いか面白くないかで言うと「面白かった」と言うのが私の感想です。前作FF7リメイクと比較しても大幅な進化を遂げており、私の84時間というゲームクリア時間を見れば少なくともボリューム面では文句のつけようがありません。
しかし、細かく見れば不満点がないわけではありません。前述したように私はオリジナルのFF7には相当な思い入れがあり、やはりそれなりに今回のリメイクについて思うことがあります。
前半はプレイの良かった点、悪かった点の感想。そして後半ではオリジナルFF7を愛しているからこそ抱いた今作の想いについても語っていければと思います。よければお付き合いください。


戦闘システム

まずゲームプレイの大半を占める戦闘についてお話しします。戦闘は前作と同じく、アクションとオリジナルのATBゲージを溜めて行動するシステムを上手く融合させたシステムになっています。オリジナルFF7のようなクラシック戦闘もあるようですが、筆者は一度も使ったことがないのでこれについては割愛します。
前作と違って今作ではジャストガードや連携アビリティ、連携アクションなどが導入されたことにより、より戦略の幅が広がり、プレイヤースキルも良い面で反映されやすくなりました。特にSEKIROのように相手の行動を見切ってジャストガードを取る爽快さは、前作で単調だという意見もあった戦闘が、より楽しめるシステムにさせたのではと感じました。
連携アクションについてもどのキャラを入れるかによって使えるアビリティが変化するので、どの場面でどのキャラを入れ、どのキャラを操作するのが良いか考える余地が広がりました。戦略を考えるのが好きな人にとっては嬉しい要素と言えるのではないでしょうか。

と、戦闘は爽快さが前作と比べて増した部分がありますが、幾つか細かな不満点を挙げると色々あります。

まず、ブレイクシステムと前述した連携アビリティ及び召喚獣の取り合わせの悪さが挙げられます。
このゲームはいかに敵の弱点などをつき、相手のブレイクゲージを蓄積させてブレイクし、ブレイク中にいかに効率よくダメージを与えるかが非常に重要なゲームです。ブレイク中の時間は限られているので、ブレイク中に連携アビリティや召喚獣の攻撃などを当てたいのですが、連携アビリティは演出が長く、更に2人一斉に攻撃をするのでその間に行動及び指示を出せるキャラは1人のみになってしまい、結果として連携アビリティの重要性や存在感が薄れてしまいました。特に連携アビリティの付与効果の一つとして「バースト時間が延長する」という効果のアビリティは、その演出の長さから延長したバースト時間よりも演出の長さの方が上になっており、かつダメージも微妙なので結果としてはあまり意味のない技になってしまっているのはいただけませんでした。


召喚獣についてもほぼ同じことが言えます。召喚獣は呼び出せば一定の時間フィールドで戦い、時間が過ぎればラストアタックとして強力な必殺技を繰り出して帰っていくという仕様です。このラストアタックの必殺技が非常に強力で、ほぼこれを目当てに召喚するのですが、いかんせん「時間が過ぎた後に必殺技を繰り出す」という仕様のせいで、任意のタイミングで技を当てることは相当難しくなっています。敵がバーストしている間にどうしても当てたいのですが、タイミングが中々合いません。結局は召喚獣も大きな戦力になることがあまりないのが私としては微妙でした。これは前作でも同じ感想を抱きましたが、今作でもほぼ同じ方向性を辿ったのは個人的に残念でした。更に言えば召喚獣によってはサイズが大きく、プレイヤーの視界を遮って回避やジャストガードがしにくくなる事があったのもマイナスでした。
そして最後に視点の話が出たので、戦闘中のカメラ及び視点の話をします。このゲームのカメラやロックオン機能はお世辞にも良いとは言えません。ロックオン切り替えと視点移動はふたつとも右スティックを使用するのですが、このおかげでちょっと視点を移動させたら別の敵にロックオンが切り替わってしまうというのも、戦闘の快適さを削ぎ落としています。特に味方や敵も素早く移動するキャラが多いので、視点をちょいちょいと移動させたいプレイヤーは不快に感じる事でしょう。「LOCK ON」の文字もエフェクトと同化して、見辛いのも良くありませんでした。
という具合に、前作から進化を遂げている面も多くありますが、一方でシステムの取り合わせの悪さや、視界や操作性の面で、いまいちプレイヤーの思い通りにいかない展開も多くありました。その点は次回作にて是非改善して欲しいものです。

