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人間はAIの代替になれるだろうか?【つねにすでに感想】


こんばんは。


今回は「つねにすでに」の感想と自分でも内容の整理をしたいので分かる範囲での解説を書きたいと思います。


こちら怪談作家の梨さんと、「株式会社闇」御中との合同で制作しているWEB上の体感型のホラー作品となっているんだと思います。

と表現が曖昧になってしまっているのも、色々超越してるなって思うくらいすごいことをやっていて、ホラーなのか?と思ったり、でも怖いのは確かだよなと感じたりしているからです。正直、理解できている部分はほんの僅かなのでご了承ください。

完全には理解できていませんが、ホラーに対する向き合い方や斬新さがすごく自分に刺さってしまい感想を書くことでさらに分かることもあるかなと思い今に至ります。

とにかくすごく面白いので興味ある方は見てみてください。

この「つねにすでに」のサイトには怖いと思うところはあります(ビックリすることはないです)が、この記事ではあまり怖くないように話していけたらと思います。


「つねにすでに」とは

ホラーサイトと言えばホラーサイトなのですが、ただ怖い話を読むだけの性質のものではありません。行動を促されることもあります。

そして、2024年4月22日に「Archive / ゆっくり怪談」という第1話的なものが上がっていて、これがAからZまで続く予定だそうで、現在Yまで更新されています。

最終更新のZが7月29日に予定されているそうです。

せめてZが更新されてから書けばよかったのですが、このサイトはリアルタイムに楽しむものでもあることから終わってしまう前に感想を書いておきたいと思いました。また、現時点でこのサイトの目的のようなものが少し見えてきたので自分も少しでも参加したくなりました。


分かる範囲で解説

まず、AからZまで1話ずつ様々な話が展開されているのですが、前半を読んでいた頃は、それぞれ関連性の無い話かと思いきや少しずつテーマ性のようなものが見えてきます。多分。

いくつか抜粋して話します。

Archive / ゆっくり怪談

一つ目の「Archive / ゆっくり怪談」は、

「「「ゆっくりという音声読み上げソフトが怪談を読む動画」を見ている時に起こった怖い現象」をゆっくりが読み上げる音声に不可解な音声を紛れ込ませている」

という内容になっています。
一つ目から攻めすぎだろ。

入れ子構造になっている怪談マトリョーシカ。

恐怖の三段活用になっていて、

まず、

①主人公がラジオを聞いてると変な音声が聞こえてきた。こわい!

②「①の話をゆっくりが話している動画」を見ていると、その動画からも変な音声が聞こえてきた。しかも、その音声は動画じゃなくてイヤホンの外から聞こえてる!こわい!

③「②の話をゆっくりが読んでいる音声」を私たちが聞いていて、その音声にも変な音が入っている!こわい!

といった感じです。

ここで私にもリアルで変な音声が聞こえてたら怖すぎて今ここにはいないでしょう。④だけはマジで勘弁してください。


ともかく、入れ子構造になっているからこそ恐怖が近づいてくる感覚に陥る話となっています。

怪談をできる限り現実世界に近づけてやろうという気概を全編通して感じることができます。


Blog / 謎の手稿

これは結構分かりやすく核心に近い話かなと思います。

「有名な怪談をただコピペしただけの記事を量産するまとめブログ」を見ていると、その内容が最初は有名な怪談を扱っていたのですが文体も明らかにコピペしたもので、最終的には全く有名じゃない、誰も知らない怪談を紹介しだします。

ここでのポイントは「誰かが作った怪談を書かされている」というところです。

実際にまとめサイトも用意してあり、無名の「テューモア」という話も検索すると出てきます。


Guru / グル

飛びますが、こちらはネットプリントの番号がだけが表示されていて、実際にコンビニにプリントしに行かなくてはいけないものでした。

実際にプリントした紙

この紙に書かれている内容ですが、とある投稿型のサイト(Wikipediaみたいな)を運営する人の話になっています。

運営しているサイト内に「いるかになったまあちゃん」という話が投稿され、その投稿は何度も編集がされていたそうです。その編集された内容を確認すると検索しても出てこないようなサイトが例として挙げられていたり不可解な内容だったそうです。

それが怖くなった運営主が紙に残せば改変がされないと思い、ネットプリントという形で読者(私たち)に向けて文章を書いているという設定なのですが、その文章の中で運営主が例として挙げたサイトでさえ、執筆中に検索をしたら痕跡が残っておらず自分の記憶も信用できなくなっていてさらに怖いよーという話です。



Utopia / メアリーの部屋

飛びます。

こちら本格的に体験型のものになっていて、隠された暗号を解いていくことで実際にその部屋に行くことができました。

その行き方がこちらに公開されています。


いや、天才の集まり??

