衝動
衝動、みたいなものとは程遠い人生を送ってきた。いろんな物事をいろんな側面からみて、徹底的に調べあげて、そして、間違えてきた。きっとそういう性格だから。だから、薬を飲んだときにすこし自由な気持ちになって眉毛を剃り落としたら、母親に泣かれてしまった。今思えば、そりゃそうだよね〜と思う、びっくりするよなあと思う、だけどわたしはそれが悲しくて、わたしのしたことで母親が泣いてるのがかなしくてびっくりして、もっと泣いた。眉なしが泣いていた。
わたしは眉毛を剃ったことを後悔して泣いたわけじゃない、っていうのだけはでっかい声で言いたい!わたしあんまり、大きな声出せないのだけど。志磨遼平も国崎和也も眉毛剃ってたし、友だちに言ったらわたしもあるよーって返ってきたし、ロックじゃん?とか言われたし、あたしの衝動だから。そりゃあさ。いろんな物事をいろんな側面からみて、徹底的に調べあげて、その上で眉毛をぜんぶ剃り落としたのなら、後悔で泣くかも。だけど、衝動だからかなしくなかった。思い出すのは、「派手なドレス ダイヤと穴あきジーパン 好きなときに身につけなよ勝手だよ」って歌詞で。あたしの衝動は、あたしの勝手。(カネコアヤノの使う「勝手」という言葉が好きだ。否定も肯定もなく、ただそこにあった感情を衝動を認めてくれる感じが、その距離感がどこまでも優しく感じられて、好きだ)
わたしの勝手なこれからの人生に、わたしはわくわくしている!衝動で髪を染めたり衝動でドラムを始めてすぐやめたり、してみたい。衝動でロリィタ買って恥ずかしくなって箪笥に仕舞い込んだり。眉毛は生えてきた。なんなら生えぐせが整って、前より綺麗になった。衝動、で音楽をやっている人にずっと憧れがあるが、わたしだってなんだってできてしまうのだから。ありえないくらいの自由に、わたしの衝動がうずうずしている。