ミニゲームの多彩さ

SNSでも特に賛否両論を読んでいるのが「ミニゲームの多さ」ではないでしょうか。
「ミニゲームが多い」という声がありますが、実を言うとオリジナルFF7でも進行上必須なミニゲームは多く存在しました。その上で今作のミニゲームの多さについて良い点と悪い点が見えてくると思います。

まずオリジナルと比べて今作のミニゲームはしっかりと「ゲームとして成立」しているものが多いと言えます。例えばある場面で「イルカの力を借りてジャンプする」というミニゲームがオリジナルにも今作にもあるのですが、オリジナルは視界の悪さや説明不足もあってか、どうすればクリア出来るのか戸惑ったプレイヤーも多かったかと思います。というか、これはミニゲームというよりはちょっとしたイベントと言った方が良いかもしれません。
一方で今回のリバースではしっかりとそれぞれのミニゲームが作られており、それらが「ちょっとしたイベント」で終わらない事が利点だと言えます。実際それぞれのミニゲームはプレイヤーによっては得手不得手があるものの、私としてはそのミニゲームの多くが楽しめるものでした。特に個人的にはカードゲームのクイーンズブラッドは下手をすれば本編よりも楽しんでいたかもしれません。
さて、一方で人によっては「ちゃんとしたミニゲームにしてくれていた」というのがデメリットになる場合もあります。前述したように、オリジナルではミニゲームというよりはあくまでちょっとしたイベントとしてそれぞれのミニゲームが消化されていました。それが今作ではしっかりとしたミニゲームをやらされることにより、ゲームや物語のテンポが悪くなったと感じた人もいたはずです。実際に私も最初はミニゲームを楽しんでやっていましたが、あまりにもミニゲームが多く、更にはそれぞれのミニゲームがしっかりとした作りなだけに時間を取られ、最後には少し辟易していたのも事実です。
作り手側からすればなんとも理不尽な感想でしょうが、FF7の魅力はやはりストーリーにあると私は思うので、あまりそういったミニゲームが続くとストーリーの没入感が削がれてしまうのも事実です。この点については後ほど詳細にお伝えします。

ストーリー

今作のストーリーについては今回私は個人的に一番思うところがありました。前述しましたが、FF7の魅力はやはりそのストーリーテリングにあったと私は思っています。詳細を書くとネタバレになりますが「クラウドは何者なのか」「なぜ仲間の様子がおかしいのか」「セフィロスの目的とは」「魔晄エネルギーとは」「ソルジャーとは」という謎が全て解けた時のカタルシスに、初回プレイ時には鳥肌が止まりませんでした


しかし、今回わたしがこのFF7のリメイク全体に疑問を感じてるのは、このリメイクのストーリーテリングは明らかにオリジナルが持っていた脚本の良さを活かす形ではなかったことです。何故そう感じたかというと、このリメイク全体が「既にオリジナルのFF7をプレイしていることを前提とした演出や進行」になっているからです。
恐らくそれは既にオリジナルを遊んだプレイヤーへの配慮だったのかもしれません。シナリオの良さは一度ネタが分かってしまえば、二度と同じ味がしないと考えてのことなのでしょう。だからこそ、このFF7のリメイクには随所で「君たちもうどうせ知ってるでしょ?だから別の物を用意したよ」という風に感じられる場面や演出が多く見えました。