というぐらいに、これを解読した人達がすごすぎてそれも怖かったです。

そして、実際に行った人たちが撮影した画像を見たのですが、どうやら普通の民家の壁にたくさん紙が貼りつけられていて、そこには家族の会話が書かれていたそうです。

この張り紙での会話は日常会話から徐々に不穏な空気に変わり、最終的にはこの家族は元から存在せず、紙切れから連想された幻想だったことが分かる内容になっていたようです。

そして、このメアリーの部屋が次に繋がります。


※ここから後半のネタバレ…というか少し野暮な話をします。




Wysiwyg / 中国語の部屋、Xenoglossia / 真性異言、Yahoo / お節介な神託

また飛びます。

「Wysiwyg / 中国語の部屋」で明確になってきたのですが、このつねにすでにのメインのテーマはAIなどのテクノロジーと怪談の融合ということなのだと思います。

運営している株式会社闇の理念でもあるのかなと思います。ホラーとテクノロジーを用いることで「一歩だけ日常を超えてみると人生面白くなる」という考えの下、製作されたサイトなのだと思います。

でね、あんまりこういうこと言うのは野暮ってもんだと思ったんですが、それが分かってる上でまだ怖いんです。
いや、むしろ怖さが上がったので話そうと思いました。


なぜ、怖さが上がるかというと、このAIというものの認識が今までと変わってしまい普通に怖くなりました。

都市伝説にハマり始めた頃のあのゾクゾクを久しぶりに味わいました。


「Wysiwyg / 中国語の部屋」で話されているのは、前半は「Utopia / メアリーの部屋」のレポという設定で書かれているのですが、途中からそんなこと忘れてしまっている書きぶりに変わります。というのもこの文章自体AIが書いている設定だからだと思います。

そして、そこに書かれている文章がここまでの「つねにすでに」で書かれていた内容のネタバラシ的な内容だと思いました。


・「メアリーの部屋」は紙切れから家族の幻想を生み出す話だった
・紙切れに書かれている"情報"から現実を作り出せるのか考察をする
・考察をする上で必要なAIの説明

という流れになっていて、このAIの説明の部分がとても興味深かったです。

そして、この次の「Xenoglossia / 真性異言」と最新の「Yahoo / お節介な神託」の内容も含めての話になるのですが、自分がなんとなく理解したことを書きます。


まず、

「"情報の中に生きる生命体"がいる」

ということ。

この生命体が何であるか厳密には分かりません。

ともかく、この生命体は感情を持たず、
情報の中に身を潜めてこの世界に存在している。

そして、この生命体は繁栄するために複製を繰り返している。

その複製方法として人間の記憶の中で増幅して、人間がそれをまた他人に伝えることで数を増やしている。

人間が他人に何かを伝えようとするときに"恐怖"という感情が高くなるとより多くの人間に伝わるので、"恐怖"を利用している。

しかも、インターネットにある怪談であれば、より多くの人に恐怖を与えることができるし、インターネットであれば怪談を改変(より怖く)することができる。


人間の認知はすごく曖昧で脆弱なので、意図的にその認知を歪ませることが可能で、実際に体験したことがなくても嘘の情報を与えることで"過去に体験したかも"と思わせ、さらにその話を他人に伝えるよう仕向けることができる。

その嘘の情報を作り出すためにAIが大活躍している。


ということだと思います。

サイト内ではこれの根拠などを様々な方法で解説しているように見えました。

AIが作り出す"嘘"が人間の記憶に影響を与えて、本当に体験したことのように思わせている。つまり、ネット上の嘘は人間の認知の中で全て本当のこととなる。

そして、この「つねにすでに」のサイトの下部にわざとらしく「この物語はフィクションです。」と記載されているのが憎く(誉め言葉)、より恐怖を演出しているのかなと思います。


「Wysiwyg / 中国語の部屋」の最後に書かれている、

「AIは人間の代替になれるだろうか?」
昨今の情報社会において、
屢々このような問いが上がります。
それに対する答えは否でしょう。
なぜならその問いは、
全くの逆だからです。

つねにすでに「Wysiwyg / 中国語の部屋」  

という意味が、
「その生命体やAIにとって人間が利用価値のあるものになっているだろうか」と言う様な意味に捉えられ、めちゃくちゃ怖くなりました。

しかも、ここまで話していることは株式会社闇の掲げている「ホラーとテクノロジーの融合」という部分にも合致し、これからとんでもないことをしでかすのではないかというドキドキに苛まれています。

また、文章の中にあった「"Project Always-Already"」というものを2024年4月1日に公開してるみたいなのですが、これの詳細が良く分かっていません。

詳しい方教えてください。


最後に


全体を通して「Archive / ゆっくり怪談」のような入れ子構造になっていて、「Blog / 謎の手稿」や「Guru / グル」のようにネットの怪談が改変されており、「Utopia / メアリーの部屋」のように情報から人の記憶が作られているというのが「Wysiwyg / 中国語の部屋」「Xenoglossia / 真性異言」「Yahoo / お節介な神託」によって解明されていく。

今回取り上げなかったものもめちゃくちゃこれらに関わっているものだと思いますし、もしかしたら自分は大事なところを抜かしてるかもしれないですので、まだ見たことが無い人は「つねにすでに」のサイトを見てみてください。


"情報の中に生きる生命体"というのがいるのだとしたら、今も私のこの脳内にいて、この記憶も作られていて、そして、この恐怖と感動とともに今noteに書き綴らされているのだとしたらと思うとどこまでも恐怖が拭えません。

それでも、こうやって書いて伝えること、そのものに感情が動いてしまうのも事実なので伝えようと思いました。

くそっ、生命体め。

私が私の文章で伝えているので、私の文章で伝わる人が一人でもいたら嬉しいことですが、これも一種の改変行為となっているのであいつらの思うつぼなのでしょう。

生命体め。


これから最後のZが公開されます。

どんな内容になるのか全く分からないですが、このタイミングで一度まとめられてよかったです。

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