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自分の在り方を悩む主人公たち

いくつか作品を読んでいて、主人公が自分の在り方について、自分はどういう人物なのか、どうなりたいのか、どのように変化していくのか悩む作品が比較的少ないな、という印象があります。

そのような意味で、さまざまな悩みと主人公本人の在り方が結びついている「アイドルマスターシンデレラガールズ U149」というアニメーション作品は珍しく、また、骨太なものでありました。

最近読んだお話の中で、主人公が自分の在り方についてほとんど悩まないという作品にも出会ったことがあります。作品名は挙げませんが、その主人公はエリクソンの発達段階の話を持ち出せば、早期完了であるとすぐにわかるような作りになっていました。

早期完了というのは、周囲の環境、特に親の影響下で自分の役割や性格、学業あるいは職業選択などで葛藤せず、悩まずに、親や周りの言っていることを鵜呑みしにして学校や仕事を早々に決めてしまった状態で成長し、あたかも大人になっているかのように見える発達のことを指します。

この早期完了をストーリーに入れてしまうと、確かに主人公は安定するために作品は作りやすくなるのですが、物語が伸びると新たな展開を作りにくくなってしまうせいか、とても間延びしてしまい読むのが退屈で苦痛になることもあります。

その主人公の「悩みの無さ」が鼻についてしまうこともありますし、気色悪くも感じてしまうこともあります。

悩みや葛藤は主人公の特権だと、私は思うのです。


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