それが絶対にダメだとは言いません。しかし私が思うのは、今の多くの若いゲーマーはオリジナルのFF7を知りません。だからこそオリジナルのあの感動を味わって欲しいですし、更に言えばオリジナルをプレイした人も記憶が薄れていたりするので、あの時の感動をもう一度味わいたいという欲求がある人もいるはずです。というか、私がそうです。
もっと個人的な私の想いを言うと、スクエニの製作者にはオリジナルのFF7の素晴らしさをもっと信じて欲しかったのです。結局はスタッフがどういう意図でオリジナルとはだいぶ方向性の違うストーリーテリングにしたのかはわかりません。「魔晄うんぬんの環境問題的なテーマ」が今の時代では使い古されたテーマだと思ったのかもしれません。
けど色々と変えた結果、その結末をみて私がどんな感想を抱いたかというと、「よく分からなかった」です。オリジナルはもっとシンプルに「感情が揺さぶられた」というものでした。それは幾つもの謎を残しながらも、物語の本筋としてはシンプルに「星を守る」「セフィロスを倒す」事であり、そこに集中できたからこそ感情が揺さぶられましたし、「セフィロスを倒すんだ」という仲間の決意に同調でき、まさにロールプレイ(役割を演じる)することが出来たのです。


しかし今回のリメイクはその本筋とは別の物がフォーカスされています。詳しくはネタバレになるので言えませんが、昨今の映画やアニメなどのエンタメで流行りの物が取り入れられており、最早プレイヤーが気になるのは「そこがどうなるか」になってしまいます。しかもそれはオリジナルをプレイした人にしか味わえない要素になっています。だからこそオリジナルをプレイした人は「その結末がどうなるか」だけが気になる状態になってしまっています。にもかかわらず、その結末を迎えた後の感想が「よく分からなかった」になってしまったのは、私としては何とも消化不良という気持ちが強くなってしまいました。感情をどこに持っていけばいいかわからなかったのです。オリジナル未プレイのプレイヤーは尚更訳がわからなかったことでしょう。
だからこそ、私はオリジナルを未プレイで、今回のFF7リメイク、リバースをプレイした人に誤解を恐れずに言いたいのは「FF7ってこうじゃないんだよ」と言うことです。
勿論今作を否定するつもりはありません。冒頭にも書きましたが、FF7リバースは面白いゲームです。それは間違いありません。
ただ、このストーリーを見た後に私が思ったのは、これはFF7本編と言うよりは、FF7のファンディスクになってしまっているということです。そう思う理由は繰り返しになりますが、ストーリーテリングがオリジナルをプレイしている前提になっているからです。
これは完璧に私の個人的な我儘になりますが、FF7というゲーム史に残る傑作を、今後の世代にもあるがまま伝えて欲しかったのです。しかし今回のリメイクは、オリジナルをプレイ済みのプレイヤーの「もしも」という好奇心前提のファンディスクであり、脚本も大きく異なっています。後世にFF7の魅力がそのまま伝わるのかどうか、不安が残るストーリーになってしまったのが個人的には残念でした。

まとめ

さて、色々書き過ぎたのでそろそろ纏めましょう。
FF7リバースはゲームとしては面白いものでした。戦闘システムもパワーアップし、ゲームのボリュームも申し分ありません。人によりますが、私はクリアに84時間かけました。
しかし、この作品はもともと単品で販売されていたゲームを三部作に分けた内の第二部であり、もともとオリジナルが全体で50時間ほどでクリア出来た内容のゲームの中盤を、色々と肉付けしてこれほどのボリュームになったゲームです。
ファンディスクとして見るのなら悪くないかもしれませんが、思い入れの少ないプレイヤーにとっては特に物語に重要でないイベントが長く演出されていると感じ、結果ストーリーの進行のテンポが悪くなっていると思った人も多いはずです。私も中盤以降はそう感じました。特にオリジナルはセリフは全てテキスト、一方リメイクはほぼ全てにボイスが入っているのもその要因でしょう。
ただこのゲームはストーリーだけを楽しむものではありませんので、戦闘の楽しさやミニゲームの豊富さ、グラフィックなどを考えると全体的にはかなり良質なゲームだと言えます。だからこそ細かな部分をちょいちょいとついたレビューになってしまいました。

以上色々と踏まえると、私としてはFF7リバースはファンディスクとして見ると非常に良質な作品です。しかし一つのゲームとして見ると面白いには面白いですが、昨今のゲームオブザイヤー受賞候補作と比べるとやや劣る、といった具合です

色々と私情を挟んだレビューになりましたが、どうでしょうか?
皆さんはどう思いましたか?よろしければ意見お聞かせいただければ幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?